ビデオゲームの持つメタバース成立要素
「ゲーム」が既に実現している「メタバース」成立のための重要な要素が2つあります。その1つは「オンライン化」で、これにより複数のプレーヤーが同じ空間に参加することが可能になります。
「メタバース」は生まれたばかりの概念で、さまざまな定義がされていますが、「多人数とセカイを共有する」という点はその定義の1つとして多くの人が認めるところではないでしょうか。
米国のベンチャー投資家、Matthew Ball氏が2020年1月に定義したメタバースの7要素のうち、実に4つが「オンライン化」にひもづく内容です。
・Synchronous and live(同時性とライブ性を持つこと)
・No cap to concurrent participants(同時参加人数に制限がないこと)
・Unprecedented interoperability(今までにない相互運用性があること)
・Wide range of contributors(多様な参加者がメタバースに貢献すること)
他には以下の3つの要素が挙げられています。
・Persistent(持続的であること)
・Fully functioning economy(メタバース内で完全に機能する経済システムがあること)
・Both digital & physical worlds(デジタルと現実の両世界にまたがる体験があること)
「Unprecedented interoperability」と「Both digital & physical worlds」を満たす上で、VRは有用な手段ですが、必須条件ではないところは注目すべき点です。
そしてメタバース成立の要素として、もう1つ重要なのが「オープンワールド化」です。一般にオープンワールドのゲームは、目的をつくらず、ある意味「そのセカイに浸り没入すること、手段そのものが楽しみ」というゲームデザインになっています。
「没入するセカイ」を実現するためには、これらオンライン化、オープンワールド化を実現する技術が欠かせませんが、実はビデオゲームの進化のおかげで、すでにそのための要素はほぼそろっています。
ですから、既存のMMOゲームをVRに対応させることで没入感を高め、あたかも新しい「セカイ」に住んでいるような感覚をプレーヤーに与えることまでは、今でも既に可能でしょう。
一方、VRゲームではない「フォートナイト」は、プレーヤーがミニゲームを楽しんだり仲間とリラックスして過ごしたりできる「パーティーワールド」の実装により、メタバースの気鋭の存在として誰しもが認める存在となっています。これは、「セカイに浸ること」を楽しめるフォートナイトのゲームデザインの秀逸さによるものです。
あくまでも重要なのは「没入感」が高い「メタ」な「ユニバース」が成立しているかどうかで、VR技術は「没入」するのに非常に有用な一手段でしかありません。
テンセントのメッセージアプリ「QQ」は、今年1月のアップデートで新機能「Super QQ Show」を投入、メッセンジャーにゲームエンジンのUnreal Engineを組み合わせることによって3D空間を融合できるようにしましたが、これも「没入感」が高い「メタ」な「ユニバース」を目指した良い例でしょう。
Super QQでは家が作れたりインテリアコーディネートもできたりします。まるでNintendo Switchの「あつまれ どうぶつの森」でメッセンジャー機能が充実した状態、あるいは往年の仮想空間アバターコミュニティ「アメーバピグ」が3D空間で再現されたかのようです。
そして、フォートナイトやSuper QQでは現実世界とのリンクが既に行われています。多くのVRの「メタバースコンテンツ」より、メタバースっぽいと言えるのではないでしょうか?
「メタバース」という言葉が「ユニバース=世界」を土台にした言葉であることからも明らかなように、現実とひも付いた表裏一体を体現する「Both digital & physical worlds」は、メタバースにとって重要なテーマでもあります。
「メタバース」は生まれたばかりの概念で、さまざまな定義がされていますが、「多人数とセカイを共有する」という点はその定義の1つとして多くの人が認めるところではないでしょうか。
米国のベンチャー投資家、Matthew Ball氏が2020年1月に定義したメタバースの7要素のうち、実に4つが「オンライン化」にひもづく内容です。
・Synchronous and live(同時性とライブ性を持つこと)
・No cap to concurrent participants(同時参加人数に制限がないこと)
・Unprecedented interoperability(今までにない相互運用性があること)
・Wide range of contributors(多様な参加者がメタバースに貢献すること)
他には以下の3つの要素が挙げられています。
・Persistent(持続的であること)
・Fully functioning economy(メタバース内で完全に機能する経済システムがあること)
・Both digital & physical worlds(デジタルと現実の両世界にまたがる体験があること)
「Unprecedented interoperability」と「Both digital & physical worlds」を満たす上で、VRは有用な手段ですが、必須条件ではないところは注目すべき点です。
そしてメタバース成立の要素として、もう1つ重要なのが「オープンワールド化」です。一般にオープンワールドのゲームは、目的をつくらず、ある意味「そのセカイに浸り没入すること、手段そのものが楽しみ」というゲームデザインになっています。
「没入するセカイ」を実現するためには、これらオンライン化、オープンワールド化を実現する技術が欠かせませんが、実はビデオゲームの進化のおかげで、すでにそのための要素はほぼそろっています。
ですから、既存のMMOゲームをVRに対応させることで没入感を高め、あたかも新しい「セカイ」に住んでいるような感覚をプレーヤーに与えることまでは、今でも既に可能でしょう。
一方、VRゲームではない「フォートナイト」は、プレーヤーがミニゲームを楽しんだり仲間とリラックスして過ごしたりできる「パーティーワールド」の実装により、メタバースの気鋭の存在として誰しもが認める存在となっています。これは、「セカイに浸ること」を楽しめるフォートナイトのゲームデザインの秀逸さによるものです。
あくまでも重要なのは「没入感」が高い「メタ」な「ユニバース」が成立しているかどうかで、VR技術は「没入」するのに非常に有用な一手段でしかありません。
テンセントのメッセージアプリ「QQ」は、今年1月のアップデートで新機能「Super QQ Show」を投入、メッセンジャーにゲームエンジンのUnreal Engineを組み合わせることによって3D空間を融合できるようにしましたが、これも「没入感」が高い「メタ」な「ユニバース」を目指した良い例でしょう。
Super QQでは家が作れたりインテリアコーディネートもできたりします。まるでNintendo Switchの「あつまれ どうぶつの森」でメッセンジャー機能が充実した状態、あるいは往年の仮想空間アバターコミュニティ「アメーバピグ」が3D空間で再現されたかのようです。
そして、フォートナイトやSuper QQでは現実世界とのリンクが既に行われています。多くのVRの「メタバースコンテンツ」より、メタバースっぽいと言えるのではないでしょうか?
