「AIで未来を創るNo.1企業グループへ」をグループ全体の経営目標スローガンに掲げるGMOインターネットグループで、AIを活用したEC関連の新サービス提供に取り組むGMOメイクショップは、2023年11月から2024年1月の3カ月間、香川県坂出市王越町の高齢者を対象に、「ChatGPTによる音声対話型コマース」の実証実験を行いました。
この企画は、GMOインターネットグループ内のAI活用コンテスト「AI(愛)しあおうぜ!プロジェクト」入賞によって実現したもの。応募したのはGMOメイクショップで新規事業を担当していた畔上文昭(あぜがみ・ふみあき)氏です。
坂出市役所に出向して実証実験を実施し、現在も坂出市のDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む畔上氏に、コンテスト応募のきっかけや、企画に込めた夢について、話を聞きました。
この企画は、GMOインターネットグループ内のAI活用コンテスト「AI(愛)しあおうぜ!プロジェクト」入賞によって実現したもの。応募したのはGMOメイクショップで新規事業を担当していた畔上文昭(あぜがみ・ふみあき)氏です。
坂出市役所に出向して実証実験を実施し、現在も坂出市のDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む畔上氏に、コンテスト応募のきっかけや、企画に込めた夢について、話を聞きました。
GMOメイクショップ 畔上文昭氏
「自動車事故をなくしたい」という夢から企画が始まった
——「ChatGPTを活用した高齢者向け音声対話型コマース」について教えてください。
声だけで買い物ができるスマートフォンとタブレット向けアプリです。ユーザーがタブレット上のアプリに話しかけると、生成AIのChatGPTが音声で答えて、ユーザーの買いたい物をユーザーと一緒に選んでくれます。
たとえば「今日はカレーが作りたいな」とユーザーが言ったら、肉やジャガイモ、タマネギなどカレーの材料をAIが提案します。ユーザーは生成AIと対話を重ねながら注文します。
この注文は坂出市内の浪越食料品店に届き、商品が準備されます。そして同じく坂出市内のタクシー会社の大和タクシーがユーザーのご自宅まで商品を届けます。浪越食料品店も大和タクシーも今回の実証実験の協力会社です。
この実証実験は2024年1月に無事終了しまして、実証実験をともに行った地元のケーブルテレビ・通信事業者のKBNがサービス化の準備を進めています。
——なぜ、この実証実験を「高齢者向け」に特化させたのですか。
理由は2つあります。高齢者の皆さまにも便利なインターネットサービスを使っていただきたいと考えたことが、1つ目の理由です。これはGMOインターネットグループのコーポレートステートメントである「すべての人にインターネット」にも重なる目標ですし、ECサイト構築のトップベンダーであるGMOメイクショップが果たすべき使命だとも考えました。
そして2つ目の理由は、私の個人的な「願い」です。高齢者による自動車事故のニュースが報道されるたびに、とても悲しかったのです。事故を起こしてしまった人の人となりは報道されませんが、何十年と真面目に生きてきた人かもしれません。その人の過失によって、多くの人の人生が変わってしまいます。そんな悲劇を減らしたかったのです。
高齢者による運転免許証の自主返納の流れも生まれていますが、なかには自動車が必要でどうしても自主返納できない高齢者もいらっしゃいます。その人たちが運転免許証を手放せない1番の理由が「買い物」なんです。買い物は生活に必要なことですから。
高齢化や過疎化が進んで日々の買い物が難しくなる「買い物難民」については、社会課題として国を挙げて解決法を探っているところなんです。
不便な買い物がインターネットの力で便利になったら、運転免許証を返納してもらう確率が上がるかも……と考えたのが、この企画の始まりでした。
——車を運転することなく日常の買い物をする方法には、例えばネットショッピングなどもありますが、それだけでは買い物難民の問題は解消しないのですね。
私自身も、高齢の家族に「ネットスーパーが便利だから使ってみようよ」と教えてみたものの、「そんなの今さら覚えられないよ」と、あまり相手にしてくれないのです。確かにスマートフォンやタブレットやPCの操作スキルは個人差が大きいのが実情です。
でも「話すこと」は、多くの人が子どもの頃から自然にやっていることです。そして2022年11月にChatGPTが登場したことで、人間とAIとの対話が実現しつつありました。
