スマホでも撮れる!北海道ならではのかわいい野生動物「エゾリス」と「ナキウサギ」に出合う方法

齋藤 千歳

Specialイベントカルチャー

「エゾリス」と「ナキウサギ」は出合える可能性大の野生動物

北海道旅行で出合ってほしいかわいい動物たち

北海道旅行の魅力といえば、おいしい食べ物に、広大な風景、そして北海道にしかいない野生動物との出合いではないでしょうか。ヒグマに、キタキツネ、エゾシカなど、さまざまな動物がいる北海道ですが、筆者のおすすめは「エゾリス」と「ナキウサギ」です。

シマエナガもいますが、シーズンは冬だけ。これに対して「エゾリス」と「ナキウサギ」は夏休みシーズンはもちろん秋の旅行シーズンにも出合えて、しかも場所さえ分かっていれば、半日程度で出合えるという「合いに行けるアイドル」的存在なのです。

そのうえ、野生動物の撮影といえば望遠レンズがないと撮影できないイメージですが、「エゾリス」と「ナキウサギ」なら、運さえ良ければ、手を伸ばせば届きそうな距離に現れることも珍しくなく、スマートフォンでも撮影可能です。至近距離に現れてくれるかどうかは運次第ですが、小1時間待っていれば目視で十分観察できる距離で出合える可能性は非常に高いでしょう。

このレポートでは、小学生以上のお子さんなら、十分に一緒に行けるフィールドで、かなり高確率で「エゾリス」や「ナキウサギ」と出合える方法を解説します。旅行で北海道を訪れたら、家族や友人たちと北海道ならではのかわいい野生動物の観察にチャレンジしてみてはどうでしょうか。

「エゾリス」なら千歳市の青葉公園がおすすめ

空港からクルマで約10分、苫小牧のフェリーターミナルからも約30分

エゾリスは北海道なら住宅地で出合うことも珍しくない野生動物です。個体によっては人懐っこいこともよくあります

エゾリスは北海道ならどこにでもいると言ってもいい、道民なら見たことがないという人の方が珍しいほど非常によく見る野生動物です。筆者の家の近所にもいますし、クルマを運転していて市街地で見かけることもあります。しかし「どこに行けば会えるの?」と聞かれると、地元の方でも答えに困る動物とも言えるのです。だって、どこにでもいるのですから……。

運が良ければ、札幌市内の公園や神社でも出合えるエゾリスですが、筆者がおすすめするスポットは千歳市内にある「青葉公園」です。空路で北海道旅行に来られる大部分の方が到着する新千歳空港からクルマでわずか10分の距離。

レンタカーは使わないという方なら、まずは新千歳空港駅からJRで千歳駅へ。千歳駅からバスに乗り、泉沢向陽台線で本町2丁目、もしくは図書館青葉線で図書館前で下車。千歳駅から徒歩でも30分程度で到着します。空路ではなくフェリーで来る方にとっても、苫小牧西港のフェリーターミナルから千歳市にある青葉公園までは、クルマで約30分です。

つまり、北海道を訪れる多くの方にとってアクセスが容易で、簡単にエゾリスに出合えるスポットが青葉公園なのです。Googleマップなどで検索する場合は「千歳市立図書館」で検索するのがおすすめ。青葉公園自体はかなり広いので「千歳 青葉公園」で検索するより、駐車場などを含めピンポイントに検索ができます。

千歳市立図書館の外観です。無料駐車場も充実しているので、筆者は市立図書館をスタート地点としてジョギングを楽しんでいます

望遠レンズがあると便利だが、運さえ良ければスマホでも十分

筆者は望遠レンズを使っていますが、撮影距離は驚くほど近く。その気になれば、手が届きそうな距離で撮影していることもよくあります

青葉公園内にはジョギング・ウオーキングコースが設定されており、だいたいいつ行っても多くの市民のみなさんがウオーキングやジョギングを楽しんでいます。エゾリスに出合うには、同じようにこのコースを散策するのがおすすめなのですが、出合えるかどうかは運次第です。筆者は最近ある程度天気のよい日の午前中に毎日のように走っていますが、コースを1周して1頭のエゾリスにも出合えなかった経験はありません。とはいえ、相手は野生動物なので運次第です。

さらに重要なポイントがエゾリスのご機嫌といえます。青葉公園のジョギング・ウオーキングコースを歩いていて、エゾリスの姿を初めて見つけると多くの方が走って近づこうとするのですが、これはやめた方がいいです。森の中を走るエゾリスのスピードに私たちが追いつける可能性はゼロ。ゆっくりと静かに近づき、少しずつ距離を詰めていくのがおすすめ。

エゾリスたちが遊んでくれるときは、思った以上に逃げていかないのです。突然、走って追いかけるとエゾリスも警戒して森の奥に逃げてしまうので注意してください。逃げていかないエゾリスたちは、しばらくすると逆に自分たちから近づいて来てくれます。運が良ければ、手を伸ばせば届く程度の距離までは近づいて来てくれるので、実は双眼鏡や望遠レンズがなくても肉眼やスマートフォンで十分に観察や撮影が楽しめます。

スマートフォンなどの携帯で撮影しようと考えたときに問題になるのは望遠性能よりも、ピントを合わせるAF(オーフォフォーカス)の性能かもしれません。それくらいエゾリスはすばしっこいです

よりかわいくエゾリスを撮影したいなら望遠レンズがおすすめ

軽量でコンパクト、しかも堅牢性も高いため、筆者は最近アウトドアフィールドではオリンパスのカメラブランド・OM SYSTEMのミラーレス一眼カメラ「OM SYSTEM OM-1」を愛用しています

