仕事に関して「他人に頼るのはよくないこと」と思っていませんか？ 確かに「頼る」というのが「仕事の丸投げ」を意味するのであればそうでしょう。しかし、上手に他人を頼れる人は、周囲との人間関係が良いのはもちろん、仕事のアウトプットも高い傾向があると感じます。

周りを頼る＝「周囲に適切に仕事をお願いする」と考えると、仕事の手順が言語化できており、自分でやる仕事・手伝ってもらう仕事の区分が明確になっている必要があります。また、仕事には人それぞれの手順がありますが、自分のやり方に固執せず、人を信じてお願いできる柔軟性も欲しいところです。

上手に周囲を頼れれば、独りで仕事を抱え込むよりも結果を出しやすく、仕事をあれこれ手元に抱えていないのでやるべきことに集中できます。また、1つの仕事を複数の人の目で見ることでミスの予防・早期発見にもつながります。自分だけでなく、他人が見ても仕事の進捗ややるべきことが明確なので、急病などのイレギュラーな事態においても、他人に迷惑をかけることが激減します。だから周囲に無用なストレスを与えず、うまく人間関係を保つことができるのです。周囲を頼れる人は高いコミュニケーション能力をもつ「デキる人」でもあるのです。

何より、「1日考えてもうまくいかず間に合わなかった」なんて報告は最悪です。自分でまず考えて、調べて、やってみることは大切ですが、それでも解決の糸口が掴めなければ、早めに相談することも「仕事」のうちです。業務に取り掛かる前に、「自分でなんとかしてみる」時間にどれくらい充てるのかを、最初に計画する癖をつけるだけでも、自分がボトルネックになって仕事が進まなくなる事態を防げるでしょう。

年齢や職位、社歴を「人を尊重するか・否か」の基準にすると、びっくりするほど人間関係が悪くなります。年長者の言う「若い奴の言うことは信用できない」や、若手の言う「○○世代は俺らと違って楽ばかりしている」など、不特定多数を主語とした言い方で世代全体を攻撃するのは、断絶を深めるばかりです。また、相手の年齢によって態度や丁寧さを変える様子は「信用できない人」というイメージにもつながります。

年齢や社歴に関わらず、自分より知識や技術がある人、自分にできないことをできる人はリスペクトの対象であると考えれば、周囲のほとんどの人に「尊敬できるところ」が見つかるはず。そして「周囲に尊敬できる人がたくさんいる」と考えることには、その方々に質問したり、教えを乞うことへの抵抗感が薄れるメリットもあると思うのです。自分より優れた人に、何かを教えてもらうことは恥ずかしいことではないのですから。その結果、仕事におけるインプットが増えたり、その質が向上することにもつながります。

「いつも謙虚で、誰に対しても丁寧にコミュニケーションをしている」「あいさつやお礼をしっかりと言葉で伝える」「相手の考え方や言動を尊重する」……こうした「ごくふつう」のことを、相手の年齢に関係なく普通にできる人は、年を重ねても成長できるのではないでしょうか。


「誰にでも、敬意をもって、フラットに」。職場の人間関係に恵まれている人は、こんなことを心掛けているように見えます。プライベートの人間関係と違い、仕事での人間関係はドライなものであることも多いですよね。それだけに「フェアな人」「話しやすい人」「ストレスを与えてこない人」と認識されれば、短期間に職場の人間関係が良くなることも期待できますよ。

特に自分がうまくいってる時こそ、「頭（こうべ）を垂れる謙虚さ」を持ち合わせることの習慣化をおすすめします。