「寝落ちさせるための動画」がNetflixにはある
「よく眠れる」や「眠りの質が上がる」といったうたい文句に、私はとても弱いです。睡眠にまつわる効能をささやかれると一瞬で財布のひもがユルユルになります。
おそらく自分の睡眠の質にだいぶ自信がなく、そのくせ1日24時間の時間配分の中で睡眠時間を一番ないがしろにしてきた負い目があるのかもしれません。そんな私がこの数カ月「もう手放せない」と思っているのが、Netflixの動画コンテンツ『ヘッドスペースの睡眠ガイド』です。
おそらく自分の睡眠の質にだいぶ自信がなく、そのくせ1日24時間の時間配分の中で睡眠時間を一番ないがしろにしてきた負い目があるのかもしれません。そんな私がこの数カ月「もう手放せない」と思っているのが、Netflixの動画コンテンツ『ヘッドスペースの睡眠ガイド』です。
『ヘッドスペースの睡眠ガイド』予告編 - Netflix
via www.youtube.com
2021年から配信されている、各話20分ほど・全7話のこのシリーズは、「よりよい睡眠を届ける」ことをテーマにしています。
「よりよい睡眠を届ける」とはつまり、動画を見ているこちらをスヤスヤと寝かしつけること。もう、あの手この手で寝落ちさせようとしてきます。そして私は『ヘッドスペースの睡眠ガイド』を再生すると本当に15分足らずでトローンと入眠してしまい、動画を最後まで視聴できたことは数えるほどしかありません。
ぐっすり眠れるおかげで、翌朝はフワッと目が覚めます。この動画に出合ってから「眠れないかもなあ」と不安に思う日がほとんどなくなりました。眠れない夜が完全に消えたわけではないけれど、昔ほど焦らなくなったんです。
そして何度も何度も(ほとんど毎晩)再生するうちに、『ヘッドスペースの睡眠ガイド』が伝授する「よい睡眠習慣を身につけるすべ」がわかってきました。寝落ちしまくっている人間が言うのもおかしな話ですが、学べるポイントがたくさんある爆睡動画シリーズです。
そんな“爆睡先生”こと『ヘッドスペースの睡眠ガイド』の見事な寝かせっぷりと、おすすめの再生方法を紹介します。
「よりよい睡眠を届ける」とはつまり、動画を見ているこちらをスヤスヤと寝かしつけること。もう、あの手この手で寝落ちさせようとしてきます。そして私は『ヘッドスペースの睡眠ガイド』を再生すると本当に15分足らずでトローンと入眠してしまい、動画を最後まで視聴できたことは数えるほどしかありません。
ぐっすり眠れるおかげで、翌朝はフワッと目が覚めます。この動画に出合ってから「眠れないかもなあ」と不安に思う日がほとんどなくなりました。眠れない夜が完全に消えたわけではないけれど、昔ほど焦らなくなったんです。
そして何度も何度も(ほとんど毎晩)再生するうちに、『ヘッドスペースの睡眠ガイド』が伝授する「よい睡眠習慣を身につけるすべ」がわかってきました。寝落ちしまくっている人間が言うのもおかしな話ですが、学べるポイントがたくさんある爆睡動画シリーズです。
そんな“爆睡先生”こと『ヘッドスペースの睡眠ガイド』の見事な寝かせっぷりと、おすすめの再生方法を紹介します。
開始1秒から明らかに私を寝かそうとしている
『ヘッドスペースの睡眠ガイド』は各話2部構成。前半では最新の睡眠科学に基づいた「睡眠にまつわる知識」が紹介されます。
例えば「8時間睡眠がベストというのは本当か?」や「コーヒーやお茶などのカフェインは就寝の何時間前まで取ってOK?」、そして「夢をコントロールできる?」、さらには「不眠症」や「睡眠薬」など。
これらのテーマを、“イブ”と名乗る女性が、わかりやすい言葉と、ゆーーーーーっくりとした口調で10分ほど解説するのが前半パートです。開始1秒目から明らかに私を寝かせようとしているし、「そうか、ハエにも不眠症があるのか……」などとイブのお話を反すうしているうちにコテッと寝てしまう。眠れないハエにも『ヘッドスペースの睡眠ガイド』を教えてあげたくなります。
で、この『ヘッドスペースの睡眠ガイド』の強力な美点のひとつが「イブの声」です。どの言語でも滑らかで美しい。
日本語吹き替えは、俳優の渋谷はるかさんが担当しています。Netflixのドラマ『ザ・クラウン』の若きエリザベス女王の日本語吹き替えや、ゲーム『ゴースト・オブ・ツシマ』に登場する強烈な人妻・こぼとけの声などで知られる美声の持ち主。
イブのお話に合わせて流れる映像は柔らかなアニメーションです。薄暗い部屋で流してもギラギラせずとてもいい。ボーッと眺めてもよいですし、潔く画面をオフにして音声だけでも十分楽しめます。私はベッドから遠く離れたテーブルにiPadを置いて、そこで再生しています。アニメーションの柔らかいラベンダー色やレモン色が間接照明のように壁を照らしてキレイ。
例えば「8時間睡眠がベストというのは本当か?」や「コーヒーやお茶などのカフェインは就寝の何時間前まで取ってOK?」、そして「夢をコントロールできる?」、さらには「不眠症」や「睡眠薬」など。
