謎の「コメ供給の目詰まり」発生で、備蓄米放出
マスコミが言うには「令和の米騒動」なのだそうだ。
2025年に入って、米の店頭価格が前年のほぼ2倍となる5キロ4千円超、最高値をマークした。現状のインフレトレンドを加味してもあまりある98%の価格上昇は、たしかに由々しき事態……。
そもそも、背景には2021年から始まった生産量不足があるのだそう。2023年産の米には猛暑・渇水が原因となって生産量661万トンに対し需要量705万トンと、大幅な供給不足が発生。そこへ2024年の新米発売直前、8月の南海トラフ地震情報による買いだめが追い打ちをかけ、「米が小売店の棚にない」という風景を見た消費者の間に、不安が広がった。
一方で、2024年の米生産量は決して不足していなかった。だから当初は楽観視していた政府だけれど、いわく「流通の世界でいったい何が起きているのかは、実は農林水産省でも見えていないところがある」。謎の「流通の目詰まり」が継続的に起こり、品薄感が払拭されぬまま年が明け、市場のストレスが爆発。1度目の備蓄米が入札方式で放出されたものの、価格が中途半端でパッとせず、江藤前農水相は「実は米を自分で買ったことがない」発言で大臣交代!
ここで小泉進次郎氏の大臣登板と相なったのである。ネットミームにされがちなセクシー進次郎ではあるけれど、「スピード感を大事に」と繰り返しながら22年産古古米と21年産古古古米を小売業者へ直接ズイーケーヤク(随意契約)でサクッと届け、とにかく早くという進次郎の期待に応えた小売業者が超スピードで精米包装して、ネットて実店舗店頭に並べました、というのが5月最終週の大騒ぎであった。
2025年に入って、米の店頭価格が前年のほぼ2倍となる5キロ4千円超、最高値をマークした。現状のインフレトレンドを加味してもあまりある98%の価格上昇は、たしかに由々しき事態……。
そもそも、背景には2021年から始まった生産量不足があるのだそう。2023年産の米には猛暑・渇水が原因となって生産量661万トンに対し需要量705万トンと、大幅な供給不足が発生。そこへ2024年の新米発売直前、8月の南海トラフ地震情報による買いだめが追い打ちをかけ、「米が小売店の棚にない」という風景を見た消費者の間に、不安が広がった。
一方で、2024年の米生産量は決して不足していなかった。だから当初は楽観視していた政府だけれど、いわく「流通の世界でいったい何が起きているのかは、実は農林水産省でも見えていないところがある」。謎の「流通の目詰まり」が継続的に起こり、品薄感が払拭されぬまま年が明け、市場のストレスが爆発。1度目の備蓄米が入札方式で放出されたものの、価格が中途半端でパッとせず、江藤前農水相は「実は米を自分で買ったことがない」発言で大臣交代!
ここで小泉進次郎氏の大臣登板と相なったのである。ネットミームにされがちなセクシー進次郎ではあるけれど、「スピード感を大事に」と繰り返しながら22年産古古米と21年産古古古米を小売業者へ直接ズイーケーヤク(随意契約)でサクッと届け、とにかく早くという進次郎の期待に応えた小売業者が超スピードで精米包装して、ネットて実店舗店頭に並べました、というのが5月最終週の大騒ぎであった。
「進次郎米」が手に入らない!
