「Qoo10メガ割デビューしたって……カワサキさん、今どきQoo10なんて何十周目かの話題ですよ……」
タマキに厳しい友人女子(40代、韓国旅行常習者)が半笑いで呆れる。その哀れみを隠さぬ視線にも挫けず、タマキは早口でなおも食い下がった。
「確かにね、そりゃ今どき韓国コスメなんてどこでも売ってるし、Qoo10アプリだってもはや若い女子には常識、かわいいコスメをお得に買うインフラと化してますよ。でもQoo10メガ割のすごいところは、『お買い物を遊ぼう』と銘打っている通りのエンタメ感や課金ゲーム的な中毒感を通して、消費の収穫に対する高い満足感を提供するという、年代を超えた“女子なる生き物”の消費マインドを知り尽くした、巧みなシステム設計にあるのよ!」
Qoo10とは、2010年に設立された韓国発のオンラインショッピングプラットフォーム。日本でいえば楽天のようなものだけれど、特にアジアの美容・コスメやファッション、食品などの品揃えに強く、アジア圏の女性顧客を虜にしている。
そのQoo10で定期的に行われる超大型セールが「Qoo10メガ割」だ。2026年春のQoo10メガ割は2月27日から3月11日まで、13日間にわたった。これは、50代女子(←言い張る)のタマキがずっと気になっていたQoo10メガ割に初めて手を出し、その沼にどっぷりと浸かった、約2週間の記録である。
タマキに厳しい友人女子(40代、韓国旅行常習者)が半笑いで呆れる。その哀れみを隠さぬ視線にも挫けず、タマキは早口でなおも食い下がった。
「確かにね、そりゃ今どき韓国コスメなんてどこでも売ってるし、Qoo10アプリだってもはや若い女子には常識、かわいいコスメをお得に買うインフラと化してますよ。でもQoo10メガ割のすごいところは、『お買い物を遊ぼう』と銘打っている通りのエンタメ感や課金ゲーム的な中毒感を通して、消費の収穫に対する高い満足感を提供するという、年代を超えた“女子なる生き物”の消費マインドを知り尽くした、巧みなシステム設計にあるのよ!」
Qoo10とは、2010年に設立された韓国発のオンラインショッピングプラットフォーム。日本でいえば楽天のようなものだけれど、特にアジアの美容・コスメやファッション、食品などの品揃えに強く、アジア圏の女性顧客を虜にしている。
そのQoo10で定期的に行われる超大型セールが「Qoo10メガ割」だ。2026年春のQoo10メガ割は2月27日から3月11日まで、13日間にわたった。これは、50代女子(←言い張る)のタマキがずっと気になっていたQoo10メガ割に初めて手を出し、その沼にどっぷりと浸かった、約2週間の記録である。
“女子なる生き物“の消費マインドを巧みに操るQoo10
ほんとに「今さら何を」と笑っていただいていいのだけれど、ご承知の通り、日本において韓国のコスメやアパレル、フード文化などが一大ブームとなり、韓国コスメ(韓コス)は今やご近所のドラッグストアでも国産ブランドに混じって普通に売っているほど普及した。
新大久保などの韓国カルチャー街が女子で賑わい、チェーン店化した雑貨店や飲食店が郊外にも進出した背景には、韓国俳優やK-POPアイドル、ドラマや映画など、2000年代以降のグローバル発展目覚ましい韓国エンタメの力がある。ここ数年、グローバルカルチャーのるつぼたる池袋にある大学で学生たちを見ていても肌感覚で感じるのだが、韓国カルチャーはオシャレ感度の高い若者文化のわりと真ん中に、自然にいる。
コスメで知られるがコスメだけじゃない、そんな韓国カルチャーをまとめてグッと身近に、オンラインでしかもお得に売ってくれるのがQoo10なのだ。楽天同様にマーケットモール型のため、同じ商品で検索をかけても、メーカー公式ショップ、「正規販売店」を名乗る非公式ショップ、さらにそんなお墨付きすらないが破格で売る個人店などがずらりと並ぶ。偽物が混じる可能性を優れた嗅覚で嗅ぎ分けながら、さまざまな条件のクーポンを組み合わせ、“オトクを最大化”して商品を手に入れる宝物掘りのようなワクワク感がある。
公式も公式たる強みを全開にして、新商品を浴びせかけ、大幅値引きのセット販売やオマケ攻勢など、圧倒的な販売PRを仕掛ける。ブランドの公式インフルエンサーを巻き込み、インスタライブに似たQoo10ライブで紹介される商品は、シニア向けの通販テレビ番組ばりに飛ぶように売れていく。
そう、女子なる生き物は世代を超えて、みんな“お買い物”という行為自体が大好きなのよ……!
