かつて丹沢は海だった──神奈川の自然誌をひもとく
「生命を考える」エリアからエスカレーターに乗って、3階まで一気に上がると「神奈川の自然を考える」エリアがスタート。「神奈川の大地の生い立ち」「相模湾に生きる」「神奈川の大地に生きる」「人と自然のかかわり」の4コーナーで、神奈川の自然誌を読み解くことができます。
「神奈川の大地の生い立ち」コーナーでは、今は山となっている丹沢が海の中にあった証拠を示す岩やナウマンゾウなどの化石のレプリカ、富士山と箱根火山の活動の様子を解説する岩、地層と立体模型などが見られます。
「神奈川の大地の生い立ち」コーナーでは、今は山となっている丹沢が海の中にあった証拠を示す岩やナウマンゾウなどの化石のレプリカ、富士山と箱根火山の活動の様子を解説する岩、地層と立体模型などが見られます。
富士・箱根火山の活動を地層と立体地図から考える。こうして立体で見ると、富士山と箱根が全然違う成り立ちだと肌感でわかる
壁面には相模湾に生きる魚類やカニ類がドドンと展示されています。
相模湾の豊かな海の幸が標本とレプリカで一覧できる「相模湾に生きる」コーナー。“おいしそうな魚”もいますよ……
タカアシガニのインパクトがすごい。相模湾には350種ほどのカニ類がいるそう
「お魚いっぱいいるねー」という楽しい話ばかりではありません。下の写真は真鶴町に流れついたアオウミガメの幼体の死骸を調べたときに、胃から出てきたものたちです。
人間が何気なく捨てたものが自然界にどう影響するのか、よく考えるべき展示
岩・化石と魚類、それからハマシギ、ウミネコ、クロサギ、ユリカモメといった鳥たちの展示に続き、大きなブナの木をシンボルとして、リンドウ、サンショウバラ、ハコネトリカブトなど神奈川の植物も紹介されています。生きた植物を館内に生やしておくわけにもいかないので、精巧な模型が展示されているんですが、精巧すぎて「水やり大変ですね」と声をかけられることもあるんだそう。
箱根駒ヶ岳などで見られるハコネコメツツジの模型。隣には伊豆大島や伊豆半島沿岸に見られるオオシマツツジと、2種が自然交雑したとされるコウヅシマヤマツツジの模型も並んでいて、違いをじっくり比べられる
今回は駆け足で通り過ぎたが、「神奈川の自然を考える」エリアの奥には環境問題を正面から取り扱う「自然との共生を考える」エリアもある
市民の貢献が光る『神奈川県植物誌』
国立科学博物館がクラウドファンディングにより、標本の保全を行ったことはニュースにもなったので覚えている方も多いはず。実は地球博物館でも、先述したように昆虫コーナー展示の拡充のため、2024年秋から2025年3月末にかけてクラウドファンディングを実施しています。その結果、2026年2月には約1500個体の標本を追加し、テーブル型展示も増設しました。
さらに生命の星・地球博物館では、一般の市民がボランティアとして参加し、博物館活動を支えています。活動は「学芸」「展示・普及」「ライブラリー」の3つに分かれ、学芸員や司書とともに、資料整理や調査研究、展示準備、展示解説までを担います。対象は植物・菌類・地学・古生物・哺乳類・鳥類・魚類・昆虫など幅広い分野におよびます。
ボランティア参加にあたっては、例年だと冬に数日間の入門講座が開かれ、受講後に登録して活動を始められるほか、担当学芸員の推薦を受ける道もあるようです。「見る博物館」から「関わる博物館」へ。市民とともに自然史を記録し続ける姿勢が、この館の底力を支えています。
こうした市民参加が実を結んだ例がもう1つ、地球博物館の中で見られます。『神奈川県植物誌』編纂(さん)についての展示です。
博物館常設展の最後、「ジャンボブック」エリアには、部屋全体に大きな図鑑を広げた形の「実物百科展示」がしつらえてあります。
さらに生命の星・地球博物館では、一般の市民がボランティアとして参加し、博物館活動を支えています。活動は「学芸」「展示・普及」「ライブラリー」の3つに分かれ、学芸員や司書とともに、資料整理や調査研究、展示準備、展示解説までを担います。対象は植物・菌類・地学・古生物・哺乳類・鳥類・魚類・昆虫など幅広い分野におよびます。
ボランティア参加にあたっては、例年だと冬に数日間の入門講座が開かれ、受講後に登録して活動を始められるほか、担当学芸員の推薦を受ける道もあるようです。「見る博物館」から「関わる博物館」へ。市民とともに自然史を記録し続ける姿勢が、この館の底力を支えています。
こうした市民参加が実を結んだ例がもう1つ、地球博物館の中で見られます。『神奈川県植物誌』編纂(さん)についての展示です。