5月まではコメの高騰を「もうそれなら、秋に新米でゲームチェンジが始まるまでは5kg 4000円台がフツーだと思っていくしかないよね」と受容し始めていた私。いつも通りのいわゆる銘柄米を大事においしくいただくか、あるいはコメがないならパスタやパンを食べればいいじゃないの、というアントワネットな方向性で自己解決し、備蓄米は「きっと中食、外食産業で消費されるもの」と“他人事”認識で初夏を迎えた……はずだった。
ところがこのi4Uの編集部から「河崎さーん、次のタマキカケルは備蓄米体験でお願いします。なるべくおいしく炊いてね!」と容赦のないオーダーが届いて、進次郎米を手に入れる必要が突如爆誕……。予定していたアントワネットな人生が激変してしまう。
「どこで買えるものなの?」と慌てて探し始めるも、随意契約に応じて備蓄米を早々に販売開始したアイリスオーヤマや楽天、Yahoo!などのウェブサイトは、アクセス集中で「大変混雑しております」の画面が延々約30分続き、ページが開いたと思ったら売り切れ。次に実店舗販売を開始したイオンなどの大型小売店では早朝(ほぼ前夜)から、新モデルのiPhone並みの行列ができていて、近隣住民じゃないと不利すぎる……。
ところがこのi4Uの編集部から「河崎さーん、次のタマキカケルは備蓄米体験でお願いします。なるべくおいしく炊いてね!」と容赦のないオーダーが届いて、進次郎米を手に入れる必要が突如爆誕……。予定していたアントワネットな人生が激変してしまう。
「どこで買えるものなの?」と慌てて探し始めるも、随意契約に応じて備蓄米を早々に販売開始したアイリスオーヤマや楽天、Yahoo!などのウェブサイトは、アクセス集中で「大変混雑しております」の画面が延々約30分続き、ページが開いたと思ったら売り切れ。次に実店舗販売を開始したイオンなどの大型小売店では早朝(ほぼ前夜)から、新モデルのiPhone並みの行列ができていて、近隣住民じゃないと不利すぎる……。
進次郎米をめぐる、タマキの2週間
ここで、タマキがどのように進次郎の備蓄米(以下、進次郎米)に振り回されたか、をまとめたい。
5月26日(月) 小泉進次郎農水相による備蓄米放出発表。夕方のニュース番組に出演したアントワネットタマキ、「本来なら災害時に備えて貯蔵されている古古米や古古古米を、一般消費者が5kg約2000円という値段に釣られて積極的に買いに行くとは思えない。新米登場まで、市場の当面のストレスを緩和するために中食・外食で消費されるものだと思う。今後の農政に対するグランドプランを欠いた、場当たり的対応」と“ベルサイユ視線”で一刀両断。
30日(金) i4U編集部から「備蓄米を手に入れて記事を書け」との恐怖指令が届き、王妃アントワネットのオホホな上から目線が一転する。慌ててググると、29日から販売のあったアイリスオーヤマ通販公式「アイリスプラザ」では即完売、次の販売は6月2日13時との表示。楽天も当たり前のように売り切れており、次の販売開始は6月1日18時。携帯のアラームをそれぞれ2分前にセットする(そして2分程度では甘かったことをのちに知る)。
31日(土) 限定された数店で実店舗販売が始まったらしく、整理券に大行列との報道。早くも進次郎米を手に入れたメディアが、食味レポートなどの記事を出し始める。朝、アイリスプラザのページを見ると、迅速な供給のために販売を繰り上げ、本日正午から抽選販売エントリー開始とのこと。慌てて事前会員登録し、商品ページもお気に入り登録し、準備万端と鼻息荒く11:58に携帯でログインだ(自宅Wi-Fiでなく5Gの方が速いため)。が、アクセス集中ではねられ続け、商品ページが永遠に出てこない……。これは5Gアンド2分前のログイン程度で入れる混雑じゃない。実際にエントリー完了の画面にたどり着くまで、実質30分かかった。しかも抽選販売にエントリーしただけだから、買える保証はなし。不安……。