スマートフォンでも撮れると言っても、当然ながら本格的なカメラがある方がよりかわいくエゾリスを撮影できます。筆者は最近の撮影では、ミラーレス一眼カメラ「OM SYSTEM OM-1」と望遠レンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO」もしくは「M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS」により望遠能力を上げるテレコンバーター「M.ZUIKO DIGITAL 1.4x Teleconverter MC-14」を組み合わせて使っています。

マイクロフォーサーズと呼ばれるOM SYSTEMが採用するシステムは撮像素子サイズが小さいので、すべてが軽量コンパクトなうえに、望遠撮影に強く、コストパフォーマンスも高い野生動物の撮影フィールドに向いたカメラシステムといえます。

とはいえ、筆者がOM SYSTEM OM-1などの本格的なカメラをエゾリスの撮影におすすめする最大の理由は望遠レンズよりも「被写体認識」や「顔認識」などと呼ばれる高度な自動ピント合わせのシステムが利用できるからです。OM SYSTEMでは「AI被写体認識AF」と呼ばれていますが、これを利用すると走っているエゾリスの目にピントを合わせるといった人間ではほぼ不可能なピント合わせを高確率で行ってくれます。同じような機能はOM SYSTEM以外の比較的新しいミラーレス一眼カメラの多くに搭載されているので、すでにミラーレス一眼カメラをお持ちの方はぜひ活用してください。

望遠レンズはこだわり始めるときりがありませんが、初めてエゾリスを撮影する方は、望遠レンズはすでに持っているレンズでもっとも望遠のもので十分です。所有されているカメラのメーカーや撮像素子のサイズなどでも異なりますが、望遠側が200mmや300mmとか書いてあるもっとも数字の大きなもので十分です

ちなみに筆者の使っているOM SYSTEMはマイクロフォーサーズなので、35mm判フルサイズに比べると望遠効果が2倍相当になるので「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO」は望遠端が300mm相当、「M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS」は望遠端が800mm相当になります。新たにカメラごと購入する方はダブルズームレンズキットなどを選択して、望遠の方のレンズを使えば十分です。

OM SYSTEMの「AI被写体認識AF」などを使うと画面内のエゾリスの顔や目を認識してピントを合わせてくれるので非常に便利。初心者の方にほど、おすすめしたい機能です

青葉公園でエゾリスに出合うために必要な装備

青葉公園のジョギング・ウオーキングコースを走っていると突然現れるエゾリスたち。遊んでくれるかどうかは彼らの気分次第です

千歳市の青葉公園は、JR千歳駅や千歳市役所からも徒歩圏内の住宅地などに隣接した公園です。そのため、この公園内でエゾリスに出合うために特別な装備は必要ありません。多くの市民の方がジョギングやウオーキングを楽しんでいますし、トイレや飲料水の自動販売機なども設置されているので、動きやすい格好であれば、特別に必要になるものはないでしょう。

ただし、舗装されていない森の中にあるコースを歩くので、道がぬかるんでいるときは長靴などがおすすめです。また夏場は走ったり、歩いたりと動いているときは気にならないのですが、立ち止まると蚊などの虫が寄ってくるので「虫よけスプレー」を使うことをおすすめします。

ミラーレス一眼カメラなどの本格的なカメラをもっていく方は、設定を「シャッター優先AE」、シャッター速度「1/500秒」、ISO感度「オート」、ドライブを「高速連写」でAFは「被写体認識」もしくは「AF-C」に設定しておくとエゾリスを撮影しやすいと思います。

筆者は液体のスプレータイプ「スキンバルサン 虫よけミスト」を愛用しています。特に足元はしっかりとスプレーするようにするのがおすすめです

千歳周辺以外にもエゾリスの撮影スポットは数多くある

写真はエゾエンゴサクとの組み合わせでエゾリスが撮影できることで有名な浦臼神社で撮影した1枚。道内各地に撮影のポイントがあります

新千歳空港や苫小牧のフェリーターミナルから北海道にアクセスする方は多いのですが、当然そうではないという方もいるでしょう。最初にも述べたようにエゾリスは北海道ではかなりどこにでもいる動物です。そのため地元で有名な撮影ポイントがあります。

例えば「とかち帯広空港」のある帯広市付近では、帯広市から少し北にある音更町の「音更神社」などはエゾリス撮影の有名スポットで、札幌市から北側にある浦臼町の「浦臼神社」なども多くのカメラマンが集まるエゾリスの撮影地です。浦臼神社での撮影については「地元民が教える「絶対に教えたい」北海道の春の絶景3選」でも紹介していますので、ぜひこちらの記事もご覧ください。

北海道でエゾリスに会いたいと思ったら、滞在する地域の観光課や観光案内所、宿泊するホテルのフロントなどで近くにエゾリスと出合えるスポットはないか聞いてみましょう。意外と近所に地元の人しか知らないスポットがあることも珍しくありません。

■千歳市「青葉公園」へのアクセス

飛行機利用であれば新千歳空港、フェリー利用であれば苫小牧港からのアクセスが便利です。どちらからもレンタカーなどのクルマの利用が便利ですが、電車を利用する場合はJR千歳駅へ。千歳駅からはバスに乗って泉沢向陽台線で本町2丁目、もしくは図書館青葉線で図書館前で下車。千歳駅から徒歩でも30分程度で到着します。

Googleマップで検索するなら、公園が広すぎるので「千歳市 青葉公園」よりも「千歳市立図書館」がおすすめです。
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齋藤 千歳

フォトグラファー・ライター
北海道千歳市在住・千歳市生まれのフォトグラファー/ライター。キャンピングカーの「方丈号」から各種アウトドア、カメラ、レンズ、ガジェットに関する情報を発信したり、家族3人で北海道一周などしたりを楽しんでいる。

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