今年のゴールデンウィークは飛び石連休。まとまった休みが取りにくいからこそ、家でゆっくりと配信ドラマや映画を堪能するのもすてきな過ごし方です。そこで今回は6つの作品を紹介します。奇想天外な時代劇コメディから、王道ラブストーリー、不朽の名作まで厳選しました。あなたのGWを彩る作品がきっと見つかるはずです。
侍タイムスリッパー

インディーズ映画の聖地、池袋シネマ・ロサの単館上映から絶賛の口コミ拡散によって全国で上映されることとなり、自主制作映画でありながら「脚本が面白いから」と時代劇の本場・東映京都撮影所が特別協力!『侍タイムスリッパー』は多くの話題を呼んだ1本です。
<あらすじ>
時は幕末。会津藩士・高坂新左衛門(山口馬木也)は「長州藩士を討て」と家老じきじきの密命を受け、暗闇に潜んでいた。名乗り合い、刃を交えた瞬間、雷が轟く。目を覚ますとそこは現代の時代劇撮影所だった。
新左衛門は、はるか昔に江戸幕府が滅んだ事実に愕然としながらも、やがて決意を新たに現代で生きていくべく「斬られ役」で身を立てようと奮闘する。
エンドロールでは、本当にいい映画を見たときにしか味わえない余韻と気分の高揚を感じました。夢のある映画です。
「タイムスリップ×時代劇」テーマは王道の組み合わせ。しかし本作は主人公が偉人ではないこと、タイムスリップ先が現代の時代劇撮影所という点がストーリーのうえでも、主人公が現状を受け入れるうえでも大きなポイントです。
名のある侍ではない新左衛門が現代に来ても、歴史の変化のような劇的な展開にはなりません。さらに、もとの時代には戻れなさそう。生きていくためには現代に適応して、すぐにでも働く必要があります。とはいえ、侍の世界しか知らない新左衛門にできることは限られていて……。
タイムスリップ先に恵まれ、「斬られ役」への道が拓けた新左衛門。ラッキーに見えますが「本物の侍らしさを見せつけて時代劇のテッペンを獲る!」ではなく、脇役の「斬られ役」を選ぶあたりや、役の上とはいえ、自分を斬る相手が坂本龍馬だと知ると心が揺れ、会津藩への想いがにじみ出るさまには胸が痛みます。侍としての自分から離れられない様子は、異業種に転職したてのサラリーマンを見るかのよう。思わず感情移入してしまいます。
もちろん、小さくまとまって粛々と「斬られ役」にとどまるわけではない「本物の侍」らしさは、きちんと伝わる展開です。最後の殺陣のシーンからは「全力で今を生きる」という侍マインドが伝わります。
Amazonプライム・ビデオ、Hulu、U-NEXTなどで配信中(2025年4月現在)。ネットでの配信が始まってもなお、ロングラン上映をしている劇場もあるので、GWにスクリーンで堪能するのもおすすめです。
<あらすじ>
時は幕末。会津藩士・高坂新左衛門(山口馬木也)は「長州藩士を討て」と家老じきじきの密命を受け、暗闇に潜んでいた。名乗り合い、刃を交えた瞬間、雷が轟く。目を覚ますとそこは現代の時代劇撮影所だった。
新左衛門は、はるか昔に江戸幕府が滅んだ事実に愕然としながらも、やがて決意を新たに現代で生きていくべく「斬られ役」で身を立てようと奮闘する。
エンドロールでは、本当にいい映画を見たときにしか味わえない余韻と気分の高揚を感じました。夢のある映画です。
「タイムスリップ×時代劇」テーマは王道の組み合わせ。しかし本作は主人公が偉人ではないこと、タイムスリップ先が現代の時代劇撮影所という点がストーリーのうえでも、主人公が現状を受け入れるうえでも大きなポイントです。
名のある侍ではない新左衛門が現代に来ても、歴史の変化のような劇的な展開にはなりません。さらに、もとの時代には戻れなさそう。生きていくためには現代に適応して、すぐにでも働く必要があります。とはいえ、侍の世界しか知らない新左衛門にできることは限られていて……。
タイムスリップ先に恵まれ、「斬られ役」への道が拓けた新左衛門。ラッキーに見えますが「本物の侍らしさを見せつけて時代劇のテッペンを獲る!」ではなく、脇役の「斬られ役」を選ぶあたりや、役の上とはいえ、自分を斬る相手が坂本龍馬だと知ると心が揺れ、会津藩への想いがにじみ出るさまには胸が痛みます。侍としての自分から離れられない様子は、異業種に転職したてのサラリーマンを見るかのよう。思わず感情移入してしまいます。