6月1日(日) 18時から楽天の販売開始。もちろんはねられっぱなし。一度諦める。30分後にもう一度見る。「売り切れ」。知ってた。ネットではデジタル敗戦、しかも物理では限定店舗での販売のため、遠い湾岸店などへ赴く交通コストや時間的コストを考えると「これまで通り、徒歩圏で高い銘柄米をおとなしく買った方が経済学的に正解だよね」。かろうじて、比較的近場のオーケーみなとみらい店が6月6日から店頭販売を始めるとの記事を発見するも、早朝からみなとみらいに行って並ぶのはなぁ……。我が家の徒歩圏内での販売がない以上、デジタルで買うのが正解なのだ。「とんでもない案件を引き受けてしまった」と頭を抱える私。
2日(月) 13〜14時にアイリスプラザの抽選結果が判明。当選者にのみ連絡が来るが、何度もメールソフトを更新してもメールは来ず……落選。15時台になって、そのまま次の抽選(翌3日13時発表)がメールで案内され、慌ててエントリーする。
3日(火) 抽選落ち。知ってた。昨日と同じく、翌日の抽選にエントリー。おかしいな、アタシこんなに備蓄米欲しかったんだっけ?という疑問が頭をもたげるが、このところおそらく、手に入れたいけど入らないプレッシャーのあまり夢に見るほどで、今は備蓄米を手に入れることしか考えられない。楽天もYahoo!も「売り切れ」は微動だにせず。連日動いているのは自社内に精米部門を持つアイリスだけだなぁ。もうアイリスだけに賭けることにする(目が血走る)。
4日(水) 抽選落ち。知ってた。人生闇の中やでホンマ。すると、18時過ぎになってアイリスプラザから「購入可能のご案内」メールが来ていることに気づく。「下記にてご用意しております専用ページよりご購入ください」。えっ、釣りじゃないの? これフィッシング詐欺とかじゃないの? 落とされ続けた民は権力を信用することができず、恐る恐るメールのリンクを踏むと……あっ、買えた。しかもAmazonペイでスイスイ、「6月6日から順次発送を予定しております」。うわーマジですかアイリスさん本当にありがとう! 喜びのあまり購入完了画面のスクショを編集部に送りつける。
5日(木)・6日(金) 備蓄米買えたもんね〜。発送待ちだもんね〜。心の余裕。精神の平穏。「人生闇」が一転、ストレスフリーなワタシ。ああ酒がうまい。
7日(土) 午後にアイリスプラザから「ご注文商品発送完了」とメール。6日から順次発送と聞いていたのが、7日午後に発送通知が来るとは、今回かなりの数を扱っているということかもしれない。アイリス頑張れ。佐川急便のサイトで配送を14時〜16時に指定した。「とうとう明日、進次郎米が来る」。興奮!
8日(日) ご飯に合う料理を作るべく、がっつり買い物して佐川のお兄さんが来るのを待つ。遅いランチを食べながら当然飲んでいたら、ピンポーン。来たっ! 来たよ進次郎米! ありがとうアイリスオーヤマ!!!
さて、主婦歴30年のタマキのプライドにかけて、進次郎米を超絶おいしく炊いてみせるわ。
5月26日(月) 小泉進次郎農水相による備蓄米放出発表。夕方のニュース番組に出演したアントワネットタマキ、「本来なら災害時に備えて貯蔵されている古古米や古古古米を、一般消費者が5kg約2000円という値段に釣られて積極的に買いに行くとは思えない。新米登場まで、市場の当面のストレスを緩和するために中食・外食で消費されるものだと思う。今後の農政に対するグランドプランを欠いた、場当たり的対応」と“ベルサイユ視線”で一刀両断。
30日(金) i4U編集部から「備蓄米を手に入れて記事を書け」との恐怖指令が届き、王妃アントワネットのオホホな上から目線が一転する。慌ててググると、29日から販売のあったアイリスオーヤマ通販公式「アイリスプラザ」では即完売、次の販売は6月2日13時との表示。楽天も当たり前のように売り切れており、次の販売開始は6月1日18時。携帯のアラームをそれぞれ2分前にセットする(そして2分程度では甘かったことをのちに知る)。