「メタバース」という言葉が「ユニバース=世界」を土台にした言葉であることからも明らかなように、現実とひも付いた表裏一体を体現する「Both digital & physical worlds」は、メタバースにとって重要なテーマでもあります。
多様性重視のゲームデザインとバッジ(勲章)
ゲームのメタバースにつながる要素として特筆すべきは、オンラインによる多人数参加、没入できるオープンワールド空間などの技術に裏打ちされた進歩だけではありません。そのゲームデザインにおいて多様性が重視され始めていることも挙げられます。
なぜ、ゲームデザインにおいて多様性が必要なのでしょうか。
昔のビデオゲームは、得点を競うスコアアタック、時間を競うタイムアタックなどで、プレーヤー間の「優劣」を決めていました。これはビデオゲームに先立って昔から親しまれてきたゲームである、「スポーツ」の影響を大きく受けていると考えます。
ゲームにおいて、プレーヤーの優劣を決めることを「ゲームがプレーヤーを評価する」という表現で表してみます。スポーツや旧来のビデオゲームでの優劣の決め方は「評価軸が少ない」状態です。評価軸が少ない状況は、一握りの勝者と多くの敗者という縦に長いピラミッド構造を生み出します。
そのような環境で、単一的な評価軸でのみプレーヤーを評価すれば、ほとんどのプレーヤーは自身が圧倒的な下位者であることを認識し、絶望し、離脱してしまうでしょう。
そこで生まれたのが「アチーブメント(達成)」等の新たな評価軸です。
例えば、「敵に10回連続勝った」「30日連続ログインした」「仲間に回復魔法を100回使った」など、従来の優劣だけではない、多様な評価軸でプレーヤーを評価し始めたのです。
この変化は「ポケットモンスター」シリーズの最新作「Pokémon LEGENDS アルセウス」が歴代ポケモンシリーズと比較して、アチーブメントの評価軸が一気に多様化したところからも読み取れます。今後これらの評価はより有機的なものに変化していくでしょう。
なぜ、ゲームデザインにおいて多様性が必要なのでしょうか。
昔のビデオゲームは、得点を競うスコアアタック、時間を競うタイムアタックなどで、プレーヤー間の「優劣」を決めていました。これはビデオゲームに先立って昔から親しまれてきたゲームである、「スポーツ」の影響を大きく受けていると考えます。
ゲームにおいて、プレーヤーの優劣を決めることを「ゲームがプレーヤーを評価する」という表現で表してみます。スポーツや旧来のビデオゲームでの優劣の決め方は「評価軸が少ない」状態です。評価軸が少ない状況は、一握りの勝者と多くの敗者という縦に長いピラミッド構造を生み出します。
そのような環境で、単一的な評価軸でのみプレーヤーを評価すれば、ほとんどのプレーヤーは自身が圧倒的な下位者であることを認識し、絶望し、離脱してしまうでしょう。
そこで生まれたのが「アチーブメント(達成)」等の新たな評価軸です。
例えば、「敵に10回連続勝った」「30日連続ログインした」「仲間に回復魔法を100回使った」など、従来の優劣だけではない、多様な評価軸でプレーヤーを評価し始めたのです。
この変化は「ポケットモンスター」シリーズの最新作「Pokémon LEGENDS アルセウス」が歴代ポケモンシリーズと比較して、アチーブメントの評価軸が一気に多様化したところからも読み取れます。今後これらの評価はより有機的なものに変化していくでしょう。
GMOブランドセキュリティ 技術担当役員 山下寿也