白い巨塔(2003年版)

『白い巨塔』は1960年代に発刊された小説を原作とし、何度も映像化されている超傑作ドラマ。中でも、現在NetflixやFODで配信されているのは、最高傑作と名高い2003年版です。
<あらすじ>
2003年10月から2004年3月までの2クールにわたり、フジテレビで放送された本作。医学部内の派閥争いを描く第1部と、医療過誤を巡る裁判を描く第2部の2部構成で展開され、権力や名誉欲に翻弄される天才外科医・財前五郎と、無欲で人の命を救い続ける内科医・里見脩二という対照的な2人の医師を通して、人間の愚かさと弱さ、医学界の実態を描いた。
財前を演じる唐沢寿明、里見を演じる江口洋介をはじめ、今では実現できないような豪華なキャスト陣も、当時大きな話題を呼びました。日本のドラマのベスト3を挙げろと言われたら、私は「白い巨塔」を推します。セリフの古さや「ちょっと都合がよすぎるのでは?」と感じる展開はあるものの、それでも日本のエンタメ史に残るだろう……そんな気持ちにさせる名作です。
財前五郎の野心的な姿勢と、里見脩二の患者第一主義は、一見対照的。しかし財前は、自分のために出世を目指すだけの利己的な人間ではないはずなのです。もしそうなら、里見のような人間は真っ先に排除するでしょうから。2人の最終的な願いは、アプローチこそ真逆ですが、「多くの患者を救いたい」「医療をもっと良くしたい」だったに違いないのです。そう思わせるのは、主演の唐沢寿明&江口洋介がこれ以上ないほど、役にハマっていたからでしょう。こんなにも「役を生きる」ような経験は、彼らののちの俳優人生にも大きな影響を与えている……かも知れません。
<あらすじ>
2003年10月から2004年3月までの2クールにわたり、フジテレビで放送された本作。医学部内の派閥争いを描く第1部と、医療過誤を巡る裁判を描く第2部の2部構成で展開され、権力や名誉欲に翻弄される天才外科医・財前五郎と、無欲で人の命を救い続ける内科医・里見脩二という対照的な2人の医師を通して、人間の愚かさと弱さ、医学界の実態を描いた。
財前を演じる唐沢寿明、里見を演じる江口洋介をはじめ、今では実現できないような豪華なキャスト陣も、当時大きな話題を呼びました。日本のドラマのベスト3を挙げろと言われたら、私は「白い巨塔」を推します。セリフの古さや「ちょっと都合がよすぎるのでは?」と感じる展開はあるものの、それでも日本のエンタメ史に残るだろう……そんな気持ちにさせる名作です。
財前五郎の野心的な姿勢と、里見脩二の患者第一主義は、一見対照的。しかし財前は、自分のために出世を目指すだけの利己的な人間ではないはずなのです。もしそうなら、里見のような人間は真っ先に排除するでしょうから。2人の最終的な願いは、アプローチこそ真逆ですが、「多くの患者を救いたい」「医療をもっと良くしたい」だったに違いないのです。そう思わせるのは、主演の唐沢寿明&江口洋介がこれ以上ないほど、役にハマっていたからでしょう。こんなにも「役を生きる」ような経験は、彼らののちの俳優人生にも大きな影響を与えている……かも知れません。
やまとなでしこ

『やまとなでしこ』は2000年にフジテレビの「月9」枠で放送された恋愛ドラマ。平均視聴率26.4%、最高視聴率34.2%を記録した恋愛ドラマの金字塔です。
<あらすじ>
貧しい家庭で育った神野桜子(松嶋菜々子)のいちばん大切なものは「お金」。圧倒的な美貌に強い意志と行動力を備えた桜子は、貧しい実家を飛び出し、東京で客室乗務員として働いている。収入の9割を洋服とブランドものに注ぎ込み、同僚たちと合コンに明け暮れる桜子にとって、いい男とは「金持ち」のこと。顔も年齢も性格も関係ない。合コンで知り合う男たちとのデートは、資産状況を探る「査定」の場に過ぎない。
ある日の合コンで、桜子は中原欧介(堤真一)に出会う。その胸に輝くのはどんな高級腕時計も車のキーも太刀打ちできないステイタス・馬主のピン!
