絶対見たい!地元フォトグラファー厳選 北海道の冬の絶景5選

齋藤 千歳

Specialイベントカルチャー

「タンチョウ」ってこんなにいるんだ! と驚く阿寒と鶴居村

せっかく行くなら夜明けの「音羽橋」にもぜひチャレンジ

おそらく世界でもっとも有名なタンチョウの撮影ポイントの一つ、音羽橋から撮った朝日の差し込むタンチョウたちのねぐらの様子

みなさんは野生の「タンチョウ」をご覧になったことがありますか? 優雅な印象の強いタンチョウは、日本国内最大の野鳥だそうです。ちなみに実際に間近で見るとかなりデカい。人間風に言うなら身長が約160cmあるので、立っている状態で顔の高さが人間とあまり変わりません。ちなみに羽を広げた翼開長は約250cmなので、かなりの迫力です。

学名はGrus japonensisで日本の鶴を意味します。まさに日本を代表する鳥の一つといえるでしょう。筆者の住む北海道では釧路市を中心とする道東地域に生息し、給餌場として阿寒町の「阿寒国際ツルセンター【グルス】」や鶴居村の「鶴居伊藤タンチョウサンクチュアリ」などが有名です。冬季シーズンは、これらの給餌場でちょっとびっくりするくらいの数のタンチョウと出合うことができます。時折すごく数が少ないこともあるようですが、筆者はだいたい「こんなにいるんだ!」という数のタンチョウがいるところしか見たことがありません。

写真は「鶴居伊藤タンチョウサンクチュアリ」で撮影しています。特別天然記念物のタンチョウですが、ここでは重ならないように撮影するのが難しいほどの数です

冬の昼間などは給餌場などにいることが多いタンチョウですが、夜は近くの川にあるねぐらに戻っていきます。このねぐらの一つが冬でも凍らない「雪裡川(せつりがわ)」。 この雪裡川にかかる「音羽橋」が、世界的にも有名な夜明けのタンチョウの撮影スポットです。

世界中から多くの観光客がやってきて、朝の時間帯はカメラを構えた人々が列になって並んでいる光景が見られます。1列、2列は当たり前で、混んでいるときは3列になることもあるといいます。海外からのお客さんもとても多いです。

朝焼けの時間のあと、暖かくなると給餌場などに向かって飛び立つタンチョウたちが撮影できるので、そのまま音羽橋でその飛翔のシーンを待つ、観光客やフォトグラファーの人々もいます。筆者も当然飛んでいるタンチョウを撮影してから移動する派です。

優雅な姿からは想像できないのですが、タンチョウが飛ぶスピードは速く約60km/hほどになるといいます

【撮影のポイント】軽くて小さい超望遠ミラーレンズが便利

2023年2月に発売されたばかりのTokina SZ 300mm PRO Reflex F7.1 MF CF。缶コーヒーのショート缶よりも小さくて軽い450mm相当の超望遠レンズです

筆者の場合、旅の目的自体が撮影であることも多く、機材の重さや大きさを無視して高性能な超望遠ズームレンズなどを持ち歩いていることも多いのです。しかし、2023年2月に発売されたばかりのTokinaのミラーレンズシリーズは超軽量でコンパクト。写真を掲載したTokina SZ 300mm PRO Reflex F7.1 MF CFは重量わずか235g、大きさは直径61mm、長さ74.5mmとショート缶の缶コーヒーとほとんど変わらないサイズと重さで450mm相当の超望遠撮影が楽しめます。

上着のポケットなどに簡単に入るサイズなので、旅行の際にもとても持ち歩きやすくて便利です。実は意外とオオワシやオジロワシ、タンチョウもゆっくりと動いたり、じっとしていたりする時間は長く、マニュアルフォーカスのミラーレンズでも思う以上に撮影が楽しめます。撮影最優先ではない方におすすめの超望遠といえるかもしれません。

また、450mm相当のTokina SZ 300mm PRO Reflex F7.1 MF CFのほかに、900mm相当のTokina SZ 600mm PRO Reflex F8 MF CFや驚異的な1350mm相当のTokina SZ 900mm PRO Reflex F11 MF CFといったミラーレンズもラインナップされており、どちらも800g以下と超軽量。軽やかに旅行も撮影も楽しみたい方は、ぜひ詳細をチェックしてみてはどうでしょうか。

■阿寒町・鶴居村へのアクセス

阿寒町の「阿寒国際ツルセンター【グルス】」や鶴居村の「鶴居伊藤タンチョウサンクチュアリ」、音羽橋へのアクセスは、単純にGoogleマップなどで目的地として指定すれば、問題なしです。また「阿寒国際ツルセンター【グルス】」のほぼ向かいが道の駅「阿寒丹頂の里」でRVパークや日帰り温泉、宿泊施設なども併設されているので、早朝は鶴居村の音羽橋、午前中は「鶴居伊藤タンチョウサンクチュアリ」、午後からは「阿寒国際ツルセンター【グルス】」といった感じの周り方をおすすめします。

軽自動車よりも重い馬が数十頭単位で雪原を走る「馬追い運動」の迫力に驚く

「北斗の拳」のラオウの愛馬・黒王号が集団で走ってくるイメージ

帯広市に隣接する音更町。この音更町の家畜改良センター 十勝牧場で、毎年1月中旬から2月の後半の約1カ月間、軽自動車よりも重い1トン前後もある重種馬たちが数十頭単位で雪原を走る「馬追い運動」というイベントが毎年公開されています。

