トップクリエイター起用で何が変わる!? 次世代マーケティングウェビナーで語られたこれからのYouTube活用術

モノとサービスに本気で取り組んだ結果、週6億円売上を達成

「トップクリエイター起用、成功の戦略と裏舞台を徹底解剖」と題するセッションでは、サムライパートナーズ代表取締役の入江巨之氏と、靴・ファッションEC事業を展開するロコンドCEOの田中祐輔氏がスピーカーとして登壇。先述のヒカル氏のブランド「ReZARD」とロコンドのコラボスニーカーが販売1週間で6億円を売り上げた事例が紹介された。
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パネルディスカッションに登壇したサムライパートナーズ代表取締役 入江巨之氏、ロコンドCEO 田中祐輔氏
商品開発、目標達成、CM実施という3つのYouTube動画がいずれも約200万回再生されたこの企画は、「モノとサービスについて本気で取り組んだことが成功した要因」と入江氏は分析。スニーカーが大ヒットした際には、クリエイターのヒカル氏が自分だけでなくお笑い芸人でYouTuberとしても活動する宮迫博之氏のCM起用を要望するなど、やりたいことを企画として立て、そこにロコンドがさまざまな面で協力した結果、実現したことだと入江氏は語る。

一方、田中氏は、一般の消費者からするとYouTubeには“怖い”イメージがあると指摘。「自分もこの企画までYouTuberの番組は一回も見たことがなかった」という。しかし、クリエイターと話してその考えを知り、実際にYouTubeを見てみて「かなり面白いものだ」と気づき、この企画が実現。田中氏自身もYouTuberとして動画に出演している。

「ロコンドの場合は、田中社長の中に広告宣伝のあり方の概念がはっきりしていたので成功した」と入江氏。クリエイターの感性はかなり一般とは異なるため、こういったD2C施策を行う場合、テンプレート的な広告宣伝の既成概念で進めようとしても、なかなかうまくいかないと入江氏はいう。

「YouTubeには“たまたまうまくいった人”はいません。クリエイターは信念を持ってやっています。動画の構成はクリエイターが考えていますが、そこに企業がどう向き合うのか、お互いがいかにマネタイズのポイントをWinWinの状態にしていくのかが重要です。企画の中には成功するものと失敗するものが当然ありますが、それを踏まえた上でPDCAを回していくことが大切です」(入江氏)

クリエイティブをしっかり作ることで売上と認知度の両方を獲得できる

テレビCMとウェブのリスティング広告ではそれぞれ役割が違う。テレビCMでは認知度は高まるが、売上の効果は限定的になる。一方、リスティング広告は認知度が上がることには寄与しないが、売上には反映される。そして、田中氏には「YouTubeはうまくやれば認知度と売上を両方向上できる」という仮説があった。

田中氏は「YouTubeは、クリエイティブをしっかり作ることで売上と再生数・認知度の両方を獲得できる面白い広告チャンネル」と感じている。ただし、テレビCMのような“キレイ”な世界ではないため、意識を変える必要はあるという。

「一般的にはリスクとされるような人物を起用することで、起用した企業のことを嫌いになる人も出てくるかもしれません。一方でそれでも支持してくれる人もいるはず。ゼロリスクにはなりませんが、そのようなリスクを冷静に判断してやっていけば面白いクリエイティブが作れる。テレビCMのようにガチガチの脚本を作ってしまうと、結局面白いクリエイティブにはならない。リスクさえ承知していれば悩むことはない」(田中氏)

拡散されるコンテンツは炎上と紙一重という面もある。企画提案で大切なことは「人を傷つけないこと」だと入江氏はいう。しかし、企業にとってマイナスなことを発信しないように気をつけていても、動画とは関係のないところでクリエイターが炎上する可能性もある。そのためサムライパートナーズのような企業が後ろ盾がない個人のクリエイターを守り、またリーガルチェックなどでリスクの低減化を行うなど、サポート体制を整えることも必要と語る。

また、企業への提案に関しては「ある程度“攻めた”内容にしている」と入江氏。なぜなら動画の企画が面白くないとクリエイターがやりたがらないからだ。そのため、炎上という意味ではなく、クリエイター各個人にあった攻めた企画、やりたいことを実現させていくことがYouTuberを使った施策では重要だと言う。

「インスタでこれまでよく見かけたインフルエンサーが商品を持った画像のようなものは、トップYouTuberはやりたがりません。今は、それを見て欲しいと思う人はもういないはず。そういったプロモーションの時代はもう終わっています。実際にクリエイターが商品を使ってみて、本当に気に入ったらお金も払うんで宣伝してくださいとする方が、(インフルエンサーマーケティングを)ちゃんとやっていくためにはいい。商品をクリエイターが愛してくれるからこそうまくいく部分はやっぱりあるので、今から取り組まれる企業はクリエイターに商品をめちゃくちゃ好きになってもらった上で施策を行う方がうまくいきます」(入江氏)

マーケターもクリエイターも熱量を持っていないとうまくいかない

YouTubeを活用したプロモーションでは、マーケターもクリエイターも熱量を持っていないとうまくいかないと語るのは田中氏だ。CMと違うのは、YouTubeでは実際に購入した人の反応がコメントやレビュー動画、SNSに投稿されるなど、すぐに反映される点。そのため正直に本当に良いモノを作らないとそれがクリエイターの信頼を失うことにつながり、継続的な仕事ができなくなる。その意味でYouTubeは、裏表のない仕事をしないとすぐばれる媒体だと言え、当然「熱量があって、自信があるものしか売れない」というのが田中氏の考えだ。

また、YouTuberを起用したマーケティング施策は、単発的な効果だけでなく継続効果もあると田中氏は語る。実際に「ReZARD」の購入者の70%は、ロコンドの他のブランドを購入しており、購入者が商品に満足することで結果的にブランド内強化が図れているという。

メディアとしての価値をどんどんつけていく必要がある

クリエイターを活用したマーケティング施策の今後の展望について、YouTube×企業の成功事例を作ることができた田中氏のロコンドでは、より継続的なプラットフォームにするための一環として、YouTubeでちゃんとモノが購入できる仕組みを考えているという。

「我々企業がクリエイターさんと一緒に、例えばテレビ通販みたいなものをYouTubeに持ってきて、そこでコーナーを盛り上げるような仕組みを作るなど、既存の業界を変えうるようなことをやっていきたいですね」(田中氏)

一方、入江氏は、YouTubeをBtoCビジネスに活かしていくためには、メディアとしての価値をどんどんつけていく必要があるという。YouTubeに今後有料コンテンツが増加すれば、番組系のコンテンツに対しては規制が強化されることが考えられるという。

「必要になってくるのは、ルールがある中でどうやっていくか。そうなった時に有料コンテンツでありながら良いものを作っていくことに、僕たちはいち早く取り組んでいこうとしています。単に物を売るだけの番組ではなくて、そこにエンターテイメントの要素が入ったり、オークションの売上が寄付に回ったりするなど、動画で社会がより良くなればという気持ちが大切だと思います。そのような姿勢で入れば、動画を依頼する企業としても、『そういうことだったらお付き合いしてもいい』と考えていただけるのではないかと思っています」(入江氏)
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