筆者はNHKの大河ドラマが大好きです。歴史上の人物の生き様、数々の逸話が、史実を知っている人間にもそうでない人にも楽しめるエンタメに昇華されており、ここ数年は毎週楽しみに、可能な限りリアルタイムで見ています。SNSの番組関連タグを追うのも楽しい。だから、きっと世の中の多くの人も見ていると思っていたのです。
しかし、リアルな友達からでさえ「面白いとは聞くけど、歴史が苦手だから見てない」「理系脳だから、歴史は合わない気がして興味が持てない」なんて声を聞きます。あんなに面白いのに!「せめて1話だけでも見て……」と歯ぎしりしました。
さて、そんな憂き目にあっているのは大河ドラマだけではありません。「自分の知らない世界の話かも」「きっとこういう話なんでしょ」「難しそうだから」……本当は面白いのに、敬遠されてしまっている作品のなんと多いことか。
「みんなが騒いでるけど、私は別にいいかな」そう思っている人にこそ、1話だけでも見てほしい、おススメ作品を紹介します。
しかし、リアルな友達からでさえ「面白いとは聞くけど、歴史が苦手だから見てない」「理系脳だから、歴史は合わない気がして興味が持てない」なんて声を聞きます。あんなに面白いのに!「せめて1話だけでも見て……」と歯ぎしりしました。
さて、そんな憂き目にあっているのは大河ドラマだけではありません。「自分の知らない世界の話かも」「きっとこういう話なんでしょ」「難しそうだから」……本当は面白いのに、敬遠されてしまっている作品のなんと多いことか。
「みんなが騒いでるけど、私は別にいいかな」そう思っている人にこそ、1話だけでも見てほしい、おススメ作品を紹介します。
「サンクチュアリ -聖域-」
2023年5月4日にNetflixで配信を開始して以来、国内のTV番組部門で上位を占め続けている「サンクチュアリ -聖域-」。
このドラマの題材は、神秘のベールに包まれた「相撲」界。「相撲のことは全然知らない」という人もいれば「八百長」「タニマチ」「かわいがり」といったワードから「ダークなスポーツ」と考えている人もいるかもしれません。私も「お、ネトフリの新しいドラマだ!……でも相撲かあ、うーん」と思っていた1人です。しかし「まあ1話だけでも……」と思って見始めたら完全に心をつかまれました。
主人公は札付きの不良、小瀬清(一ノ瀬ワタル)。家庭は崩壊しており、暴力と噓にまみれ、荒れた日々を送る彼に、瀕死の弱小相撲部屋を率いる猿将親方(ピエール瀧)が手を差し伸べる。
「土俵にはね、全部埋まってるんだよ。金、地位、名誉……女」。相撲に一切興味がない小瀬が、大相撲の世界に足を踏み入れるのは金のため。そんな小瀬を、兄弟子たちによる暴力の洗礼が待ち受ける。しかし生来の強さで勝ち上がっていく小瀬には、「猿桜」という四股名が与えられる。大相撲の伝統、格式、礼節などすべてに反抗し、傍若無人に振る舞い続ける猿桜だったが、ライバルとの対決、猿将部屋を潰そうとする他の部屋との戦いを経て、相撲にのめりこみ、力士としての強さを追求するようになる。
相撲部屋の厳しい上下関係や「かわいがり」という名のイジメ、八百長にタニマチといった理不尽な「相撲の闇」がこれでもかと描かれ、激しく陰湿なバイオレンス描写に開始数分で脱落する人もいるかもしれません。一方で、手のつけられない不良の主人公がスポーツに出会い成長する姿を「SLAM DUNK」と重ねる人も多く、公式動画内では「大相撲版『SLAM DUNK』」という表現も使われています。
とはいえ、「SLAM DUNK」になぞらえるには正直言って汚く、男臭く、むさくるしい。激しく人を選ぶドラマではあると思うのです。
しかし「湿度の高いバイオレンスドラマの皮を着た、“王道スポ根ストーリー”」であることこそが、この作品の最大の魅力だと思います。理不尽で時代錯誤な相撲文化をこれでもかと描き、それを逆手に全8話を通じて相撲の良さを浮き彫りにするストーリーも巧み。
血と汗が飛び散るぶつかり合い、セットとVFXで再現した国技館(作中では”国技会館”) 、さらに 「聖域」である土俵にカメラを上げてしまう(!)カメラワークなど、斬新な形で相撲を表現する映像も見どころ。相撲を1ミリも知らずとも楽しめる脚本や映像は、海外での視聴も意識して作られていると感じました。今まで相撲に興味のなかった層も置き去りにされない面白さがある!
