研究者のマニアックな視点と五感でムシを知る—— 上野の国立科学博物館 特別展「昆虫 MANIAC」

花森 リド

Specialアウトドア・お出かけイベントカルチャーライフスタイル

「すごくいい!」と評判の昆虫展

東京・上野にある国立科学博物館で開催中の特別展「昆虫 MANIAC(以下、昆虫マニアック)」が、なんだかとてもいいらしい。行った人はみな口をそろえて「とてもよかった」と噛みしめるような昆虫展だというじゃないですか。国立科学博物館といえば130年以上の歴史を誇る日本トップクラスの研究機関であり、夏休みの子どもたちや科学好きの大人たちに愛される定番スポットでもあります。

そんな大人気の国立科学博物館に所属する研究員たちの“マニアックな視点”で構成された昆虫展ならば、さぞや素晴らしいに違いありません。

会期は7月13日(土)〜10月14日(月・祝)で、平日は比較的空いている……ということで、夏休みが終わって一段落ついているであろう9月の真夏日に、どれどれと行ってみることにしました。

ちなみに私とムシの関係は、“相思相愛! 好き好き大好き!”というほどではなく、顔に向かって甲虫が飛んできたら派手にのけ反り、家の中で小さなクモを発見したらティッシュでそっと包んでベランダの植木に移動してもらうくらいの距離感です。そして茂みでバッタやカマキリを見つけると「オッ」と得した気持ちになるけれど、捕まえることはしません。

身近に潜む“マニアック”

国立科学博物館は上野公園の敷地内にあります。JR上野駅・東京メトロ上野駅・京成上野駅が最寄り駅。この3つの駅のうち最も近いのはJR上野駅ですが、何せ上野公園がとても広いので、どの駅から行っても「公園をそれなりに歩いたな〜」と思った頃にたどり着くのが、国立科学博物館です。

修学旅行生や観光客、そして肥えたハトと巨大なカラスでにぎわう上野公園に浮かび上がる「昆虫マニアック」の案内板。めちゃくちゃ目立つ

国立科学博物館といえば、べらぼうに大きなシロナガスクジラの模型が目印

事前にオンラインで日時指定予約をしてチケットを買っておくとスムーズに入れます。当日券を会場でフラッと買うこともできますが、入場までに時間がかかるかもしれないことと、万が一当日券が完売していた場合は入場できないことだけは注意してくださいね。

オンラインチケットにはいくつか種類がありますが、私は公式オンラインチケットの「ART PASS」を利用しました。購入後でも最大3回まで日時変更できるので、もし枠が空いていればちょっと早めに入場するとか、「やっぱり明日にしようっと」なんて調整もできます。フレキシブル!

会場入口で音声ガイドの再生機とヘッドホンをレンタルし、いざ中へ。昆虫に詳しい人も、そうでない人も、音声ガイドがあるとより楽しめるはず。そして自分のスマートフォンとイヤホンで音声ガイドを聞きたい場合は、アプリ配信版「聴く美術」で昆虫マニアックの音声ガイドを購入するのもおすすめです。会期中は何度でも聞き返せます。

それにしても昆虫マニアックとは一体何なのでしょうか。そもそも私に昆虫の「マニアックさ」がわかるんだろうか……と思ったら、来訪者を最初に迎えるイントロダクション的な「ゾーン1 昆虫とムシ」でこんなメッセージが。

ジョロウグモも、アキアカネも、マニアック

「だが、本当のところ、マニアックなムシというムシは存在しない。実際、見つからないほど小さくても、図鑑に載っていなくても、じつはカブトムシやミツバチ以上に身近にたくさん生息しているムシだって存在する。逆に、誰もが名前を知っているようなムシにだって、ほとんど知られていないマニアックな秘密が隠されていることもあるはずだ」

なるほどね。この昆虫展の切り口がなんとなく見えてきました。

種の多様性を図で表すとこんな感じ! なんでムシだけこんなに多いの⁉

巨大模型のポーズが細かい

次に待つ「ゾーン2 多様なムシ」では、「トンボの扉」「ハチの扉」「チョウの扉」「クモの扉」「カブトムシの扉」と題して、それぞれの分類でムシの生態や姿、生存戦略が紹介されています。各分類ごとに、国立科学博物館の動物研究部の研究員が監修。ムシの研究者の中にも専門分野(そしてお気に入りの分類)があることがよくわかる展示です。

館内は動画以外は撮影OK(フラッシュはNG)だったので、いろいろと撮ってきました。

たとえばトンボゾーンではこんな巨大模型と遭遇。フォトスポットにぴったり……というか、それぞれの姿がちょっと独特なのです。

ギンヤンマのヤゴ。ちょうどお食事中のようです。アカムシが好物なんだね

ハチだって負けてませんよ。

こちらはエゾオナガバチのメス。お尻を高く持ち上げているけど?

木に卵管を刺し、木の中にいるムシに卵を産み付けているところでした

毛深い体がなんとも見事なウスバキチョウ。よく見ると羽のふちにも毛が! オシャレ!

巨大模型と標本とを見比べると、実際のチョウの小ささに驚きます。こんなに小さいけれど、実はふさふさボディの持ち主。2年もの時間をかけてゆっくりと成虫になるそう

そして「カブトムシの扉」あたりにいた巨大模型は、カブトムシ……ではなくて、こちら。

「自分は“うんこ”を食べて育ったのだ」と音声ガイドで主張し続けるオオセンチコガネ。小学生が大興奮しそうな音声ガイドですね。ここでカブトムシじゃなくオオセンチコガネをキャスティングするあたりがマニアック。ちなみに音声ガイドを担当しているのは、声優の江口拓也さん

主張の激しいオオセンチコガネを真下から観察。アゴが立派で、羽の模様がキレイですね。この模様は翅脈(しみゃく)といいます。翅脈については「トンボの扉」でみっちり紹介されていました

オオセンチコガネは生体展示も行われていました。

彼らの命の源である“ふん”は、国立科学博物館から目と鼻の先にある上野動物園で暮らすエゾジカのもの。「わたしが製造責任者です」といわんばかりの写真が味わい深い。ちなみにオオセンチコガネ的にはウシやウマのふんも“いける口”だそうです

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花森 リド

ライター・コラムニスト
主にゲーム、マンガ、書籍、映画、ガジェットに関する記事をよく書く。講談社「今日のおすすめ」、日経BP「日経トレンディネット」「日経クロステック(xTECH)」、「Engadget 日本版」、「映画秘宝」などで執筆。
X:@LidoHanamori

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