31日(土) 限定された数店で実店舗販売が始まったらしく、整理券に大行列との報道。早くも進次郎米を手に入れたメディアが、食味レポートなどの記事を出し始める。朝、アイリスプラザのページを見ると、迅速な供給のために販売を繰り上げ、本日正午から抽選販売エントリー開始とのこと。慌てて事前会員登録し、商品ページもお気に入り登録し、準備万端と鼻息荒く11:58に携帯でログインだ(自宅Wi-Fiでなく5Gの方が速いため)。が、アクセス集中ではねられ続け、商品ページが永遠に出てこない……。これは5Gアンド2分前のログイン程度で入れる混雑じゃない。実際にエントリー完了の画面にたどり着くまで、実質30分かかった。しかも抽選販売にエントリーしただけだから、買える保証はなし。不安……。
6月1日(日) 18時から楽天の販売開始。もちろんはねられっぱなし。一度諦める。30分後にもう一度見る。「売り切れ」。知ってた。ネットではデジタル敗戦、しかも物理では限定店舗での販売のため、遠い湾岸店などへ赴く交通コストや時間的コストを考えると「これまで通り、徒歩圏で高い銘柄米をおとなしく買った方が経済学的に正解だよね」。かろうじて、比較的近場のオーケーみなとみらい店が6月6日から店頭販売を始めるとの記事を発見するも、早朝からみなとみらいに行って並ぶのはなぁ……。我が家の徒歩圏内での販売がない以上、デジタルで買うのが正解なのだ。「とんでもない案件を引き受けてしまった」と頭を抱える私。
2日(月) 13〜14時にアイリスプラザの抽選結果が判明。当選者にのみ連絡が来るが、何度もメールソフトを更新してもメールは来ず……落選。15時台になって、そのまま次の抽選(翌3日13時発表)がメールで案内され、慌ててエントリーする。
3日(火) 抽選落ち。知ってた。昨日と同じく、翌日の抽選にエントリー。おかしいな、アタシこんなに備蓄米欲しかったんだっけ?という疑問が頭をもたげるが、このところおそらく、手に入れたいけど入らないプレッシャーのあまり夢に見るほどで、今は備蓄米を手に入れることしか考えられない。楽天もYahoo!も「売り切れ」は微動だにせず。連日動いているのは自社内に精米部門を持つアイリスだけだなぁ。もうアイリスだけに賭けることにする(目が血走る)。
4日(水) 抽選落ち。知ってた。人生闇の中やでホンマ。すると、18時過ぎになってアイリスプラザから「購入可能のご案内」メールが来ていることに気づく。「下記にてご用意しております専用ページよりご購入ください」。えっ、釣りじゃないの? これフィッシング詐欺とかじゃないの? 落とされ続けた民は権力を信用することができず、恐る恐るメールのリンクを踏むと……あっ、買えた。しかもAmazonペイでスイスイ、「6月6日から順次発送を予定しております」。うわーマジですかアイリスさん本当にありがとう! 喜びのあまり購入完了画面のスクショを編集部に送りつける。
5日(木)・6日(金) 備蓄米買えたもんね〜。発送待ちだもんね〜。心の余裕。精神の平穏。「人生闇」が一転、ストレスフリーなワタシ。ああ酒がうまい。
7日(土) 午後にアイリスプラザから「ご注文商品発送完了」とメール。6日から順次発送と聞いていたのが、7日午後に発送通知が来るとは、今回かなりの数を扱っているということかもしれない。アイリス頑張れ。佐川急便のサイトで配送を14時〜16時に指定した。「とうとう明日、進次郎米が来る」。興奮!
8日(日) ご飯に合う料理を作るべく、がっつり買い物して佐川のお兄さんが来るのを待つ。遅いランチを食べながら当然飲んでいたら、ピンポーン。来たっ! 来たよ進次郎米! ありがとうアイリスオーヤマ!!!
さて、主婦歴30年のタマキのプライドにかけて、進次郎米を超絶おいしく炊いてみせるわ。

河崎 環
コラムニスト・立教大学社会学部兼任講師
1973年京都生まれ神奈川育ち。慶應義塾大学総合政策学部卒。子育て、政治経済、時事、カルチャーなど多岐に渡る分野で記事・コラム連載執筆を続ける。欧州2カ国(スイス、英国)での暮らしを経て帰国後、Webメディア、新聞雑誌、企業オウンドメディア、政府広報誌などに多数寄稿。ワイドショーなどのコメンテーターも務める。2022年よりTOKYO MX番組審議会委員。社会人女子と高校生男子の母。著書に『女子の生き様は顔に出る』(プレジデント社)など。