これらのテーマを、“イブ”と名乗る女性が、わかりやすい言葉と、ゆーーーーーっくりとした口調で10分ほど解説するのが前半パートです。開始1秒目から明らかに私を寝かせようとしているし、「そうか、ハエにも不眠症があるのか……」などとイブのお話を反すうしているうちにコテッと寝てしまう。眠れないハエにも『ヘッドスペースの睡眠ガイド』を教えてあげたくなります。
で、この『ヘッドスペースの睡眠ガイド』の強力な美点のひとつが「イブの声」です。どの言語でも滑らかで美しい。
日本語吹き替えは、俳優の渋谷はるかさんが担当しています。Netflixのドラマ『ザ・クラウン』の若きエリザベス女王の日本語吹き替えや、ゲーム『ゴースト・オブ・ツシマ』に登場する強烈な人妻・こぼとけの声などで知られる美声の持ち主。
イブのお話に合わせて流れる映像は柔らかなアニメーションです。薄暗い部屋で流してもギラギラせずとてもいい。ボーッと眺めてもよいですし、潔く画面をオフにして音声だけでも十分楽しめます。私はベッドから遠く離れたテーブルにiPadを置いて、そこで再生しています。アニメーションの柔らかいラベンダー色やレモン色が間接照明のように壁を照らしてキレイ。
役に立ちそうで立たない、絶妙に「眠たくなる話」
イブは、「ハエの不眠症」や「真っ暗な洞窟内で寝起きする人間の体内時計」など、ちょっと役に立ちそうだけど実は知らなくても全く問題なさそうな「眠たくなる話」を織り交ぜつつ、時折「スマートフォンをベッドから遠ざけること」などの大切なお役立ち情報を教えてくれます(私はスマホを寝室に置かなくなってからよく眠れるようになりました)。
この「眠たくなる話」と「お役立ち情報」のバランスが実に見事なのです。「ためになる〜!」と感心する話は私の体感では15%くらい。もしイブの語ることが全て「お役立ち情報」だったら、きっと私は目がさえて眠れなくなっちゃうんですよ。
そしてイブは事あるごとに「今起きているのは、あなただけではありません」「眠りたいときは、いつでもここに戻ってきてください」と優しく語りかけます。さらに「あなたの不眠症と、私の不眠症は別のものです」といったことを慎重に言い添えるのです。どのエピソードでも「こうであるべき」といった押しつけの情報をなるべく避けている印象で、これが思いのほか胸に響きます。
なぜなら「眠れないな〜」と思いながら動画を再生している私は、多少なりとも不安で、何かしらの心配や孤独を抱えている状態だからです。でも眠りたい。だから、「あなたと私」を明確に分けたイブによる「眠りたいときは、いつでもここに戻ってきてください」は、確かに私へのメッセージに思えます。
そんな『ヘッドスペースの睡眠ガイド』が伝えることは、どれも「きっと大丈夫だろうな」につながるものばかり。知らなくてもまあいいか、多少眠れなくてもとりあえず横になっているからいいか、私には私の事情があるさ、と。
『ヘッドスペースの睡眠ガイド』は、ストレスで眠れず、「眠れない」事実にすら追い詰められて悪循環に突入する人間の心を落ち着かせるべくデザインされているようです。
この「眠たくなる話」と「お役立ち情報」のバランスが実に見事なのです。「ためになる〜!」と感心する話は私の体感では15%くらい。もしイブの語ることが全て「お役立ち情報」だったら、きっと私は目がさえて眠れなくなっちゃうんですよ。
そしてイブは事あるごとに「今起きているのは、あなただけではありません」「眠りたいときは、いつでもここに戻ってきてください」と優しく語りかけます。さらに「あなたの不眠症と、私の不眠症は別のものです」といったことを慎重に言い添えるのです。どのエピソードでも「こうであるべき」といった押しつけの情報をなるべく避けている印象で、これが思いのほか胸に響きます。
なぜなら「眠れないな〜」と思いながら動画を再生している私は、多少なりとも不安で、何かしらの心配や孤独を抱えている状態だからです。でも眠りたい。だから、「あなたと私」を明確に分けたイブによる「眠りたいときは、いつでもここに戻ってきてください」は、確かに私へのメッセージに思えます。
そんな『ヘッドスペースの睡眠ガイド』が伝えることは、どれも「きっと大丈夫だろうな」につながるものばかり。知らなくてもまあいいか、多少眠れなくてもとりあえず横になっているからいいか、私には私の事情があるさ、と。
『ヘッドスペースの睡眠ガイド』は、ストレスで眠れず、「眠れない」事実にすら追い詰められて悪循環に突入する人間の心を落ち着かせるべくデザインされているようです。

花森 リド
ライター・コラムニスト
主にゲーム、マンガ、書籍、映画、ガジェットに関する記事をよく書く。講談社「今日のおすすめ」、日経BP「日経トレンディネット」「日経クロステック(xTECH)」、「Engadget 日本版」、「映画秘宝」などで執筆。
X:@LidoHanamori