「今夜は、たった1人の大切な人にめぐり会えたような気がします」。思わず決めゼリフを口にする桜子。欧介にもまた、桜子のことが気になる理由があるようで……。
「やまとなでしこ」というタイトルに反し、一見計算高くガツガツした嫌味な主人公・桜子。しかしそれは序盤だけ。
桜子の意思の強さ、裏表のない性格が見えてくるにつれ、彼女を応援したくなります。大病院の御曹司・東十条と婚約していながら、入籍するその日まではもっといい男を探すという強欲ぶりには驚きますが、欲しいものはただ1つ、明確に「お金」であり、そのためなら努力を惜しみません。そう考えると、桜子が思いの外まっとうな人に思えてきます。主演の松嶋菜々子の美しさはもちろん、甘さがありつつよく通り、品よく聞きやすい声も、桜子をただの「ゲスな女」に見せないことに一役買っています。
堤真一演じる欧介は誠実で優しいけれど、家業は魚屋でお金には縁がない様子。ゲスな桜子とは水と油と思いきや、つい桜子を気にかけてしまう事情も抱えており、振り回されながらも桜子に惹かれていきます。それは欧介が恋だけではなく「自分の本当の望み」を見つける過程でもあります。
「The★平成」という空気感と、桜子のキャラのインパクトが強いけれど、ラブストーリー特有のじれったさがなく、テンポ良く進む展開が心地よい。お金か愛か? 本当の幸せとは……? 答えに気づいた瞬間の桜子の表情に目を奪われます。
本作はNetflix、FOD、Amazonプライム・ビデオで配信中です(2025年4月現在)。
<あらすじ>
貧しい家庭で育った神野桜子(松嶋菜々子)のいちばん大切なものは「お金」。圧倒的な美貌に強い意志と行動力を備えた桜子は、貧しい実家を飛び出し、東京で客室乗務員として働いている。収入の9割を洋服とブランドものに注ぎ込み、同僚たちと合コンに明け暮れる桜子にとって、いい男とは「金持ち」のこと。顔も年齢も性格も関係ない。合コンで知り合う男たちとのデートは、資産状況を探る「査定」の場に過ぎない。
ある日の合コンで、桜子は中原欧介(堤真一)に出会う。その胸に輝くのはどんな高級腕時計も車のキーも太刀打ちできないステイタス・馬主のピン!
「今夜は、たった1人の大切な人にめぐり会えたような気がします」。思わず決めゼリフを口にする桜子。欧介にもまた、桜子のことが気になる理由があるようで……。
「やまとなでしこ」というタイトルに反し、一見計算高くガツガツした嫌味な主人公・桜子。しかしそれは序盤だけ。
桜子の意思の強さ、裏表のない性格が見えてくるにつれ、彼女を応援したくなります。大病院の御曹司・東十条と婚約していながら、入籍するその日まではもっといい男を探すという強欲ぶりには驚きますが、欲しいものはただ1つ、明確に「お金」であり、そのためなら努力を惜しみません。そう考えると、桜子が思いの外まっとうな人に思えてきます。主演の松嶋菜々子の美しさはもちろん、甘さがありつつよく通り、品よく聞きやすい声も、桜子をただの「ゲスな女」に見せないことに一役買っています。
堤真一演じる欧介は誠実で優しいけれど、家業は魚屋でお金には縁がない様子。ゲスな桜子とは水と油と思いきや、つい桜子を気にかけてしまう事情も抱えており、振り回されながらも桜子に惹かれていきます。それは欧介が恋だけではなく「自分の本当の望み」を見つける過程でもあります。
「The★平成」という空気感と、桜子のキャラのインパクトが強いけれど、ラブストーリー特有のじれったさがなく、テンポ良く進む展開が心地よい。お金か愛か? 本当の幸せとは……? 答えに気づいた瞬間の桜子の表情に目を奪われます。
本作はNetflix、FOD、Amazonプライム・ビデオで配信中です(2025年4月現在)。
ゴールデンカムイ −北海道刺青囚人争奪編-

原作ファンも大満足のクオリティと作品愛に満ちた映画『ゴールデンカムイ』の続編にあたる、『連続ドラマWゴールデンカムイ-北海道刺青囚人争奪篇-』。WOWOWで独占配信されていた全9話が、Netflixにも登場!
<あらすじ>
「不死身の杉元」と呼ばれる元兵士・杉元佐一(山﨑賢人)は、アイヌの少女・アシㇼパ(山田杏奈)、網走監獄の脱獄囚・白石由竹(矢本悠馬)とともに、金塊のありかを示す暗号を彫られた24人の“刺青囚人”を探していた。だが、大日本帝国陸軍「第七師団」を率いる鶴見篤四郎中尉(玉木宏)や尾形百之助(眞栄田郷敦)、新撰組「鬼の副長」こと土方歳三(舘ひろし)らも囚人たちを狙う。杉元たちは旅路で、アシㇼパの父の古き友・キロランケ(池内博之)、アイヌの女・インカㇻマッ(高橋メアリージュン)など、腹の中が読めない者たちと出会う。
さらには、伝説的な熊撃ちの二瓶鉄造(藤本隆宏)、“煌めき”を追い求める男・辺見和雄(萩原聖人)などクセ者たちが次々に現われる!
杉元ら一行、第七師団、土方一派による三つ巴の戦いだけに留まらない、波乱の金塊争奪戦が幕を開ける――!
