絶対見たい!地元フォトグラファー厳選 北海道の冬の絶景5選

齋藤 千歳

Specialイベントカルチャー

命に関わる寒さのなかで眺める極寒の絶景は「神々しい」レベル

筆者はもともと地元が北海道千歳市のフリーのフォトグラファーライターです。撮影や旅行スポットの紹介記事のために、長年さまざまな絶景スポットを訪れています。

そんな筆者は、絶景スポットを訪れるなら「夏の北海道」よりも「冬の北海道」をおすすめします。筆者の住む千歳市は札幌を含む道央の地域ですが、真冬は普通に最低気温がマイナス20度なんて日もあります。

レンタカーを運転するにも基本的に圧縮アイスバーンの雪道、マイナス2桁珍しくない超低温と、命に関わるレベルのリスクはあるでしょう。しかしそれでも筆者を引きつけてやまない魅力が、北海道の冬の絶景スポットにはあります、

特に「ジュエリーアイス」「風蓮湖のワシ」「網走の流氷」「音羽橋のタンチョウ」「音更の馬追い運動」は無神論者の筆者ですら、あまりの神々しさに「なにか神のようなもの」を感じてしまうレベルです。

北海道の長い冬はまだまだ続きますし、来年のプランにもオススメ!ご自身がその風景の一部になって、雄大な北海道の冬をぜひ体験してみてください。

朝日に輝く「ジュエリーアイス」は極寒の砂浜を歩く価値がある美しさ

夜明け前に歩く、極寒の砂浜の風景もとても印象的

朝日に照らされるジュエリーアイスと海岸線に打ち寄せる波を一緒に撮影しました

「ジュエリーアイス」をご存じでしょうか? 「知らない」という方も多いと思います。北海道豊頃町大津海岸に打ち寄せされる透明度の高い氷が「ジュエリーアイス」と呼ばれています。豊頃町自体も「新絶景」などと呼んでおり、注目されるようになったのは、ここ10年くらいといったところでしょう。

冬になると凍結する十勝川の氷が海まで流れ出て、波などに洗われたあと、河口付近にある豊頃町の大津海岸に打ち寄せられます。この大津海岸は東向きの砂浜のため、打ち寄せられた大小さまざまな形の「ジュエリーアイス」が日の出の光に照らされて輝くわけです。この光景を写真に収めようと多くの観光客などがもっとも寒い日の出前から、砂浜を歩いて「ジュエリーアイス」を探します。

マイナス20度近い気温になることもめずらしくありませんが、運がよければ写真のように「ジュエリーアイス」を手にとって記念撮影もできます

最近少なめなので、事前にしっかり調べて出掛けたい

超低温のため大津海岸では、海面に霧が発生する蒸気霧(=けあらし)もよく見られ、「ジュエリーアイス」「朝日」「けあらし」といったフォトジェニックな超低温の絶景が比較的手軽に楽しめるため、多くの観光客に人気です。

ただ、筆者が知っている限り、なぜかここ数年打ち上げられる「ジュエリーアイス」の数は少なめです。ジュエリーアイスがなくても十分フォトジェニックな場所ではありますが、WEBサイト「ジュエリーアイス通信」などで最新の情報をチェックして、「ジュエリーアイス」の打ち上げられている状況を確認してから現地に行ってみましょう。

しっかりと防寒装備をして、ぜひ訪れてみてください。

2018年に撮影した写真などを見返すと、大津海岸の砂浜に「ジュエリーアイス」がゴロゴロしていたのですが、最近は少し少ないようです

【撮影のポイント】「グラデーションハーフNDフィルター」がおすすめ

筆者が現在愛用しているグラデーションハーフNDフィルター「Cokin NX エキスパートキット」

最初に掲載した写真を見て「不思議だな」と思った方は撮影上級者でしょう。背景の日の出の空と手前の「ジュエリーアイス」は大きく明るさが違うので、普通は「ジュエリーアイス」がかなり暗くなってしまいます。

そのため筆者はグラデーションハーフNDフィルターを使っています。さまざまなメーカーから、いろんなブランドのものが出ていますが、筆者はいろいろ使って現在は「Cokin NX エキスパートキット」をコアにオプションをプラスして使っています。

「ジュエリーアイス」の撮影だけでなく朝日や夕日といったフォトジェニックなシーンをより印象的に仕上げることができるので、下手なレンズを買うより効果が高く、おすすめです。「ジュエリーアイスの撮影にはグラデーションハーフNDフィルター!」と覚えておきましょう。

