シンプルで伝統的な構造のワンポールテント 「ムシャテント」は密閉度の高さが魅力
同じソロテントでも2m近い高さになる、ワンポールタイプのムシャテント。存在感のあるスタイルが美しい
五角錐の独特のスタイルが見ているだけでも楽しい
フライシートをペグでしっかりと地面に固定して、それを中央部の1本の柱で支える構造で、想像する以上に簡単に設置できるのも特徴です。
今回テストしたムシャテントの場合は5角形の底部のサイズは約幅290×奥行き290cm、高さは183cmですから、今回テストしたソロテントの中では最も高さのあるものになっています。また、インナーテントも付属しており、インナーサイズは約幅255×奥行き133×高さ173cmとコットなどの寝具が使用できるスペースが確保されています。収納サイズは約幅53×奥行き20×高さ20cm、重量は約5.7kgです。重めなのはテントの近くでたき火を行っても燃えづらいポリコットンを使用しているため。燃えない素材ではありませんが、ポリエステルやナイロンのテントに比べて、たき火の火の粉で穴が空くといったトラブルの少ない素材を採用しています。
ひとりで立てるのが難しそうに見える「ワンポール」タイプのテントですが、実際はどうでしょうか。まずは設置してみます。
ムシャテント を実際に立ててみた
付属のキャリーバッグに収納された状態のムシャテント。重量は約5.7kgで、ソロテントとしては比較的重めです
主なパーツはフライシート、インナーテント、ポール1本、ペグ13本、ロープ7本、キャリーバッグ、ポール入れ、ペグ入れ、タイベルト2本です
フライシートとキレイな五角形になるように広げ、ペグ用のループを五角形の頂点それぞれで固定していきます
フライシートをペグで固定したら、ポールを取り出し連結します。連結後のポール長は約2mなので扱いには注意しましょう
組み立てたポールをフライシートの中央に差し込みます。この作業は難しそうですが、びっくりするくらい簡単なので、最初はかなり驚くでしょう
インナーテントを取り付けます。頂点の部分はバックルで固定、上部周辺はトグルで固定する構造です。これもとても簡単
インナーテントの裾の部分を既に打ってあるペグに固定し、中央ポールに面ファスナーで固定してインナーテントの設置は終了です
最後にフライシートに取り付けられたロープを張って、テントを補強したら完成です。入り口部分のキャノピーにはグロメットが2つ装備されていますがポールは別売です
組み立ては思った以上に簡単! 包まれている感が強く安心
テントの頂点付近には換気用のベンチレーターも装備されています。密閉度の高いテントですが換気もしっかりと行ってくれそうです
ほかの2つのテントがポリエステル生地をメインに使っているの対して、ムシャテントはポリコットン(ポリエステル65%、綿35%)の生地がメインで、厚みもあり、ほかのテントの比べて少し重い印象です。ただし生地はしっかりしており、たき火の火の粉などで穴が空くことも少ないことに加え、耐水圧性も高いというので安心です。
安心といえば、生地が厚いためか、遮光性も高く、テントの中にいると包まれている感があり、ほかのテントよりも安心感が強い印象です。ただし、テントの構造上レイアウトの変更などはほとんどできず、密閉度の高い状態から開放感のある形への変更などはできないので、テントの高さはあるのに意外と閉そく感があるのは残念なところです。
ただし、今回テストしたソロテントの中でもっとも高価なモデルだけあり、付属するペグも下に掲載した写真のようにしっかりとしたもので、ペグを打つという作業を気持ちよくこなすことができました。
実は以前、かなり大きなサイズのワンポールタイプのテントを使ったことがあり、この際は非常に広く、屋根も高く開放感があったので期待していたのですが、ソロサイズでのワンポールはやや閉そく感が出てしまうのかもしれません。テント自体のクオリティーが高いのでこの点は残念でした。
ムシャテントに付属するペグ。ほかのテントに比べても、かなりしっかりとしたペグで使いやすい
複数購入してシーンによって使い分けるのもあり
さまざまなタイプがあるから楽しいテントたち。まずはリーズナブルなモデルで、いろいろなタイプを試してみてはどうでしょうか
個人的には「ドーム」→「パップ」→「ワンポール」の順でおすすめ
コットテントはコットの組み立て時間も含んでいますが、同じソロテントでも、こちらが最も小さいことを考慮すると、ソロ程度のサイズではテントのタイプによって設営に必要な時間はさほど変わらないように感じました。単純に設営時間を短くしたいなら、何度か設営して慣れてしまう方が、設営時間のためにテントのタイプを選択するよりも効率的でしょう。
となると、テントのタイプを選ぶ理由は組み立てやすさではないとなりそうですが、実際に3つのタイプを組み立ててみると、組み立てやすさでは普及率が高いと言われている「ドーム」が頭1つ抜きんでている印象。しなやかなポールにテンションをかけて自立させる方式は安定感もあり、誰にでもおすすめできると感じました。
2番目におすすめするなら、最近流行の「パップ」タイプです。メインポールの2本をロープで立てるにはちょっとしたコツが必要ですが、キャノピー部分をさまざまなスタイルで開放したり、閉めたりできるので、さまざまなシーンに多くのレイアウトで対応でき、プライバシーを守りながら、開放感のあるキャンプが楽しめそうです。最近流行しているのも納得です。
3番目になったのは「ワンポール」タイプ。組み立てやすいですし、シンプルな構造なので思ったよりもしっかりしていて、包まれている安心感もあります。ただ、その半面レイアウトに自由度が低く、開放感はありません。大人数用の「ワンポール」タイプは広々した印象なので、「ワンポール」タイプの問題というよりも、構造とサイズの織りなす特徴なのかもしれません。
タイプ別でいうなら個人的には「ドーム」→「パップ」→「ワンポール」の順でおすすめです。ただし、実際に使った各モデルについては、コット&コットテントはコット一体型というユニークな構造でコンパクトで扱いやすい点がおすすめ。キャンプベースソロは数多くのテントを手がけてきたキャプテンスタッグならではの細部にまで気の利いた作りがおすすめのポイント。小さなポイントの積み重ねが全体の使いやすさを支えている印象です。ムシャテントについてはポリコットン製のフライシートなど全体的な素材の良さと付属品のクオリティーの高さが魅力。デザインもかっこよく、大人の趣味の品としてこだわりを感じる作りがおすすめのポイントと言えます。
タイプ、素材、ペグ、ロープなどこだわりはじめるとアイテムとしてだけでも切りがないテント。これに季節や場所による使い分けなどを考えると、なかなかすべてに納得できるものを手に入れるのは難しそうです。しかし、まずは自分だけの秘密基地として「ドーム」タイプあたりからソロテントを購入してみてはどうでしょうか。狭くて小さくて本当に楽しいですよ。
齋藤 千歳
フォトグラファー・ライター
北海道千歳市在住・千歳市生まれのフォトグラファー/ライター。キャンピングカーの「方丈号」から各種アウトドア、カメラ、レンズ、ガジェットに関する情報を発信したり、家族3人で北海道一周などしたりを楽しんでいる。