当時はまだGPT-3.5のみが公開されていたので、対話の精度には改善の余地が大いにあるとは感じましたが、その後、2023年1月にGPT-4が公開されて対話もグッと洗練されました。
その時に、AIがこの速度で進化していくなら「音声対話型コマース」はいけるかもしれないと思いました。そして時を同じくして、GMOインターネットグループでもAI活用が始まったのです。
——GMOインターネットグループのAI活用社内コンテストに企画を応募したのですね。
そうです。AIがこの先の世の中で重要なものになると確信し、グループ全体で、AI活用に全力で舵を切ったことが、私にとっても追い風になりました。誰もが「できるよ!」と前向きに考える雰囲気があるグループなんです。そしてコンテストで賞を獲ったことがさらに強い追い風になりました、夢が夢で終わらなくなるんですね。
自分の考えた企画が形になったことは本当にうれしいですし、夢を実現するシステムを作ってくれた熊谷代表(GMOインターネットグループ代表取締役グループ代表の熊谷正寿氏)とグループに感謝しています。
声だけで買い物ができるスマートフォンとタブレット向けアプリです。ユーザーがタブレット上のアプリに話しかけると、生成AIのChatGPTが音声で答えて、ユーザーの買いたい物をユーザーと一緒に選んでくれます。
たとえば「今日はカレーが作りたいな」とユーザーが言ったら、肉やジャガイモ、タマネギなどカレーの材料をAIが提案します。ユーザーは生成AIと対話を重ねながら注文します。
この注文は坂出市内の浪越食料品店に届き、商品が準備されます。そして同じく坂出市内のタクシー会社の大和タクシーがユーザーのご自宅まで商品を届けます。浪越食料品店も大和タクシーも今回の実証実験の協力会社です。
この実証実験は2024年1月に無事終了しまして、実証実験をともに行った地元のケーブルテレビ・通信事業者のKBNがサービス化の準備を進めています。
——なぜ、この実証実験を「高齢者向け」に特化させたのですか。
理由は2つあります。高齢者の皆さまにも便利なインターネットサービスを使っていただきたいと考えたことが、1つ目の理由です。これはGMOインターネットグループのコーポレートステートメントである「すべての人にインターネット」にも重なる目標ですし、ECサイト構築のトップベンダーであるGMOメイクショップが果たすべき使命だとも考えました。
そして2つ目の理由は、私の個人的な「願い」です。高齢者による自動車事故のニュースが報道されるたびに、とても悲しかったのです。事故を起こしてしまった人の人となりは報道されませんが、何十年と真面目に生きてきた人かもしれません。その人の過失によって、多くの人の人生が変わってしまいます。そんな悲劇を減らしたかったのです。
高齢者による運転免許証の自主返納の流れも生まれていますが、なかには自動車が必要でどうしても自主返納できない高齢者もいらっしゃいます。その人たちが運転免許証を手放せない1番の理由が「買い物」なんです。買い物は生活に必要なことですから。
高齢化や過疎化が進んで日々の買い物が難しくなる「買い物難民」については、社会課題として国を挙げて解決法を探っているところなんです。
不便な買い物がインターネットの力で便利になったら、運転免許証を返納してもらう確率が上がるかも……と考えたのが、この企画の始まりでした。
——車を運転することなく日常の買い物をする方法には、例えばネットショッピングなどもありますが、それだけでは買い物難民の問題は解消しないのですね。
私自身も、高齢の家族に「ネットスーパーが便利だから使ってみようよ」と教えてみたものの、「そんなの今さら覚えられないよ」と、あまり相手にしてくれないのです。確かにスマートフォンやタブレットやPCの操作スキルは個人差が大きいのが実情です。
でも「話すこと」は、多くの人が子どもの頃から自然にやっていることです。そして2022年11月にChatGPTが登場したことで、人間とAIとの対話が実現しつつありました。
当時はまだGPT-3.5のみが公開されていたので、対話の精度には改善の余地が大いにあるとは感じましたが、その後、2023年1月にGPT-4が公開されて対話もグッと洗練されました。
その時に、AIがこの速度で進化していくなら「音声対話型コマース」はいけるかもしれないと思いました。そして時を同じくして、GMOインターネットグループでもAI活用が始まったのです。
——GMOインターネットグループのAI活用社内コンテストに企画を応募したのですね。
