小田原城やかまぼこなどの海の幸が有名な小田原ですが、お勧めしたいのは「神奈川県立生命の星・地球博物館(以下、地球博物館)」を訪れるプラン。46億年の壮大な地球史と生命の多様性を時間の流れに沿って、子どもにも直感的に分かりやすく体感でき、大人の知的好奇心も満たします。
今回は岩石愛が強めの筆者が、地球博物館での滞在を中心に、小田原小旅行の模様をレポート。博物館の展示はとにかく幅広く、見どころも盛りだくさん。全部をじっくり見ようとすると1日がかりになるほどです。この記事に欲張って詰め込んだ見どころを、岩石、恐竜や化石、昆虫、相模湾の魚、そして小田原グルメと、気になるところから拾い読みしてもらえれば幸いです。
高い天井に埋め込まれた“地球”が見下ろしてくる
吹き抜けの天井ドームには波、雲、風、氷や夜の星空を思わせる天井画。タイトルは「宇宙波」。中心には輝く“地球”がのぞく
1階エントランスホールに足を踏み入れると早速「おおっ」と圧倒される展示が。写真向かって右の魚は「クシファクチヌス」、左が恐竜「チンタオサウルス」。上空には低い方から翼竜の「アンハングエラ」と「トゥプクスアラ」が飛んでいます。いずれも白亜紀の生物の化石を復元したものです。
ホールの上、天井画の中心には埋め込まれた“地球”が光り、目のように私たちをのぞき込みます。この“地球”の光は、屋上の天窓から採光した光を利用しているとのこと。天候や時間によって光の具合が変化します。吹き抜けの天井の高さが気持ちよく、これから始まる星と生命の壮大な物語を予感させる空間です。
エントランスの券売機でチケットを買って、奥のチェックカウンターから展示ルームへと進みましょう。
星、岩、生命が生まれ、神奈川に満ちるまで
神奈川の片隅で地球の生い立ちを考える
大人が抱きつけるぐらいの大きさなのに重さが2.5トンもある「マンドラビラいん石」。鉄とニッケルの合金からできていて、磁石にくっつくらしい。展示物には本物そっくりに形づくったレプリカもあるが、このいん石はレプリカではなく、オーストラリアから運んできた実物
続く「地球の仕組」コーナーでは、大きな地球儀がお出迎え。陸地と海底の凹凸をシームレスに表現したこの直径3メートルある地球儀は、地軸と同じく約23度傾いて回転しています。普通の地球儀では目にすることのない海嶺・海溝の“シワ”の寄り方や、火山帯の連なり、震源の分布がいかにも関係していそうなのが、直感的にわかります。
日本列島が回ってきて「夜」に入ったところ。白い光が大地震の震央、赤い光が火山の位置を示している。目が慣れるとプレートが生まれ、沈み込む場所が“見え”始める
手前の岩の煙突たちは「トラバーチン」、熱水が噴き出すところにできる石灰質の岩石。奥の“岩の壁”は柱状節理、枕状溶岩、リップルマーク、ストロマトライトといった岩の標本展示
火山好きの筆者が、地球博物館の中でイチオシする展示がこの玄武岩の柱状節理。その断面をこんなふうに下から見上げることってあります? 大迫力だ! この柱状節理もタッチOK
光合成する微生物・シアノバクテリアの活動に伴って泥や砂の粒子が積み重なりできる「ストロマトライト」。これらが原始地球で酸素を作ってくれたのかと思うと何だかいとおしい。左奥の壁はその断面を層状に見ることができる岩石標本
こちらもタッチOKな「アンモナイトの壁」
ウミユリの仲間「ウインタクリヌス・ソキアリス」の化石。かなりエイリアンっぽい(というかエイリアンのほうが、こうしたかつての生き物の造形をマネしたんだと思うが……)。ほかに恐竜の足跡化石もあって、親御さんに連れられた小さな子がじっと眺めていたりする
下から、横から、眺めて見つける多様な生物のかたち
この長ーーーいリュウグウノツカイの剥製は1990年7月に小田原市御幸の浜に漂着したものだそう。元の個体は体の後ろの部分がちぎれていたので、後方はレプリカで復元されている。こうしたちょっとしたうんちくは「学芸員の展示余話」として博物館のホームページに掲載されていて、展示近くにあるQRコードからもアクセスできる
哺乳類もこれだけそろうと「形も大きさも全く違うよなあ」としみじみ、わからされる
下から眺める鳥たち。それぞれ羽の形が違っていて、生き物の造形ってよくできてるなあと感心する。写真左上の天井近くを“泳いで”いるのは海生哺乳類のオウギハクジラ
マストドンやアケボノゾウ、マンモスといったゾウの仲間の化石。行進の先に何がある?
みんな大好きクワガタとカナブン
キブリスモルフォ。横から見るか、それとも……
……正面から見るか。色素による色ではない「構造色」のありようを体感できる

ムコハタワカコ
編集・ライター
書店員からIT系出版社、ウェブ制作会社取締役、米系インターネットメディアを経て独立。現在は編集・執筆業。IT関連のプロダクト紹介や経営者インタビューを中心に執筆活動を行う。企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)、組織づくりや採用活動などにも注目している。