角界に存在する数々の「聖域」。相撲を知る人なら「土俵に女性?」「国技館では撮影してないの?」と驚くシーンがあるかもしれません。ただ、日本相撲協会はこのドラマの制作には全く関わっていないそう。完全非公式だからこそできるこの濃度、1話だけでもいいから体感してほしいです。
このドラマの題材は、神秘のベールに包まれた「相撲」界。「相撲のことは全然知らない」という人もいれば「八百長」「タニマチ」「かわいがり」といったワードから「ダークなスポーツ」と考えている人もいるかもしれません。私も「お、ネトフリの新しいドラマだ!……でも相撲かあ、うーん」と思っていた1人です。しかし「まあ1話だけでも……」と思って見始めたら完全に心をつかまれました。
主人公は札付きの不良、小瀬清(一ノ瀬ワタル)。家庭は崩壊しており、暴力と噓にまみれ、荒れた日々を送る彼に、瀕死の弱小相撲部屋を率いる猿将親方(ピエール瀧)が手を差し伸べる。
「土俵にはね、全部埋まってるんだよ。金、地位、名誉……女」。相撲に一切興味がない小瀬が、大相撲の世界に足を踏み入れるのは金のため。そんな小瀬を、兄弟子たちによる暴力の洗礼が待ち受ける。しかし生来の強さで勝ち上がっていく小瀬には、「猿桜」という四股名が与えられる。大相撲の伝統、格式、礼節などすべてに反抗し、傍若無人に振る舞い続ける猿桜だったが、ライバルとの対決、猿将部屋を潰そうとする他の部屋との戦いを経て、相撲にのめりこみ、力士としての強さを追求するようになる。
相撲部屋の厳しい上下関係や「かわいがり」という名のイジメ、八百長にタニマチといった理不尽な「相撲の闇」がこれでもかと描かれ、激しく陰湿なバイオレンス描写に開始数分で脱落する人もいるかもしれません。一方で、手のつけられない不良の主人公がスポーツに出会い成長する姿を「SLAM DUNK」と重ねる人も多く、公式動画内では「大相撲版『SLAM DUNK』」という表現も使われています。
とはいえ、「SLAM DUNK」になぞらえるには正直言って汚く、男臭く、むさくるしい。激しく人を選ぶドラマではあると思うのです。
しかし「湿度の高いバイオレンスドラマの皮を着た、“王道スポ根ストーリー”」であることこそが、この作品の最大の魅力だと思います。理不尽で時代錯誤な相撲文化をこれでもかと描き、それを逆手に全8話を通じて相撲の良さを浮き彫りにするストーリーも巧み。
血と汗が飛び散るぶつかり合い、セットとVFXで再現した国技館(作中では”国技会館”) 、さらに 「聖域」である土俵にカメラを上げてしまう(!)カメラワークなど、斬新な形で相撲を表現する映像も見どころ。相撲を1ミリも知らずとも楽しめる脚本や映像は、海外での視聴も意識して作られていると感じました。今まで相撲に興味のなかった層も置き去りにされない面白さがある!
角界に存在する数々の「聖域」。相撲を知る人なら「土俵に女性?」「国技館では撮影してないの?」と驚くシーンがあるかもしれません。ただ、日本相撲協会はこのドラマの制作には全く関わっていないそう。完全非公式だからこそできるこの濃度、1話だけでもいいから体感してほしいです。
中野 亜希
ライター・コラムニスト
大学卒業後、ブログをきっかけにライターに。会社員として勤務する傍らブックレビューや美容コラム、各種ガジェットに関する記事執筆は2000本以上。趣味は読書、料理、美容、写真撮影など。
X:@752019