前提知識不要でサクッと楽しい!「バンクシー展 世界一小さな美術館@GMOデジタル・ハチ公」に行ってみた
渋谷のフクラス2階にあるアートスペース「世界一小さな美術館@GMOデジタル・ハチ公」で開催中の「バンクシー展」。バンクシーの熱烈なファンではないけれど、ちょっと興味があるな……くらいのかるーいノリで行ってみたところ、思いっきり楽しめました。ついでに「バンクシー」に関する印象を改めるきっかけになりました。
あっちもこっちもバンクシー
夜7時の全国ニュースで作品が取り上げられるアーティストってどのくらい存在するのでしょう。「ピカソの絵が何十億円で落札された」や「ダ・ヴィンチの作品が発見された」は時折耳にします。そして、どちらも既にこの世を去ったアーティストです。でもバンクシーは今まさに生きているアーティストであり、何度も報道され、現代アートにさほど関心がない人にも名前と作風を知られている存在です。
この「みんなが知っている」ってだいぶ面白いことだと思います。だって、バンクシーという名前を出せば、あるいはその作品をニュースやSNSで見かければ、誰もが「あー、バンクシーね」って絶対言うんですよ。習ったわけでも、テストに出たわけでも、YouTubeの動画広告にガンガン出てくるわけでもないのに。
つまり、あっちにもこっちにも“バンクシー”がいます。たびたび大規模な展覧会が開かれ、スウェットにプリントされて数千円で売られ、ニュースでセンセーショナルに報道され、噂話が飛び交い、みんなの頭の中に存在する。
この「みんなが知っている」感じと、渋谷フクラス2FにあるGMOデジタル・ハチ公で開催中の「バンクシー展 世界一小さな美術館」での体験が妙にシンクロしていたのでご紹介します。
ちなみに最初に正直に打ち明けると、今これを書いている私こそが「あー、バンクシーね」と言い、そのままサラッと流して雑踏へ消えていくタイプの人間です。そんな私でもしっかり満足できる展覧会でした。
この「みんなが知っている」ってだいぶ面白いことだと思います。だって、バンクシーという名前を出せば、あるいはその作品をニュースやSNSで見かければ、誰もが「あー、バンクシーね」って絶対言うんですよ。習ったわけでも、テストに出たわけでも、YouTubeの動画広告にガンガン出てくるわけでもないのに。
つまり、あっちにもこっちにも“バンクシー”がいます。たびたび大規模な展覧会が開かれ、スウェットにプリントされて数千円で売られ、ニュースでセンセーショナルに報道され、噂話が飛び交い、みんなの頭の中に存在する。
この「みんなが知っている」感じと、渋谷フクラス2FにあるGMOデジタル・ハチ公で開催中の「バンクシー展 世界一小さな美術館」での体験が妙にシンクロしていたのでご紹介します。
ちなみに最初に正直に打ち明けると、今これを書いている私こそが「あー、バンクシーね」と言い、そのままサラッと流して雑踏へ消えていくタイプの人間です。そんな私でもしっかり満足できる展覧会でした。
コーヒー1杯の値段でバンクシー
まず価格設定がよかった。一般・大学生の料金はひとり300円です。コーヒー1杯分くらいの手軽なお値段。でも、私にとってこの値段の意味は、「コスパがいい」とは違うポジティブさを持っています。
たいていの美術展は1000〜2000円ほどの価格設定です。私はそれに対して「高いなあ」と思ったことはありません。なぜならそのお金を出してでも作品が見たいと腹をくくって、足を運んでいるからです。舞浜の東京ディズニーランドへ行くのと同じ感覚です。
対する「バンクシー展 世界一小さな美術館」は、そういう覚悟がいりません。もっとふらっと行けるんです。コスパがいいから行こう、じゃなくて「300円だし、渋谷駅からスグだし、あとバンクシーだし、ちょっと見てみようかな」って。これらの要素が全部が合わさることで、アートに対して自分の軽率さをフル稼働させられる。いつもの美術館巡りとは真逆のルートからバンクシーに導かれています。
ということで場所もいい。渋谷フクラスに入ると絶対目にする場所で、しかもめちゃくちゃ光ってるので「なんだろね?」ってなる。実際、私が行った日も足を止めて不思議そうに見ている人がたくさんいました。
たいていの美術展は1000〜2000円ほどの価格設定です。私はそれに対して「高いなあ」と思ったことはありません。なぜならそのお金を出してでも作品が見たいと腹をくくって、足を運んでいるからです。舞浜の東京ディズニーランドへ行くのと同じ感覚です。
対する「バンクシー展 世界一小さな美術館」は、そういう覚悟がいりません。もっとふらっと行けるんです。コスパがいいから行こう、じゃなくて「300円だし、渋谷駅からスグだし、あとバンクシーだし、ちょっと見てみようかな」って。これらの要素が全部が合わさることで、アートに対して自分の軽率さをフル稼働させられる。いつもの美術館巡りとは真逆のルートからバンクシーに導かれています。
ということで場所もいい。渋谷フクラスに入ると絶対目にする場所で、しかもめちゃくちゃ光ってるので「なんだろね?」ってなる。実際、私が行った日も足を止めて不思議そうに見ている人がたくさんいました。
めちゃくちゃ光ってる場所に黒いフードをかぶった人がいて、真っ赤な風船が揺れている。私が子どもだったら超気になる
この展覧会は1回20分で予約制。頭とお尻がきっちり決まっています。300円で、渋谷の駅直結で、ネットでちゃちゃっと予約して、鑑賞時間は20分。なにもかもがポップ。この軽率に行ける感じ、とてもいい。
渋谷の雑踏からプライベートな空間へ
検温と手指の消毒の後、チケットのQRコードをかざして中に入ります。
8畳くらいのスペースで待つこと数分、ぼわ〜っと光るバンクシーっぽい映像を眺めながら始まるのを待ちます。ちなみにこの美術館は「デジタル・ハチ公」と名乗るだけあって、人の往来が激しいフロアにあります。
なので、「え、ここで見ちゃうのか。いくらなんでも落ち着かないんじゃ……」とソワソワしていたら入り口にスクリーンが降ろされました。ホッ。
なので、「え、ここで見ちゃうのか。いくらなんでも落ち着かないんじゃ……」とソワソワしていたら入り口にスクリーンが降ろされました。ホッ。
さらば雑踏!
案内をしてくれるスタッフ(この人も全身黒ずくめでパーカー。靴もカバンもマスクもぜんぶ黒でした)が、写真撮影は自由であることを教えてくれたのち、展覧会が始まります。
花森 リド
ライター・コラムニスト
主にゲーム、マンガ、書籍、映画、ガジェットに関する記事をよく書く。講談社「今日のおすすめ」、日経BP「日経トレンディネット」「日経クロステック(xTECH)」、「Engadget 日本版」、「映画秘宝」などで執筆。
X:@LidoHanamori