もちろん、小さくまとまって粛々と「斬られ役」にとどまるわけではない「本物の侍」らしさは、きちんと伝わる展開です。最後の殺陣のシーンからは「全力で今を生きる」という侍マインドが伝わります。
Amazonプライム・ビデオ、Hulu、U-NEXTなどで配信中(2025年4月現在)。ネットでの配信が始まってもなお、ロングラン上映をしている劇場もあるので、GWにスクリーンで堪能するのもおすすめです。
私にふさわしいホテル

映画『私にふさわしいホテル』は、堤幸彦監督がのんを主演に迎えた文壇下克上コメディ。
<あらすじ>
新人賞を受賞したものの、大物作家・東十条宗典(滝藤賢一)に酷評され、華々しいデビューを飾るどころか小説を発表する場すら得られなかった、新人作家・中島加代子(のん)。
文豪御用達の「山の上ホテル」に自腹で宿泊した加代子は、大学の先輩でもある担当編集者・遠藤(田中圭)から、東十条が執筆のために上階に泊まっていることを聞かされる。
執筆を妨害し、東十条が文芸誌の締切を落とせば、そこに自分の原稿をねじ込むことができる……。文壇への返り咲きを狙う加代子と東十条の闘いがはじまる。
柚木麻子の同名小説を原作にした本作。数々の柚木作品の主人公の中でもトップクラスに頭の回転が早く、執念深く、食えない女が加代子です。境遇にこそ恵まれないものの、破天荒で野心家な性格に、行動力までを備えた強すぎる主人公なのです。
復讐劇といっても、コミカルで思わず声を出して笑ってしまうポップさがあります。編集者・遠藤とのやりとりや、東十条の部屋で繰り広げる「文豪コール」といった序盤のバトルはバカバカしくも楽しいパート。
復讐心を原動力に行動する加代子と、何度も踏み台にされる東十条(本当に懲りない)の関係は、作中何度も変化していき、共闘したり初心を取り戻すこともあるかと思えば、終盤では「そこまでやるか?」という加代子の執念深さが明らかになる場面も。
どうかすると「ヤバい女」にみえてしまいそうな加代子を、のんがパワフルかつキュートに演じます。
豊かな表情とキラキラ輝く瞳、長い手足で70年代ヒッピー風ファッションから着物、クラシカルなツイードジャケットまで、多彩な衣装を着こなします。何を着てもよく似合うし、どんな暴言を吐いていても、どこかに品と清潔感がある。素の加代子と、作家としてオフィシャルな場に立つときのギャップもステキです。
舞台となる山の上ホテルは老朽化のため一時休館中。品良くシックなインテリアはもちろん、長く大切に使われた建物特有の美しさも見どころのひとつです。山の上ホテルのプロモーションビデオとしても楽しく観ることができます。
本作はAmazonプライム・ビデオで配信中です(2025年4月現在)。
<あらすじ>
新人賞を受賞したものの、大物作家・東十条宗典(滝藤賢一)に酷評され、華々しいデビューを飾るどころか小説を発表する場すら得られなかった、新人作家・中島加代子(のん)。
文豪御用達の「山の上ホテル」に自腹で宿泊した加代子は、大学の先輩でもある担当編集者・遠藤(田中圭)から、東十条が執筆のために上階に泊まっていることを聞かされる。
執筆を妨害し、東十条が文芸誌の締切を落とせば、そこに自分の原稿をねじ込むことができる……。文壇への返り咲きを狙う加代子と東十条の闘いがはじまる。
柚木麻子の同名小説を原作にした本作。数々の柚木作品の主人公の中でもトップクラスに頭の回転が早く、執念深く、食えない女が加代子です。境遇にこそ恵まれないものの、破天荒で野心家な性格に、行動力までを備えた強すぎる主人公なのです。
復讐劇といっても、コミカルで思わず声を出して笑ってしまうポップさがあります。編集者・遠藤とのやりとりや、東十条の部屋で繰り広げる「文豪コール」といった序盤のバトルはバカバカしくも楽しいパート。
復讐心を原動力に行動する加代子と、何度も踏み台にされる東十条(本当に懲りない)の関係は、作中何度も変化していき、共闘したり初心を取り戻すこともあるかと思えば、終盤では「そこまでやるか?」という加代子の執念深さが明らかになる場面も。
どうかすると「ヤバい女」にみえてしまいそうな加代子を、のんがパワフルかつキュートに演じます。