新大久保などの韓国カルチャー街が女子で賑わい、チェーン店化した雑貨店や飲食店が郊外にも進出した背景には、韓国俳優やK-POPアイドル、ドラマや映画など、2000年代以降のグローバル発展目覚ましい韓国エンタメの力がある。ここ数年、グローバルカルチャーのるつぼたる池袋にある大学で学生たちを見ていても肌感覚で感じるのだが、韓国カルチャーはオシャレ感度の高い若者文化のわりと真ん中に、自然にいる。
コスメで知られるがコスメだけじゃない、そんな韓国カルチャーをまとめてグッと身近に、オンラインでしかもお得に売ってくれるのがQoo10なのだ。楽天同様にマーケットモール型のため、同じ商品で検索をかけても、メーカー公式ショップ、「正規販売店」を名乗る非公式ショップ、さらにそんなお墨付きすらないが破格で売る個人店などがずらりと並ぶ。偽物が混じる可能性を優れた嗅覚で嗅ぎ分けながら、さまざまな条件のクーポンを組み合わせ、“オトクを最大化”して商品を手に入れる宝物掘りのようなワクワク感がある。
公式も公式たる強みを全開にして、新商品を浴びせかけ、大幅値引きのセット販売やオマケ攻勢など、圧倒的な販売PRを仕掛ける。ブランドの公式インフルエンサーを巻き込み、インスタライブに似たQoo10ライブで紹介される商品は、シニア向けの通販テレビ番組ばりに飛ぶように売れていく。
そう、女子なる生き物は世代を超えて、みんな“お買い物”という行為自体が大好きなのよ……!
約2週間のお買い物祭り!
そんなQoo10で年4回開催される「メガ割」と呼ばれるセールは、商品を20%オフで購入できるクーポンが1ユーザーあたり10枚以上も配布され、人気ブランドのコスメが韓国本国へ行くよりもお得に買えるチャンスがゴロゴロしている、お買い物の大祭典だ。
いわゆるデパコス、デパートで販売されるブランドコスメとは1ケタ下の価格帯で勝負をする、チープだが高品質な韓国コスメ。ここ10年ほどの間に、特に韓国アイドルをPRに起用することで日本でも市民権を得て、大流行している。強みは、これまで高付加価値でグローバル展開していたような欧米のハイブランドものとは異なる視点の商品設計だ。
つまり“かわいい”や“好き”、“ピュアな透明感”などを至上とした美意識とメイク思想でカラーバリエーションが設計されている。スキンケア製品からカラーコスメまで「アジア人の肌に最適化している」として、既にその実力は広く証明され、日本の若い女子の間で韓コスはメイクの常識とも言える存在となっている。
しかし低価格とはいえ、美容やメイクにはあれこれと品数が必要になるものだし、コレクター熱も上がっていくもの。メガ割り開催時期を前にすると、Qoo10公式だけではなく、美容のプロや美容インフルエンサーのSNS動画や美容雑誌、美容情報サイトに「メガ割でこれ買って!」「今季メガ割で買うべきおすすめピック」などと事前情報があふれ、お祭り感が高まっていく。
女子たちは年4回のメガ割を織り込んで賢く購買プランを立て、たとえばインフルエンサーの誰々がTikTokでピックしていた新製品は次のメガ割で買おう、とお気に入りリストに入れて、開催日を心待ちにするのだ。ユーザーの購買意欲が十分に温まったところに満を持してのメガ割スタートとなると、初日はサイトアクセスがパンクし、場合によっては決済まで30分近く待たされるという事態になる。
いわゆるデパコス、デパートで販売されるブランドコスメとは1ケタ下の価格帯で勝負をする、チープだが高品質な韓国コスメ。ここ10年ほどの間に、特に韓国アイドルをPRに起用することで日本でも市民権を得て、大流行している。強みは、これまで高付加価値でグローバル展開していたような欧米のハイブランドものとは異なる視点の商品設計だ。
