コロナ禍で注目されるオンラインマーケティングリサーチ、その理由とは?

安蔵 靖志

BtoBDXビジネス新型コロナウイルス関連業務効率化

自社だけでなく他社の会員も含めたインサイトを探り続けるのがトレンド

市場リサーチというと「ターゲットとする製品・サービスの市場規模がどれくらいあるか」「男性がどのくらいの頻度でビールを飲むのか」「テレワークに対する消費者の意識はどうなっているのか」など、そのタイミングで知りたい情報を1度調査すれば終わりというイメージを持たれているかもしれませんが、データビジネスは年々伸びていると長田氏は語ります。

「最近では自社会員のデータを格納して分析する『CDP(カスタマーデータプラットフォーム)』に取り組む企業が増えています。自社プラットフォーム内での会員動向を理解していても、競合サービスを使っているときの会員の状況など、自社のサービス外での会員動向は分かりません。そこをもっと知りたいというニーズから、データの深堀りが始まっているのが現在の状況ですね。自社の会員を深く理解できるからこそ、自分たちが持ってない自社会員のデータをもっと分析したいという方向に目線が向いており、需要が増えてきています」(長田氏)

アジアクラウドパネルは、企業が調査会社を経由して比較的規模の大きい調査を行うプラットフォームとして活用されていますが、対面調査などを行いにくいコロナ禍において、規模の小さい調査ニーズもかなり増えています。

こうした状況からGMOリサーチは、2020年8月にセルフ型アンケートツール「MO Lite(エムオーライト)アンケート」、同11月にはオンラインインタビューツール「MO Liteインタビュー」の提供を開始しました。

MO LiteアンケートのWebサイト

MO LiteインタビューのWebサイト

「自社オウンドメディアの展開などを通して、会員を管理して運営する企業が増えている中、リサーチなども自社で行う流れが出てきています。『SurveyMonkey(サーベイモンキー)』や『Googleフォーム』などを利用して自社で調査を行っている企業もありますが、MO Liteアンケートは、同じような手軽さで我々の『アジアクラウドパネル』にアンケートを配信できる点が大きな特徴です。MO Liteインタビューも同様に、アジアクラウドパネルの登録者から回答者を集めることができます」(大野氏)

マーケティングリサーチのコンサルティングサービスも実施

コロナ禍によって経済活動が停滞している中で、マーケティングリサーチの重要性が高まっていると長田氏は語ります。

「コロナ禍で市場の状況が不安定になっているため、企業がリサーチにかけるコストは必要最低限になっています。少ない予算で最大の費用対効果を得たいということでリサーチの内製化が進んでおり、SurveyMonkeyやGoogleフォームなどの無料ツールを使って自社の会員の動向を把握する取り組みが進んでいます。他社はどうなっているのか、隣の市場はどうなっているのかも調査可能になってきている点が最近のトレンドです」(長田氏)

とはいえ、リサーチのノウハウもない企業やスタッフの少ない企業など、自社で取り組むのが難しい場合もあります。

「2020年12月からは、マーケティングリサーチに興味を持っていただいている企業に対し、企業が所有するデータへ、新たなリサーチデータなどを加えてデータビジネスを深化させるコンサルティングサービス『Z.com Engagement Lab(エンゲージメントラボ)』を開始しました。リサーチのプラットフォームビジネスだけでなく、リサーチに触れてデータの重要さを理解し、もっと活用していきたいと考えられている企業の方に付加価値を提供していきます」(長田氏)

「Z.com Engagement Lab」は、アジア圏でコンサルティングサービスを提供する「Easy Key 2 Asia Limited」、インターネットリサーチ事業を展開する「InsightXplorer Limited」と共同で提供

GMOリサーチでは現在、4000万人を超えるアンケートモニターを抱えるリサーチプラットフォームの「アジアクラウドパネル」をベースに、それを活用した手軽なアンケートやインタビュー調査が行える「MO Liteアンケート」や「MO Liteインタビュー」、さらにはコンサルティングサービスの「Z.com Engagement Lab(エンゲージメントラボ)」まで展開しています。

「自社でリサーチのノウハウを持っている企業には、MO Liteシリーズを使ってもらうのが最も安価かつ手軽な活用法だと思います。そこまでのノウハウはないものの、リサーチに興味を持つ企業にはエンゲージメントラボを通してアジアクラウドパネルを使うことで、日本を含めたアジア中の調査が行えます。会員などいろいろな消費者のデータを自社で持っており、そのデータとアジアクラウドパネルの会員から取ったデータを組み合わせてさまざまな分析をしたいという企業の方には、エンゲージメントラボが最適ではないかと思います」(大野氏)

テレワークが進んでステイホーム時間が延び、市場でも企業の中でも人と人との接触も減っているからこそ、マーケティングリサーチの重要性が高まっています。とはいえ、データを最大限に活用したり、必要な情報に適切にアクセスするためにはリサーチのノウハウも必要です。

日本を含めたアジア15の国や地域でアンケートやオンラインインタビューを行えるだけでなく、データの活用を深めるコンサルティングまで展開するGMOリサーチのサービスメニューは、今後さらに注目度が高まりそうです。
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安蔵 靖志

Techジャーナリスト/家電エバンジェリスト
家電製品協会認定 家電製品総合アドバイザー(プラチナグレード)、スマートマスター。AllAbout デジタル・家電ガイド。ビジネス・IT系出版社を経てフリーに。デジタル家電や生活家電に関連する記事を執筆するほか、家電のスペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。KBCラジオ「キャイ~ンの家電ソムリエ」にレギュラー出演するほか、ラジオ番組の家電製品紹介コーナーの商品リサーチ・構成にも携わっている。

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