豊かな表情とキラキラ輝く瞳、長い手足で70年代ヒッピー風ファッションから着物、クラシカルなツイードジャケットまで、多彩な衣装を着こなします。何を着てもよく似合うし、どんな暴言を吐いていても、どこかに品と清潔感がある。素の加代子と、作家としてオフィシャルな場に立つときのギャップもステキです。
舞台となる山の上ホテルは老朽化のため一時休館中。品良くシックなインテリアはもちろん、長く大切に使われた建物特有の美しさも見どころのひとつです。山の上ホテルのプロモーションビデオとしても楽しく観ることができます。
本作はAmazonプライム・ビデオで配信中です(2025年4月現在)。
阿修羅のごとく(Netflix版)

Netflix版『阿修羅のごとく』は、1979年にNHKで放送されたテレビドラマを是枝裕和監督がリメイクした作品。竹沢家四姉妹に扮する宮沢りえ、尾野真千子、蒼井優、広瀬すずといった俳優陣の豪華さも話題に。
<あらすじ>
ある冬の日。竹沢家の四姉妹が久しぶりに集まった。生け花を教える長女・綱子(宮沢りえ)、専業主婦の次女・巻子(尾野真千子)、図書館で司書として働く三女・滝子(蒼井優)、そしてウエイトレスの四女・咲子(広瀬すず)。
滝子によると、母・ふじ(松坂慶子)と暮らす老齢の父・恒太郎(國村隼)には愛人と子どもがいるという。信じられないとは思いつつ、母の耳には入れないことを誓い合う4人。しかしこの騒ぎをきっかけに、彼女たちの日常に潜むさまざまな葛藤や秘密が明るみに出る。
四姉妹の葛藤や怒りの表情を、憎悪や怒りを司る戦いの神・阿修羅になぞらえた物語が「阿修羅のごとく」です。
竹沢家は四姉妹と子だくさんで、姉妹の年齢差も大きく、長女と四女はおよそ20歳差。令和の今見るととても「昭和」を感じる家族構成です。この設定により、年齢差のある姉妹それぞれのキャラクターを通じて、世代ごとの価値観や恋愛観の違いが描き出されていきます。
過去に何度もリメイクされている本作ですが、Netflix版は是枝監督らしい細かな演出も見どころ。小道具はもちろん、髪型などにも思わずニヤリとしたくなる計算が光ります。あることをきっかけに髪を下ろすようになった滝子、またあるきっかけから髪を結うようになった咲子。髪型が2人のどのような心情を暗示しているのかは、ぜひ本編で確認してほしい!
個性豊かな四姉妹はそれぞれに美しく、是枝監督ならではの映像美と相まって視覚的な満足度が高いです。なにより、四姉妹を演じる全員から俳優としての熱意が火花のように放たれていて、目を離せない時間でした。
<あらすじ>
ある冬の日。竹沢家の四姉妹が久しぶりに集まった。生け花を教える長女・綱子(宮沢りえ)、専業主婦の次女・巻子(尾野真千子)、図書館で司書として働く三女・滝子(蒼井優)、そしてウエイトレスの四女・咲子(広瀬すず)。
滝子によると、母・ふじ(松坂慶子)と暮らす老齢の父・恒太郎(國村隼)には愛人と子どもがいるという。信じられないとは思いつつ、母の耳には入れないことを誓い合う4人。しかしこの騒ぎをきっかけに、彼女たちの日常に潜むさまざまな葛藤や秘密が明るみに出る。
四姉妹の葛藤や怒りの表情を、憎悪や怒りを司る戦いの神・阿修羅になぞらえた物語が「阿修羅のごとく」です。
竹沢家は四姉妹と子だくさんで、姉妹の年齢差も大きく、長女と四女はおよそ20歳差。令和の今見るととても「昭和」を感じる家族構成です。この設定により、年齢差のある姉妹それぞれのキャラクターを通じて、世代ごとの価値観や恋愛観の違いが描き出されていきます。
過去に何度もリメイクされている本作ですが、Netflix版は是枝監督らしい細かな演出も見どころ。小道具はもちろん、髪型などにも思わずニヤリとしたくなる計算が光ります。あることをきっかけに髪を下ろすようになった滝子、またあるきっかけから髪を結うようになった咲子。髪型が2人のどのような心情を暗示しているのかは、ぜひ本編で確認してほしい!
個性豊かな四姉妹はそれぞれに美しく、是枝監督ならではの映像美と相まって視覚的な満足度が高いです。なにより、四姉妹を演じる全員から俳優としての熱意が火花のように放たれていて、目を離せない時間でした。

中野 亜希
ライター・コラムニスト
大学卒業後、ブログをきっかけにライターに。会社員として勤務する傍らブックレビューや美容コラム、各種ガジェットに関する記事執筆は2000本以上。趣味は読書、料理、美容、写真撮影など。
X:@752019