■ジュエリーアイスへのアクセス

ジュエリーハウスを目的地に訪れるのがおすすめ。新千歳空港からは道東自動車道を使ってクルマで約3時間ちょっと。「ジュエリーアイス」のシーズン中はジュエリーハウスにあるトイレが24時間使用できるのがとてもありがたい。最も近いコンビニまでクルマで20分ほどかかるので注意してください。

翼長2mを超える世界最大級の「オオワシ」と「オジロワシ」が乱舞する風蓮湖

ここ数年は「ハクトウワシ」も目撃されている

すれ違う2羽のオジロワシを撮影した1枚。翼開長2mオーバーの最大級クラスの猛禽(もうきん)類です

羽を広げると翼開長が2mを超える、世界的にみても最大級の猛禽(もうきん)である「オオワシ」や「オジロワシ」が数十羽単位でワラワラいるポイントがあると言われたとき、筆者は「本当にそれって日本国内?」と思いました。

実はオジロワシやオオワシは北海道では比較的よく見かける鳥ではありますが、だいたい1羽、多くても数羽レベルが普通でしょう。

しかし、今回紹介する根室市の風蓮湖にある道の駅「スワン 44 ねむろ」付近では、毎年数十羽レベルのオオワシやオジロワシが乱舞する様子が簡単に観察できます。当然、これには理由があり、風蓮湖では100年以上続いているという「氷下網待ち漁」が湖の凍結する1〜3月のシーズンに行われるためです。氷の下に網を仕掛けて行われる伝統的な漁なのですが、漁師さんが市場に出さない漁のおこぼれをワシたちに分けてあげています。

このおこぼれを狙って、驚くような数のオオワシとオジロワシ、さらにはトンビやカラスたちも集まって来ます。道の駅「スワン 44 ねむろ」の隣には、氷下網待ち漁に行くための漁師さんたちの基地があり、道の駅に集まった観光客などにも見やすい位置におこぼれを置いてくれるために多くの人が集まります。

この日は比較的数は少なかったのですが、画面内にたくさんのワシが飛んだり、止まったりしているのがわかるでしょうか

氷下網待ち漁に出る漁師さんたちの時間に合わせて、日の出前に行かないとワシたちに出合えないのではと思う方も多いでしょうが、実は意外とのんびりです。

ワシたちは夜明けの後、日が昇ってから各自それぞれ道の駅の周辺に飛んでくるので、筆者の経験からいうと7時過ぎくらいから、チラホラと集まって来るイメージ。日の出前というイメージが強い漁師さんたちの出発も実は8時くらいからで、ワシたちにおこぼれを分けてあげるのは、漁から戻ってきたタイミングなので、10時過ぎから12時くらいといった印象です。

そのため、午前中に道の駅「スワン 44 ねむろ」に到着していれば、しばらく待っているとスノーモービルで戻ってきた漁師さんたちがおこぼれを分けてあげるタイミングに出合えるでしょう。すると数十羽レベルのオオワシとオジロワシが乱舞するわけです。ちなみに地元の方によるとオオワシとオジロワシ以外にもここ数年「ハクトウワシ」の姿を見かけることがあると言います。

たくさんのオオワシやオジロワシが乱舞するので写真のような写真も比較的撮りやすいのがうれしいところです

【撮影のポイント】600mm程度の高倍率超望遠ズームレンズがあると非常に便利

2023年2月中旬に発売されたSIGMA 60-600mm F4.5-6.3 DG DN OS | Sports。とても便利で高性能です

ワシなどの撮影といえば、500mm、600mmといった超望遠単焦点レンズでしょう。性能や画質などを追求すると、これらのレンズに行き着くのでしょうが、一部の限られたユーザー向けという印象は拭えません。

大きいとはいえ、オオワシやオジロワシなどを撮影するにも600mmといった超望遠レンズが必要になります。例えばSIGMA  60-600mm F4.5-6.3 DG DN OS | Sportsは、10倍ズームとは思えない高画質と広角端60mmと標準域での撮影も可能。超望遠による生き物の写真とまわりの景色も入れた風景写真的な撮影がレンズ交換なしで楽しめ、非常に便利です。超望遠ズームレンズを検討するなら、今後は考慮に入れたいズームレンズの焦点距離と言えるでしょう。