つまり“かわいい”や“好き”、“ピュアな透明感”などを至上とした美意識とメイク思想でカラーバリエーションが設計されている。スキンケア製品からカラーコスメまで「アジア人の肌に最適化している」として、既にその実力は広く証明され、日本の若い女子の間で韓コスはメイクの常識とも言える存在となっている。
しかし低価格とはいえ、美容やメイクにはあれこれと品数が必要になるものだし、コレクター熱も上がっていくもの。メガ割り開催時期を前にすると、Qoo10公式だけではなく、美容のプロや美容インフルエンサーのSNS動画や美容雑誌、美容情報サイトに「メガ割でこれ買って!」「今季メガ割で買うべきおすすめピック」などと事前情報があふれ、お祭り感が高まっていく。
女子たちは年4回のメガ割を織り込んで賢く購買プランを立て、たとえばインフルエンサーの誰々がTikTokでピックしていた新製品は次のメガ割で買おう、とお気に入りリストに入れて、開催日を心待ちにするのだ。ユーザーの購買意欲が十分に温まったところに満を持してのメガ割スタートとなると、初日はサイトアクセスがパンクし、場合によっては決済まで30分近く待たされるという事態になる。
第1弾(2月27日〜3月3日)、いきなりアクセスパンクの洗礼を受ける
Qoo10最大級のセールイベントであるメガ割の巧みさは、セール期間を第1弾から第3弾まで3期に分け、クーポンを期間別に4枚ずつ段階的に配布することで、ユーザーの行動を約2週間、Qoo10に張り付きにさせる点にある。
2月27日の開催初日は案の定サイトアクセスが集中し、ページ遷移は激重。商品をカゴに入れるのもままならず、決済ページでも最長20分以上待つというパンクぶりだった。心象風景としては、「まず入店前に長蛇の列に並び、やっと入った店内は混雑で身動き取れず、必死に人をかき分けて商品をいくつかつかみ、商品カゴを持ったままレジにも大行列する状態」だ。
Qoo10初体験をした私は、開催初日の夜、タイムアタックのようなプレッシャー下でアドレナリンやドーパミンがブシブシ分泌され、めくるめくお買い物の渦に飲み込まれる。ゲキオモのサイト遷移にハラハラしながら「よかった、まだあった」「ぎゃー、もう売り切れてる!」「レビューを見たらこっちの色でもいいかな」と商品をカゴに入れ、その途中にもサイト上で「いま売れている商品」と派手なバナーがどんどん更新されるのが視界に入って「そういえば、これも興味あったんだよね」と考え込み、その間に在庫数はどんどん減っていく。
初心者なので各コスメブランドの公式ショップを中心に狙ったけれど、なにせ、私の手元には「公式アプリダウンロード特典1000円オフクーポン」「会員登録ウェルカム20%オフクーポン」に加えて、4枚のメガ割20%オフクーポンがあるのだ。さらにさらに、公式ブランドによってはLINE連携クーポンやショップカートクーポン(その公式ショップの商品はまとめていくらかオフにするというクーポン)もあり、セール価格との組み合わせ次第では日ごろ正価で数千円のものが数百円になる場合もある。
2月27日の開催初日は案の定サイトアクセスが集中し、ページ遷移は激重。商品をカゴに入れるのもままならず、決済ページでも最長20分以上待つというパンクぶりだった。心象風景としては、「まず入店前に長蛇の列に並び、やっと入った店内は混雑で身動き取れず、必死に人をかき分けて商品をいくつかつかみ、商品カゴを持ったままレジにも大行列する状態」だ。
Qoo10初体験をした私は、開催初日の夜、タイムアタックのようなプレッシャー下でアドレナリンやドーパミンがブシブシ分泌され、めくるめくお買い物の渦に飲み込まれる。ゲキオモのサイト遷移にハラハラしながら「よかった、まだあった」「ぎゃー、もう売り切れてる!」「レビューを見たらこっちの色でもいいかな」と商品をカゴに入れ、その途中にもサイト上で「いま売れている商品」と派手なバナーがどんどん更新されるのが視界に入って「そういえば、これも興味あったんだよね」と考え込み、その間に在庫数はどんどん減っていく。
