「AIで未来を創る」GMOインターネットグループが生成AIの活用推進で目指すもの

i4U編集部

AIGMOインターネットグループインタビュー
GMOインターネットグループでは「AIで未来を創るNo.1企業グループへ」をグループ全体の経営目標スローガンに掲げ、さまざまな取り組みを行っています。それぞれの取り組みが実を結び、取り組みから13カ月後の2024年4月には、業務での生成AI活用によりグループ全体で1カ月あたり10万6000時間の業務時間が創出されたと発表されました。

この取り組みの中心となっているのが「AI(愛)しあおうぜ!プロジェクト(以下、AIしあおうぜ!プロジェクト)」です。グループがどのようにしてAIの業務活用を進め、達成し、次の目標に向かっているのか、プロジェクト担当責任者でGMOインターネットグループ アプリケーション開発本部DX推進開発部 部長の李奨培(リ・ジャンベ)氏に聞きました。

GMOインターネットグループ アプリケーション開発本部DX推進開発部 部長 李奨培(リ・ジャンベ)氏

きっかけは熊谷代表の“宣言”

——GMOインターネットグループでは、どのような経緯でAIの活用推進が始まったのですか。

もともとGMOインターネットグループ では、約10年前からデータサイエンティストを採用して金融関連データの解析などでAIの研究開発を進めていました。

その流れの中で、生成AIの可能性についても、OpenAIがChatGPTを公開した2022年11月の時点で熊谷代表(GMOインターネットグループ 熊谷正寿 代表取締役グループ代表)が既に注目していました。

そして2023年3月10日に「ChatGPTの活用を積極的に推進するため、賞金総額1000万円の『ChatGPT業務活用コンテスト』を開催します」とX上で宣言したことから「AIしあおうぜ!プロジェクト」が始まりました。実はこの時はまだ、チームメンバーも決まっていませんでした。

そこで、まずは私がプロジェクトリーダーに立候補して、さらに必要なメンバーにも直接指名で声をかけ、コアメンバーが固まりました。そのコアメンバーを中心に、それぞれの施策で必要な人をどんどん巻き込んでプロジェクトを進めています。

——「ChatGPT業務活用コンテスト」がAI推進の第一歩だったのですね。

はい。「ChatGPT業務活用コンテスト」では、コンテスト開始から10日あまりの4月14日時点で、170件以上のビジネスアイデアやChatGPTの機能が実装されたアプリなどの応募がありました。

グループ全体でAIを活用していく最初のきっかけとして良い施策だったと思います。

「自分たちの活用」から「社会への浸透」へ

——「AIで未来を創るNo.1企業グループへ」というキャッチコピーには、どういう意味がありますか。

2023年まで使っていたスローガン「AI活用No.1企業グループ」には、「自分たちがAIを活用する」という意味が含まれていました。まずはパートナー(従業員)全員がAIを使いこなすことを目標に掲げ、グループ全体にその意識付けをしました。また既存サービスに対してAI技術を導入することで、サービスの質そのものを向上させていくことも並行して行いました。  AIを活用することは、もはや私たちにとって当然のことです。

そして私たちGMOインターネットグループは、インターネット産業におけるインフラを日本で一番普及させてきた会社です。それはIT産業がAI産業となりつつある今でも同じだと考えています。たとえば「.ai ドメイン」の提供や、生成AIの基盤となるクラウドインフラの提供に向けて約100億円を投資すること、そして生成AIプロンプトの提供など、あらゆるAIインフラの提供を始めています。さらに、AI産業を盛り上げるために、AIスタートアップへの投資も行っています。

つまり、AIインフラの提供と、AIスタートアップ投資の2つで、No.1になることを目標にしているのです。となると、私たちとAIとの向き合い方は、内部での「活用」にはとどまりません。世の中にAIを広めることが、GMOインターネットグループのミッションだと考えています。

そういった私たちの目標が「AIで未来を創るNo.1企業グループへ」というキャッチコピーに込められています。

——AI活用推進を始めて、社内にどのような変化がありましたか。

「ChatGPT業務活用コンテスト」での応募を順次実現したり、AI活用を推し進めるさまざまな社内プロジェクトが、すさまじいスピード感で立ち上がっていきました。

まず、知識の泉ともいえる社内図書館「GMO Library」を刷新。「AI読むべき100冊」と銘打って、社内外のAI研究者・専門家が選書した良書や話題の新刊を中心に揃えました。本のセレクションについては、定期的にアップデートを重ねて「社内図書館に行けば、最新の書籍がある」状態を保っています。この「AI読むべき100冊」は、「ChatGPT業務活用コンテスト」でパートナーから出た案のひとつでした。

社内図書館「GMO Library」にはAIにまつわる技術書・人文書が並ぶ

AI活用の知見を交換する社内SNS「GMO Genius(以下、Genius)」も、コンテストの応募作から生まれたプロジェクトです。もともとGMOインターネットグループは、優れたノウハウを社内で共有する文化があります。ですからGeniusでも、社内の業務効率化につながった事例を共有するほか、国内外の最新のAIニュース、技術的な情報、プロンプトのコツまで、毎日積極的な投稿が続いています。


さらにAIを用いた開発をスタートする際のハードルをグループ全体で下げるために、NVIDIAのGPUのH100やL4を搭載したサーバーをすぐに使える仕組みも作りました。こちらもコンテストで提案された仕組みです。同時に、ハイスペックなGPUを搭載したゲーミングノートパソコンの貸与もスタートさせました。エンジニアが「作りたい!」と思ったら、すぐに着手できる環境を整備したのです。環境がないのに「やれ!」と号令をかけても何も進みませんから。

このように、社内のAIリテラシーを高める環境作りや開発環境の整備を続けてきたわけですが、そのなかでも社内の雰囲気が最も大きく変わるきっかけになったのは「GMO AIパスポート」だと思います。これはグループの全パートナーを“AI人財”とするためにオリジナルで制作したテストです。GMOインターネットグループの国内全パートナーに受検を課して、合格も必須としました。

——「GMO AIパスポート」は合格率100%を達成したのですか。

はい。達成しました。

「GMO AIパスポート合格率100%達成」について語り始め、スイッチがONになった李氏

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i4U編集部

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