最近はやりの「メタバース」を理解するための映画5選

宮本 夏樹

Specialカルチャーゲームテクノロジー映画・音楽
毎日のように「メタバース」というワードを目にする昨今ですが、「じゃあメタバースって一体なんなの?」という問いにすぐ答えられる人は、まだまだ少ないのではないでしょうか。

どんな本を読めばいい? 参考になる記事は?? やっぱり体験するならVRヘッドセットが要るのかな……。

しかしヘッドセットを被って体験するものだけがメタバースではありません。それに、あなたの身近なところにもたくさん、メタバースについて直感的に理解が進む“メタバース的”なものは転がっているのです。

そう、それは映画。メタバース要素を描いた作品は、すでに多数存在しています。例えば『サマーウォーズ』や『レディ・プレイヤー1』など、「言われてみれば確かにメタバース的かも?」という作品が思い当たりませんか。

VRゲームやVRチャットも、体験すればもちろん、よりメタバースを「理解」することができると思いますが、まずはメタバース的な考え方とは一体どんなものなのかを、これらの映画でおさらいしてみましょう。

なぜ映画でメタバースがわかるようになるの?

その前に、なぜ映画でメタバースの理解が進むのか、ちょっと説明してみたいと思います。

まずはメタバースの語源からひも解いていきましょう。

我々が普段生活している場はユニバース(Universe)。宇宙であり銀河であり森羅万象です。ここでは「世界」と捉えてください。「Uni」は「単一の」という意味なので、ユニバースには「単一の世界」「唯一の世界」という意味合いが含まれています。

それに対してメタバースは、「meta-verse」です。つまりUniverseが「メタ」である。単一世界を超越した高次の世界だから「Metaverse」なのです。

メタだとか超越とか高次と言われてもスッキリしない方もいらっしゃるかもしれません。その場合、今はざっくり「ユニバースにひもづいたオルタナティヴ(代替的)な世界がメタバース」であると捉えてください。

どうでしょう。「現実にはないけれども、現実世界に似た世界」を映像化しているのが映画だと考えると、そもそも映画って、ちょっと“メタバース的”な存在だと思いませんか?

では、メタバースがメタバースである条件とはなんでしょうか。

メタバースの定義はたくさんあるのですが、メタバース関連企業にも数多く投資する米国の投資家・Matthew Ball氏が2020年、ブログにつづった以下の条件が、メタバースについて考えるきっかけになると思いますので、ここに引用します。

1. Persistent(持続的であること)
2. Synchronous and live(同時性とライブ性を持つこと)
3. No cap to concurrent participants(同時参加人数に制限がないこと)
4. Fully functioning economy(メタバース内で完全に機能する経済システムがあること)
5. Both digital & physical worlds(デジタルと現実の両世界にまたがる体験があること)
6. Unprecedented interoperability(今までにない相互運用性があること)
7. Wide range of contributors(多様な参加者がメタバースに貢献すること)

他にも、「中央集権的でない」ことや 「没入型の体験」を条件に挙げているケースもありますが、必要最低限の条件がこれら7つの要件ではないでしょうか。

それでは、これらを踏まえながら、「映画の中にもあるメタバース」で理解を深めていきましょう。

メタバース要素全部入り?『サマーウォーズ』

「サマーウォーズ」劇場用予告
最初に取り上げるのは、細田守監督の『サマーウォーズ』(2009年公開)です。テレビでも幾度となく放映されている長編アニメーション映画なので、鑑賞したことがある人も多いのではないでしょうか。今はAmazonプライムビデオやHuluなどでも配信されています。

サマーウォーズは、現実世界と仮想世界の2つを行き交う物語です。すでに観たという人も観たことがない人も、いい機会なので改めてメタバースに興味を持った状態で、どうか本編の冒頭4分だけでもご覧ください。

さて、久しぶりに観た方もいたことでしょう。いかがでしたか。新しいサービスに登録したときのガイダンスのような映像が流れましたね。

冒頭で語られているサービスは「OZ」といい、いわゆるメタバース的なサイバー空間です。OZは現実の社会基盤と密接に関わっていて、個人IDが現実世界と仮想世界とでひもづけられ、個人とアバターもひもづけられています。

このためOZは、さまざまな公共機関やインフラと密接に連携しています。つまりOZは官民サービスすべてを対象にした認証基盤として扱われています。

そのため作中序盤では、主人公のケンジがOZのアカウントのハッキングにあった際、携帯電話も止められています。

まとめると、サマーウォーズは、

・OZというサービスが現実と仮想空間、両方の認証基盤となっている
・アカウントがOZに認証されなければ、現実世界でも影響が出る
・OZのアカウントと現実の人間の権限はほぼ等しい

というように、デジタルサービスと仮想空間の将来あり得る姿を噛み砕いて提示しています。

上に挙げたメタバースの定義を、サマーウォーズにおけるさまざまな設定や演出は満たしています。サマーウォーズで描かれている世界は「ほぼメタバース」と言ってもいいように思えます。メタバースを大雑把に理解したければ、サマーウォーズを観るとよいと思います。

サマーウォーズの作品内では、現実世界のユニバースがあり、メタバースとしてのOZがあります。OZは現実に影響を及ぼしているものの、現実世界とは全く別の世界として存在しています。このことから、多少乱暴な言説ではありますが、メタバースはやはり、オルタナティブな現実世界であり、現実をメタ的に捉えた世界であると言えるでしょう。

OZの運営主体が企業なのか行政なのかがはっきりしていないのはご愛嬌ですが、現実とデジタルの垣根を大きく下げた本作は、メタバースにおける「世界」の扱いについて地ならししてくれます。

我々の世界でも結果的に、メタバースサービスの覇権を取るのがどこであるかは別として、メタバースはいくつも存在しますし、していいのです。ここら辺は今あるSNSサービスやウェブサービスと似ていますね。
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宮本 夏樹

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