初心者なので各コスメブランドの公式ショップを中心に狙ったけれど、なにせ、私の手元には「公式アプリダウンロード特典1000円オフクーポン」「会員登録ウェルカム20%オフクーポン」に加えて、4枚のメガ割20%オフクーポンがあるのだ。さらにさらに、公式ブランドによってはLINE連携クーポンやショップカートクーポン(その公式ショップの商品はまとめていくらかオフにするというクーポン)もあり、セール価格との組み合わせ次第では日ごろ正価で数千円のものが数百円になる場合もある。
この破格なウェルカムクーポンから狂乱が始まった
ものすごいスピードで取捨選択し、妥協し、動き、おトク度を計算し、自分が手放した商品が瞬時に見えないライバルに持っていかれるような、まさにバーゲンの“狩り”の興奮をオンラインでやった気がした。まず初日は様子見で、大人気ロムアンドのリップティントに眉ペンシルや眉マスカラ(しかもロムアンドはオマケ商品がてんこ盛りでついてくる)などを購入、「1点が1000円に満たないだなんて、こんなに安くていいの?」と大満足して一度はアプリを閉じた。
買った数とおまけの数が同じくらいのサービス旺盛なロムアンド
ところが翌々日、「アクセス殺到でご迷惑をおかけしてごめんなさい」という“サプライズ”アナウンスとともに、メーカーは期間限定のはずの商品を販売延長し、Qoo10公式は20%オフクーポンをさらに2枚配布した。「やーん、よかった、まだ買える!」と、何をどうしたって買わせる戦略に長けており、恐ろしいほど女性消費者心理を熟知したマーケティングである。
新しいクーポンを組み合わせて、初日に諦めたUNOVE(アノブ)のヘアオイルやヘアマスカラ、テレビ仕事の時に局のヘアメイクさんが使ってくれて良さを体感したホットビューラー、そして「やっぱり欲しい」と考え直したロムアンドの10色アイシャドウパレットを購入。それでもここまでの累積購入額は1万2000円程度で、これまでデパートで買っていたようなハイブランドであるト●●ォードのアイシャドウパレット1個にも及ばないのって、素敵すぎない?
新しいクーポンを組み合わせて、初日に諦めたUNOVE(アノブ)のヘアオイルやヘアマスカラ、テレビ仕事の時に局のヘアメイクさんが使ってくれて良さを体感したホットビューラー、そして「やっぱり欲しい」と考え直したロムアンドの10色アイシャドウパレットを購入。それでもここまでの累積購入額は1万2000円程度で、これまでデパートで買っていたようなハイブランドであるト●●ォードのアイシャドウパレット1個にも及ばないのって、素敵すぎない?
アホ毛を抑えるアノブの優秀ヘアマスカラ
プロのメイクさん推薦のホットビューラー
浮かれたタマキは何を思ったか、韓国の食品ブランドbibigoがQoo10用に出している特売セットにも手を出し、自宅でしばらく韓国フード祭りをすることにした。韓国フレーク海苔7袋セットと、マンドゥ(韓国餃子)やチヂミやハットグやヤンニョムチキンやキンパなどの「特選パーティーBOX」なる冷凍食品セットを注文。これがコスメよりも配送が早く、2日ほどで一番に届いて、タマキの脳内韓国フェアはさらなる加速と深化を見せていく。
自宅韓国フード祭り開催

河崎 環
コラムニスト・立教大学社会学部兼任講師
1973年京都生まれ神奈川育ち。慶應義塾大学総合政策学部卒。子育て、政治経済、時事、カルチャーなど多岐に渡る分野で記事・コラム連載執筆を続ける。欧州2カ国(スイス、英国)での暮らしを経て帰国後、Webメディア、新聞雑誌、企業オウンドメディア、政府広報誌などに多数寄稿。ワイドショーなどのコメンテーターも務める。2022年よりTOKYO MX番組審議会委員。社会人女子と高校生男子の母。著書に『女子の生き様は顔に出る』(プレジデント社)など。