博物館常設展の最後、「ジャンボブック」エリアには、部屋全体に大きな図鑑を広げた形の「実物百科展示」がしつらえてあります。
「ジャンボブック」エリア入口。目次で部屋全体の展示内容がわかる
その大きな図鑑のうちの1つ、「県民がつくった緑の全戸籍」に『神奈川県植物誌』編纂の経緯が詳しく紹介されています。
「住民のための、住民による植物誌」として作成された『神奈川県植物誌』編纂の歩み
1979年、当時の県立博物館の学芸員らが広く県民に呼びかけて神奈川県植物誌調査会が生まれ、市民が県内各地で参加した調査、集めた標本の膨大な蓄積が、1988年に『神奈川県植物誌1988』として結実しました。その後も調査地域の拡充や研究が不十分な分類群の充実を図り、『神奈川県植物誌2001』『神奈川県植物誌2018』と2度にわたり、県植物誌が刊行されています。
特別展「しらべて分かった!里山にくらす動物たち」7月18日から開催、自由研究にも
地球博物館では、特別展「しらべて分かった!里山にくらす動物たち」を1階の特別展示室で開催。期間は2026年7月18日(土)〜11月8日(日)です。哺乳類や鳥類など、身近な自然にくらす生きものの魅力や暮らしぶりの変化を、大人も子どもも楽しく学べるよう、わかりやすく紹介する内容です。
展示は「里山のすがた」「神奈川の里山ー景観と生きもの」「調査から見えてきた動物のすがた」「移りゆく里山の生きもの」「里山のこれからを考える」の5つに分かれ、ほかに参加型展示もあるそうです。
会期中は関連イベントも充実。担当学芸員によるギャラリートークが会期を通じて複数回開かれるほか、10月18日(日)には野外観察会「里山の自然観察会―動物の痕跡探し―」も予定されています。
夏の自由研究にもぴったりのイベント。里山の多様な生き物について知り、これからの未来、人と野生生物がどのような関係を築いていくべきか、思いをはせてみるのはいかがでしょうか。
展示は「里山のすがた」「神奈川の里山ー景観と生きもの」「調査から見えてきた動物のすがた」「移りゆく里山の生きもの」「里山のこれからを考える」の5つに分かれ、ほかに参加型展示もあるそうです。
会期中は関連イベントも充実。担当学芸員によるギャラリートークが会期を通じて複数回開かれるほか、10月18日(日)には野外観察会「里山の自然観察会―動物の痕跡探し―」も予定されています。
夏の自由研究にもぴったりのイベント。里山の多様な生き物について知り、これからの未来、人と野生生物がどのような関係を築いていくべきか、思いをはせてみるのはいかがでしょうか。
【特別展】
— 神奈川県立生命の星・地球博物館【公式】 (@seimeinohoshiPR) June 26, 2026
しらべて分かった!里山にくらす動物たち🦌
ポスタービジュアルを公開!
身近な自然の中で、どんな動物がどのように暮らしているのでしょうか。乞うご期待!
🗓️会期:7/18(土)~11/8(日)
👉https://t.co/PprU5ZgHDs pic.twitter.com/It4YR4gJ2w
神奈川県立生命の星・地球博物館
住所:神奈川県小田原市入生田499
公式ページURL:https://nh.kanagawa-museum.jp/
開館時間:9:00〜16:30(入館16時まで)
休館日:原則として月曜日(祝日・振替休日にあたる場合は翌平日)
料金:常設展の観覧料は通常、大人(学生を除く)520円、中学生以下は無料。特別展開催中は特別展に常設展を含んだ観覧料を設定。
休館日や料金など詳しくは、公式ページで。
住所:神奈川県小田原市入生田499
公式ページURL:https://nh.kanagawa-museum.jp/
開館時間:9:00〜16:30(入館16時まで)
休館日:原則として月曜日(祝日・振替休日にあたる場合は翌平日)
料金:常設展の観覧料は通常、大人(学生を除く)520円、中学生以下は無料。特別展開催中は特別展に常設展を含んだ観覧料を設定。
休館日や料金など詳しくは、公式ページで。

ムコハタワカコ
編集・ライター
書店員からIT系出版社、ウェブ制作会社取締役、米系インターネットメディアを経て独立。現在は編集・執筆業。IT関連のプロダクト紹介や経営者インタビューを中心に執筆活動を行う。企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)、組織づくりや採用活動などにも注目している。