そうです。AIがこの先の世の中で重要なものになると確信し、グループ全体で、AI活用に全力で舵を切ったことが、私にとっても追い風になりました。誰もが「できるよ!」と前向きに考える雰囲気があるグループなんです。そしてコンテストで賞を獲ったことがさらに強い追い風になりました、夢が夢で終わらなくなるんですね。
自分の考えた企画が形になったことは本当にうれしいですし、夢を実現するシステムを作ってくれた熊谷代表(GMOインターネットグループ代表取締役グループ代表の熊谷正寿氏)とグループに感謝しています。
香川県坂出市王越町とGMOメイクショップの「縁」
——「ChatGPTを活用した高齢者向け音声対話型コマース」は実証実験というかたちでスタートしました。実証実験の地が香川県坂出市王越町になった理由は。
GMOメイクショップの向畑社長(GMOメイクショップ代表取締役社長CEOの向畑憲良氏)の故郷が王越町だったことが、私たちGMOインターネットグループと坂出市とのご縁の始まりでした。
GMOメイクショップの向畑社長(GMOメイクショップ代表取締役社長CEOの向畑憲良氏)の故郷が王越町だったことが、私たちGMOインターネットグループと坂出市とのご縁の始まりでした。
香川県坂出市は崇徳天皇陵でも知られる歴史ある町
坂出市の商工会議所主催の集いで、KBNから向畑社長に「何か一緒に取り組みたいですね」と打診をいただきました。まさにそのタイミングで、こちらも「ChatGPTを活用した高齢者向け音声対話型コマース」の提携先を探していたのです。
——ご縁がつながったのですね。
そうです、幸運でした。早速、企画内容をKBNにお話して、企画の意義や内容にご賛同いただけたので、坂出市とも連携して実証実験を開始しました。
KBNが坂出市に根差したケーブルテレビ局だったおかげで、実証実験はスムーズに進みました。例えば実証実験中に発生した「買い物の支払い」は、毎月のケーブルテレビ局の視聴料と一緒にお支払いいただく仕組みにしました。そのおかげで実証実験のために引き落とし用の銀行口座やクレジットカードを新たにご登録いただかなくてよいので、セキュリティの面でも安心でしたし、導入のハードルも低く抑えることができました。
そもそも高齢者にとってケーブルテレビは毎日視聴するなじみ深い存在ですから、そういった意味でも良いパートナーに恵まれたと思います。
——実証実験スタートと同時に、畔上さんは坂出市に引っ越したのですね。
はい、坂出市役所の坂出市民公民連携・DX推進課というところにGMOメイクショップから出向し、実証実験に取り組みました。そして坂出市のその他のDX施策にも携わっています。
休日には趣味のランニングで坂出市の瀬戸大橋記念公園を走ったり、香川県内の別の町へ自宅から走って行ったり。香川名物のうどんにも詳しくなりましたよ! 私の1番のお気に入りのうどん店は坂出市の「柏原」です。だしが優しくて、しっかりコシのある麺で素晴らしい。毎日食べても飽きません。
——ご縁がつながったのですね。
そうです、幸運でした。早速、企画内容をKBNにお話して、企画の意義や内容にご賛同いただけたので、坂出市とも連携して実証実験を開始しました。
KBNが坂出市に根差したケーブルテレビ局だったおかげで、実証実験はスムーズに進みました。例えば実証実験中に発生した「買い物の支払い」は、毎月のケーブルテレビ局の視聴料と一緒にお支払いいただく仕組みにしました。そのおかげで実証実験のために引き落とし用の銀行口座やクレジットカードを新たにご登録いただかなくてよいので、セキュリティの面でも安心でしたし、導入のハードルも低く抑えることができました。
そもそも高齢者にとってケーブルテレビは毎日視聴するなじみ深い存在ですから、そういった意味でも良いパートナーに恵まれたと思います。
——実証実験スタートと同時に、畔上さんは坂出市に引っ越したのですね。
はい、坂出市役所の坂出市民公民連携・DX推進課というところにGMOメイクショップから出向し、実証実験に取り組みました。そして坂出市のその他のDX施策にも携わっています。
休日には趣味のランニングで坂出市の瀬戸大橋記念公園を走ったり、香川県内の別の町へ自宅から走って行ったり。香川名物のうどんにも詳しくなりましたよ! 私の1番のお気に入りのうどん店は坂出市の「柏原」です。だしが優しくて、しっかりコシのある麺で素晴らしい。毎日食べても飽きません。
瀬戸大橋と瀬戸内海の島々を望む瀬戸大橋記念公園。一周およそ1400mなのでインターバルトレーニングに最適なのだとか
i4U編集部
i4U(アイ・フォー・ユー)は、新しい「情報」と「感動」と「笑顔」をお届けする、GMOインターネットグループのオウンドメディアです。有名メディアでの執筆・編集経験者による記事をお楽しみください。