ネットで作品を販売されている個人の方や、趣味のハンドメイド作品をSNSにアップされている方も、100円ショップの店舗は無意識に“写真映え”する小物や背景の入手先としてワクワクする場所ではないでしょうか?
最近では、100円ショップ側も撮影小物のニーズに気がついたのか、キャンドゥで販売されている撮影ボックス「MINI PHOTO STUDIO」(税込550円)のように、最初からしっかり撮影グッズとして販売されているものもあるほどです。
キャンドゥの「MINI PHOTO STUDIO」(税込550円)。これひとつでLED照明、背景紙がセットになった撮影ボックス。350ml缶ぐらいまでの小物ならこれも手軽で便利
記事中、筆者の機材を使ってご紹介しているため、カメラや三脚が物々しく見えますが、カメラ自体はスマートフォンやコンパクトカメラでも十分。「光のコントロールと背景の整理」で写真は劇的にクオリティが上がります。ぜひ手持ちのカメラで試してみてください。
今回のグッズは「光のコントロールと背景の整理」が目的なので、スマートフォンで撮影する場合も大きな効果が得られます。ただし、スマートフォンで撮影する際も、できれば手持ちではなく、写真のようなスマートフォン用ホルダーを利用して三脚で撮影すると、きれいな写真が撮影しやすいでしょう
その1:白いカラーボードと白いガムテープで作る 「ミニレフ板」は料理撮影の必須アイテム
料理撮影の必須アイテム「ミニレフ板」。100円ショップで購入できるカラーボード(白)を白い布テープで貼るだけで簡単に作れます
材料はダイソーで税込110円で購入した「カラーボード(白)」(サイズ約450×300×厚さ5mm)と、同じく100円ショップで購入した白の布テープだけ
作り方はかなり簡単で、2枚の白い板を隙間を空けて、白いテープで貼り合わせるだけ。今回はダイソーで「カラーボード(白)」(サイズ約450×300×厚さ5mm) を税込110円で購入。これを半分に切断し、同じくダイソーで購入した「粘着布テープ(白)50mm×10m」(税込110円)で少し隙間を空けて、横長になるように貼り合わせました。テープ部分を折り曲げて、作ったミニレフ板が自立するよう、ボードの厚さの2倍以上隙間を空けて貼り合わせるのが、製作上の唯一のポイントです。
ミニレフ板なし
ミニレフ板あり
レースのカーテンや曇りガラスなどの窓際の手前に料理を置き、料理の手前にミニレフ板を立ててやれば、この料理の基本ライティングが完成します。料理の背後の窓から入ってくる光がメインライト、これをミニレフ板で反射させた光がサブライトの役割を果たすのです。
実際に窓際から差し込む光を背後にして、撮影した写真を上に掲載しました。ミニレフ板がないと、光の差し込んで来る料理の後ろ側だけが明るくなり、手前は影になってしまいます。しかしミニレフ板を料理の前に立ててやると、手前側からも反射光が当たり、立体感がありながら、全体に明るい写真が撮影できるわけです。
難しく考えず、料理撮影は窓際を背後にミニレフ板を使って撮影する、これだけで料理写真のクオリティは格段に上がります。ぜひ試してみてください。
しかも軽量なので、普段の「飯テロ」用素材撮影にもおススメです。
2枚のカラーボードを貼り合わせる際に、カラーボードの厚さの2倍以上の隙間を開けておくと、どちら側にも折ることができて便利です
その2:ポリプロピレンシートを透明テープで組み立てた「撮影ボックス」で映り込みをなくす
半透明のPPシートを複数枚透明テープで貼り合わせた簡易的な撮影ボックス。かなり大きなサイズのものが1,000円以下で作れます
材料はダイソーで1枚税込110円で購入した「PPシート 乳白色 両面つや消しタイプ」(サイズ約335×500×厚さ1mm)を5枚と「テープカッター付 梱包用テープ」
とても便利なアイテムで、冒頭で紹介したキャンドゥの「MINI PHOTO STUDIO」のように専用の撮影小物として発売されているポピュラーな製品ですが、基本的に大きくなるほど高価になる傾向があり、数千円の商品が多いようです。ただ、どのくらいの頻度で使うかわからないものに、さほど出費はできないという方も多いでしょう。そんな時は100円ショップのアイテムで自作してみることをおすすめします。
作り方は簡単。ダイソーなどで半透明のポリプロピレンシートを5枚ほど購入してきて、透明なテープで貼り合わせてやればできあがりです。今回は「PPシート 乳白色 両面つや消しタイプ」(サイズ約335×500×厚さ1mm)を5枚と「テープカッター付 梱包用テープ」を使って作りました。材料費は税込み110円×6で660円です。
撮影ボックスなし
撮影ボックスあり
室内の蛍光灯照明の下に撮影ボックスを置いてそのまま撮影したのですが、撮影ボックスありだとかなりすっきりとした印象で撮影できているのがわかるでしょうか。 撮影ボックスなしだと、ウォッカのボトルのネック部分に丸い蛍光灯が写り込んでいるのが確認できます。ウォッカのボトルの底の部分にも注目してください。ボックスなしでは暗くなっているのがわかりますが、ボックスありではほとんど暗くなっていません。
この撮影ボックスの場合、底も半透明にしたのでテーブルの色に影響を受けます。そのため、撮影例のようにボックスを白いテーブルの上で使ったり、ボックスの下に白い紙を敷くときれいに光が回るでしょう。
小さな差と感じる方も多いかもしれませんが、実はこういった小さな差の積み重ねが、最終的な写真のクオリティを上げ、見る人に与える印象を大きく左右します。撮影ボックスは、簡単にその差を得ることができるアイテムとしてとてもおすすめです。
この撮影ボックスを使い、さらに光の差し込む窓際で前述のミニレフ板を併用して撮影すると、全体に柔らかい光がしっかりと回った美しい写真が撮れます
齋藤 千歳
フォトグラファー・ライター
北海道千歳市在住・千歳市生まれのフォトグラファー/ライター。キャンピングカーの「方丈号」から各種アウトドア、カメラ、レンズ、ガジェットに関する情報を発信したり、家族3人で北海道一周などしたりを楽しんでいる。