先に公開された映画版がプロローグだとしたら、本格的に金塊争奪戦が始まるのがこの連続ドラマ版。映画版から続投のキャスト・スタッフ陣に加え、さらなるクセ者たちが続々登場します。そのどれも原作への愛とリスペクトを感じるクオリティの高さで再現されるのがこのシリーズの最大の魅力です。
ドラマ版では全体的に映画よりも各キャラクターが「濃く」なっており、伝説の熊撃ち・二瓶や殺人ホテル回に登場する家永は、原作から抜け出してきたよう。殺人鬼の辺見を演じる萩原聖人さんは、原作をあえて読まずに撮影に臨んだとのことですが、原作ファンの目から見ても、そこにいたのは紛れもなく「辺見ちゃん」で、そのハマりぶりは鳥肌が立つほど。
ドラマ版から登場する鯉登少尉(中川大志)にいたっては、短い登場時間に反して強烈なインパクトを残し感動するレベル。外見はもちろん、走り方だけで「真面目な変人」であることがわかる役への入り込み、早口薩摩弁が「素晴らしかたもす」。今回の実写版も、ほんとに「よかあっが!」っち感じじゃったな!と、こちらも薩摩弁になってしまいます。
実写に不向きな展開も、うまく咀嚼して完全な「解釈一致!」を叩き出してくるのが、この作品のすごいところ。
このあと、原作コミックでは姉畑先生、ラッコ鍋、宇佐美上等兵と実写に不向きな展開がたっぷりなのですが、「絶対に実写化やるよね?できるだろ?」と期待が止まりません。
******
今年のゴールデンウィークは、暦の上では短いものの、まとまった休息時間を確保するには十分な長さです。あえて自宅でゆっくりと過ごす時間を楽しんでみては? 配信サービスのドラマや映画は、手軽に非日常の世界に浸れる最高のエンターテインメントです。貴重な“おうち時間”をより豊かにしてくれるはずですよ。
<あらすじ>
「不死身の杉元」と呼ばれる元兵士・杉元佐一(山﨑賢人)は、アイヌの少女・アシㇼパ(山田杏奈)、網走監獄の脱獄囚・白石由竹(矢本悠馬)とともに、金塊のありかを示す暗号を彫られた24人の“刺青囚人”を探していた。だが、大日本帝国陸軍「第七師団」を率いる鶴見篤四郎中尉(玉木宏)や尾形百之助(眞栄田郷敦)、新撰組「鬼の副長」こと土方歳三(舘ひろし)らも囚人たちを狙う。杉元たちは旅路で、アシㇼパの父の古き友・キロランケ(池内博之)、アイヌの女・インカㇻマッ(高橋メアリージュン)など、腹の中が読めない者たちと出会う。
さらには、伝説的な熊撃ちの二瓶鉄造(藤本隆宏)、“煌めき”を追い求める男・辺見和雄(萩原聖人)などクセ者たちが次々に現われる!
杉元ら一行、第七師団、土方一派による三つ巴の戦いだけに留まらない、波乱の金塊争奪戦が幕を開ける――!
先に公開された映画版がプロローグだとしたら、本格的に金塊争奪戦が始まるのがこの連続ドラマ版。映画版から続投のキャスト・スタッフ陣に加え、さらなるクセ者たちが続々登場します。そのどれも原作への愛とリスペクトを感じるクオリティの高さで再現されるのがこのシリーズの最大の魅力です。
ドラマ版では全体的に映画よりも各キャラクターが「濃く」なっており、伝説の熊撃ち・二瓶や殺人ホテル回に登場する家永は、原作から抜け出してきたよう。殺人鬼の辺見を演じる萩原聖人さんは、原作をあえて読まずに撮影に臨んだとのことですが、原作ファンの目から見ても、そこにいたのは紛れもなく「辺見ちゃん」で、そのハマりぶりは鳥肌が立つほど。
ドラマ版から登場する鯉登少尉(中川大志)にいたっては、短い登場時間に反して強烈なインパクトを残し感動するレベル。外見はもちろん、走り方だけで「真面目な変人」であることがわかる役への入り込み、早口薩摩弁が「素晴らしかたもす」。今回の実写版も、ほんとに「よかあっが!」っち感じじゃったな!と、こちらも薩摩弁になってしまいます。
実写に不向きな展開も、うまく咀嚼して完全な「解釈一致!」を叩き出してくるのが、この作品のすごいところ。
このあと、原作コミックでは姉畑先生、ラッコ鍋、宇佐美上等兵と実写に不向きな展開がたっぷりなのですが、「絶対に実写化やるよね?できるだろ?」と期待が止まりません。
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今年のゴールデンウィークは、暦の上では短いものの、まとまった休息時間を確保するには十分な長さです。あえて自宅でゆっくりと過ごす時間を楽しんでみては? 配信サービスのドラマや映画は、手軽に非日常の世界に浸れる最高のエンターテインメントです。貴重な“おうち時間”をより豊かにしてくれるはずですよ。

中野 亜希
ライター・コラムニスト
大学卒業後、ブログをきっかけにライターに。会社員として勤務する傍らブックレビューや美容コラム、各種ガジェットに関する記事執筆は2000本以上。趣味は読書、料理、美容、写真撮影など。
X:@752019