「すごくいい!」と評判の昆虫展
そんな大人気の国立科学博物館に所属する研究員たちの“マニアックな視点”で構成された昆虫展ならば、さぞや素晴らしいに違いありません。
会期は7月13日(土)〜10月14日(月・祝)で、平日は比較的空いている……ということで、夏休みが終わって一段落ついているであろう9月の真夏日に、どれどれと行ってみることにしました。
ちなみに私とムシの関係は、“相思相愛! 好き好き大好き!”というほどではなく、顔に向かって甲虫が飛んできたら派手にのけ反り、家の中で小さなクモを発見したらティッシュでそっと包んでベランダの植木に移動してもらうくらいの距離感です。そして茂みでバッタやカマキリを見つけると「オッ」と得した気持ちになるけれど、捕まえることはしません。
身近に潜む“マニアック”
修学旅行生や観光客、そして肥えたハトと巨大なカラスでにぎわう上野公園に浮かび上がる「昆虫マニアック」の案内板。めちゃくちゃ目立つ
国立科学博物館といえば、べらぼうに大きなシロナガスクジラの模型が目印
オンラインチケットにはいくつか種類がありますが、私は公式オンラインチケットの「ART PASS」を利用しました。購入後でも最大3回まで日時変更できるので、もし枠が空いていればちょっと早めに入場するとか、「やっぱり明日にしようっと」なんて調整もできます。フレキシブル!
会場入口で音声ガイドの再生機とヘッドホンをレンタルし、いざ中へ。昆虫に詳しい人も、そうでない人も、音声ガイドがあるとより楽しめるはず。そして自分のスマートフォンとイヤホンで音声ガイドを聞きたい場合は、アプリ配信版「聴く美術」で昆虫マニアックの音声ガイドを購入するのもおすすめです。会期中は何度でも聞き返せます。
それにしても昆虫マニアックとは一体何なのでしょうか。そもそも私に昆虫の「マニアックさ」がわかるんだろうか……と思ったら、来訪者を最初に迎えるイントロダクション的な「ゾーン1 昆虫とムシ」でこんなメッセージが。
ジョロウグモも、アキアカネも、マニアック
なるほどね。この昆虫展の切り口がなんとなく見えてきました。
種の多様性を図で表すとこんな感じ! なんでムシだけこんなに多いの⁉
巨大模型のポーズが細かい
館内は動画以外は撮影OK(フラッシュはNG)だったので、いろいろと撮ってきました。
たとえばトンボゾーンではこんな巨大模型と遭遇。フォトスポットにぴったり……というか、それぞれの姿がちょっと独特なのです。
ギンヤンマのヤゴ。ちょうどお食事中のようです。アカムシが好物なんだね
こちらはエゾオナガバチのメス。お尻を高く持ち上げているけど?
木に卵管を刺し、木の中にいるムシに卵を産み付けているところでした
毛深い体がなんとも見事なウスバキチョウ。よく見ると羽のふちにも毛が! オシャレ!
巨大模型と標本とを見比べると、実際のチョウの小ささに驚きます。こんなに小さいけれど、実はふさふさボディの持ち主。2年もの時間をかけてゆっくりと成虫になるそう
「自分は“うんこ”を食べて育ったのだ」と音声ガイドで主張し続けるオオセンチコガネ。小学生が大興奮しそうな音声ガイドですね。ここでカブトムシじゃなくオオセンチコガネをキャスティングするあたりがマニアック。ちなみに音声ガイドを担当しているのは、声優の江口拓也さん
主張の激しいオオセンチコガネを真下から観察。アゴが立派で、羽の模様がキレイですね。この模様は翅脈(しみゃく)といいます。翅脈については「トンボの扉」でみっちり紹介されていました
彼らの命の源である“ふん”は、国立科学博物館から目と鼻の先にある上野動物園で暮らすエゾジカのもの。「わたしが製造責任者です」といわんばかりの写真が味わい深い。ちなみにオオセンチコガネ的にはウシやウマのふんも“いける口”だそうです
花森 リド
ライター・コラムニスト
主にゲーム、マンガ、書籍、映画、ガジェットに関する記事をよく書く。講談社「今日のおすすめ」、日経BP「日経トレンディネット」「日経クロステック(xTECH)」、「Engadget 日本版」、「映画秘宝」などで執筆。
X:@LidoHanamori