■道の駅「スワン 44 ねむろ」へのアクセス

道の駅「スワン 44 ねむろ」へのアクセスは、Googleマップなどで目的地を道の駅「スワン 44 ねむろ」に設定すれば、間違いないでしょう。国道44号線沿いにあり、日本本土最東端の道の駅だそうです。24時間使用できる公衆トイレも完備されているので、非常に助かります。

脳がバグるような衝撃を感じられる「流氷」は筆者のイチオシ

海が氷で埋め尽くされるような「流氷」の風景は強烈な印象

流氷観光の定番とも言える網走流氷観光砕氷船「おーろら2」。海面はほぼ流氷に覆われています

今回は冬の北海道の絶景5選を紹介していますが、どれか1つに絞れと言われれば、筆者は迷うことなく「流氷」を選びます。「ベタな」と思われる方もいるかもしれませんが、海面が浮かんだ氷に埋め尽くされるような流氷の光景は、そのスケール感も含め、自分が目にしている光景が信用できないというか、理解できないというか、ちょっと脳がバグった? のではないかと思うほどの力があります。オホーツク海沿岸の流氷を見たことがないという方は、ぜひ一度は訪れていただきたい。

そして網走で流氷を見るなら定番の観光ルートは「網走流氷観光砕氷船 おーろら」でしょう。沖合航行(流氷あり)で個人大人4000円(約1時間)とお安くはないですが、一生忘れられない風景と出合えると思います。

網走流氷観光砕氷船 おーろらから流氷の上で羽を休めるオオワシを撮影。予想以上の風景に出合えることが多いです

流氷の季節に網走を訪れると、筆者が必ず朝焼けの風景を撮りに行くのが「能取岬(のとろみさき)」です。高さ50m前後の隆起断崖で能取灯台もあるオホーツク海に突き出た岬。東側には知床連峰が臨め、流氷のシーズンには流氷に覆われた海から現れる日の出の風景が撮影できるスポットになっています。筆者のねらいは、この朝焼けの風景です。

中国で大ヒットした映画「非誠勿擾」(邦題:狙った恋の落とし方。)のロケ地としても有名。実際、筆者が朝方撮影していると、マイナス15度前後の寒さの中、タクシーでやってくる外国人観光客を目撃したこともあります。また、嵐が出演していたJALのCMでご覧になったことのある方もいるのではないでしょうか。

流氷の季節に撮影した、能取岬からの朝日の風景。もっと一面流氷という写真を撮影したいのですが、なかなかすべてがそろわないので何度も通ってしまいます

【撮影のポイント】「バラクラバ」を用意しておくのがおすすめ

筆者はモンベルのバラクラバを愛用しています。さほど厚いものでなくても、あるだけで暖かさがまったく違います

冬の北海道の絶景は、たいてい極端に寒いです。朝日の風景撮影などは、極寒の北海道で1日のうちでもっとも寒い夜明け前に、見通しの良い=吹きさらしの場所で三脚を構えて、1時間以上待つことも珍しくないので、まさに苦行といえます。

そのため筆者は、ザ・ノース・フェイスのヒマラヤンシリーズやマウンテンハードウェアのアブソリュートゼロシリーズなど極地仕様の防寒着を導入して、少しでも暖かく撮影できるようにしています。しかし、これらの防寒着はかなりお高い。趣味で撮影や登山といった人以外が観光のためだけに買うには、少しオーバースペックでしょう。

そこでおすすめしたいのが登山・アウトドア用の「バラクラバ」(目出し帽)です。各種アウトドアブランドから発売されており、数千円で購入できるものがほとんど。ちょっと見た目はオーバーな感じですが、ちょっと風のある日などは、あるとなしでは大違いです。超寒冷地の絶景を訪れるなら一つ持っておくと、本当に暖かいですよ。

■流氷へのアクセス

流氷がどこまで来ているのかの確認は、第一管区海上保安本部の「海氷情報センター」を参考にするのがおすすめです。また、網走流氷観光砕氷船おーろらの乗り場から女満別空港まではクルマで約30分と近く、絶景とはいえ、交通アクセスは予想以上に良いといえるでしょう。
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齋藤 千歳

フォトグラファー・ライター
北海道千歳市在住・千歳市生まれのフォトグラファー/ライター。キャンピングカーの「方丈号」から各種アウトドア、カメラ、レンズ、ガジェットに関する情報を発信したり、家族3人で北海道一周などしたりを楽しんでいる。

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