写真では分かりづらいのですが、重種馬と呼ばれるばんえい競馬などにも登場する彼らは、個体差もありますが約1トン前後。多くの方になじみにあるサラブレッドが400〜500kg程度といいますから、約2倍の重さになります。今年(令和5年)は136頭が5グループに別れて雌馬が約30頭ずつ、1歳の雄馬が14頭ほどで1周800mの走路を毎日2〜3グループが早足で運動する様子が公開されます。

約1トンの重種馬と言われても、ちょっと想像しづらいと思いますが、ちょっと大げさですが「北斗の拳」に出てきたラオウの愛馬・黒王号サイズの馬が集団で雪を巻き上げながら走るところを想像してもらうのが、もっとも近いでしょう。

1トン前後あるとは思えないスムーズな動きで走る馬たち。見とれてしまうくらい美しい姿です

この馬追い運動ですが、シーズン中は平日の毎朝9時半くらいから行われるのですが、見学料などはかかりません。なんと無料です。一般公開の期間などは毎年異なるので家畜改良センター 十勝牧場のWEBサイトのお知らせなどで必ず詳細をチェックしてください。

家畜伝染病侵入防止のため、クルマで見学に行くためには車両消毒機を通過する必要などがありますので、WEBサイトをしっかりとチェックして、余裕をもって現地に到着することをおすすめします。

また、馬追い運動に参加する馬の約半数は妊娠しており、大迫力の馬追い運動は実は馬たちの冬の運動不足解消と、妊娠馬たちは胎児の過大による難産防止という目的で行われていることを知ると、どこかほっこりとした気持ちのなるのがおもしろいところです。

馬たちはまったく本気ではないのですが、大きな身体で雪煙を上げて走る姿は一見の価値がある迫力です

【撮影のポイント】ジンバル雲台にチャレンジしてみるのもあり

大きく重い超望遠レンズを素早く簡単に操作するためのジンバル雲台。筆者は最近写真の「SLIK TELEMASTER 800」を愛用しています

筆者の好みもありますが、今回の北海道の冬の絶景には野生動物がらみの景色が多く、写真を撮影するなら超望遠レンズがおすすめといったものが多くなってしまいました。この望遠レンズは短時間であれば、三脚などを使わない手持ちでもなんとかなるのですが、長時間の撮影になるとかなり腕が疲れてしまいます。

そこで望遠レンズを三脚に固定して、より素早く、簡単に操作するためのジンバル雲台を筆者は使っています。筆者の場合、望遠撮影は150-600mmのズームレンズ、SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG DN OS | SportsやSIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM | Contemporaryを使うことがほとんどなので、ジンバル雲台のなかでも小型軽量なSLIK TELEMASTER 800を選びました。

しっかりとバランスをとってSLIK TELEMASTER 800にレンズとカメラを取り付けておくと、一般的な雲台に比べて、かなり速く快適に超望遠レンズを操作することができ、飛んでいるオオワシやオジロワシ、タンチョウなどを気持ちよく撮影できます。動きの速い被写体をうまく撮影したいと思ったら、ぜひ試してみてはどうでしょうか。

■音更町へのアクセス

音更町家畜改良センター 十勝牧場の馬追い運動へのアクセスは、単純にGoogleマップで「馬追い運動」と検索するとヒットします。しかし、筆者としては馬追い運動の公式告知ページから場内案内図(PDF)をダウンロードして、その案内図どおりにアクセスすることをおすすめします。そのため、Googleマップで「駒場 白樺並木」を検索して、その絶景を楽しんだ後に車両消毒機を経由して見学場所に向かいましょう。

死ぬほど寒いのに! もっとすごい絶景に出合えそうで何度も通ってしまう

毎回なにかが違うから、新しい感動が見つかる!

信じてもらえないかもしれませんが、筆者は寒いのが大嫌いです。できることなら暖かい部屋でぬくぬくしていたい。しかし比喩表現ではなく、一歩間違えば死ぬほどに寒い、北海道の冬の絶景に何度も通ってしまうのです。

ジュエリーアイスは行ってもまったく見つからない日もありますし、流氷を見にオホーツク海沿岸まで行ったのにまだ流氷が来ていないこともありますし、ワシやタンチョウ、馬に至っては、彼らの気分次第といった要素すらあるわけです。

しかし、もっと冷え込んだら、けあらしがあったら、雪の積もった次の日なら、天気がもっと……などなど、少し何かが違ったら、さらに魅力的な絶景を体験し、写真にとらえることができるのではと期待して何度も通ってしまいます。

そして、また新しい感動を見つけたりもするわけです。さらに、いままで知らなかった絶景を知ることもあり、寒くて大嫌いな北海道の冬は毎年絶景を回りきれないうちに終わってしまいます。今回は、そんな北海道の冬の絶景から5つを紹介してみました。ほかにも紹介したいスポットはたくさんありますが、まずは鉄板ともいえる、この5つから体験してみてはいかがでしょうか?
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齋藤 千歳

フォトグラファー・ライター
北海道千歳市在住・千歳市生まれのフォトグラファー/ライター。キャンピングカーの「方丈号」から各種アウトドア、カメラ、レンズ、ガジェットに関する情報を発信したり、家族3人で北海道一周などしたりを楽しんでいる。

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