最近はやりの「メタバース」を理解するための映画5選

2022.2.25

自律進化するAIと共存？『フリー・ガイ』

映画『フリー・ガイ』本予告

オンラインゲームのモブ（背景）キャラにある日突然自我が芽生えるという設定の『フリー・ガイ』（2021年公開）。ゲーム世界に迫る危機から“世界”を救うため、プログラムや設定を無視してモブキャラ主人公のガイが独自に動き出していく、という内容の作品です。

実在のゲームシリーズ『グランド・セフト・オート』のような、なんでもアリでルール無用のゲーム世界を舞台にしている本作で描かれる世界は、メタバースというよりも「1つのゲーム世界での物語」という方が正確なのですが、メタバース的なものであることに疑いはありません。

さて、本作の注目すべきポイントは、サイバー空間上に存在する人工知能の表現です。

ある日、さまざまな偶然が重なり、プレイヤーの女性に恋をしてしまうガイ。恋は盲目です。ガイに女性を追い求める意志が生まれ、それにより日々繰り返されるプログラムのルーチンから逸脱し、人間のプレイヤーと同じ能力を持つようになり、AIは学習を重ね、独自に動き出すようになります。

ある意味、緩やかなAIの反乱と言っても過言ではないのでは、と感じますが、本作は将来、自律的に行動するメタバース内のAIと友人関係になったり、あるいは恋人同志になったりする未来を予感させてくれるでしょう。

メタバース世界では、当然ですが「AI」はあなたの隣人となり得るのです。

スパイダーマン全員集合！『スパイダーマン：スパイダーバース』

スパイダーマン：スパイダーバース（吹替版）

via www.youtube.com

そして最後に紹介するのは、2018年に公開されたスパイダーマンのCGアニメ映画作品『スパイダーマン：スパイダーバース』です。こちらはメタバースを中心に扱った作品ではありませんが、マルチバースを理解するのに最適な1本。一言でいうならば「いろんな世界線のスパイダーマン、全員集合！」です。

1962年に誕生したスパイダーマンは今日に至るまで、シリーズとしてさまざまな作品が生み出されてきました。それらは、全て同じ設定ではなく、それぞれが独立したシリーズで展開されています。本作はそんないろいろなスパイダーマンたちが1つの世界に集まってしまう、という内容です。

ユニバースが現在我々が存在している現実世界だとしたら、メタバースはそれに紐づくもう1つの世界であるということは、すでに説明しました。ユニバースとメタバースは、それぞれが強く紐付いた表裏一体の存在なのです。

一方、マルチバースは、枝分かれした別のユニバースの集合です。一言で言えば「別の世界線の集まり」です。

多元宇宙や多世界解釈とも言われますが、枝と葉っぱの関係で例えると、葉っぱの一つひとつがユニバースで、枝分かれした別々の葉っぱの集まりがマルチバースと言えます。

スパイダーマンの作品で例えてみると、「スパイダーバース＝マルチバース＝スパイダーマン世界のユニバース群」です。

スパイダーバースが成立するためには、基本的なお約束があります。

スパイダーマンは、
・ピーター・パーカーである
・ニューヨーク在住
・科学が得意
・蜘蛛の糸を飛ばす
・ベンおじさんかメイおばさんがいる
・ガールフレンド的な役割の女性がいる（主にメリー・ジェーン（MJ））
・大いなる力には大いなる責任が伴う
という共通点で、今まで制作されてきたスパイダーマンシリーズは、基本的にこれらの要件を満たしています。

一方で、
・ピーター・パーカーの身分が高校生や大学生など、違っていることがある
・生身で蜘蛛の糸を出せるピーター・パーカーもいる
・ベンおじさんがいないこともある
つまり、各スパイダーマン作品は、それぞれが別のユニバースであり、作品群はマルチバースなのです。

映画鑑賞後にメタバースを体感するならゲームがおすすめ

メタバース的な概念を扱った映画はもちろん他にもありますが、まずはこちらの5作品を観て、「どういうものがメタバースなのか？」「マルチバースとは何か？」をつかんでみてください。

そして今回紹介したほとんどの作品の設定が、ゲームと密接に関わっています。現状では、メタバースはゲームが牽引している世界です。ですから「今」、メタバース的なものをわかりやすく体感してみるには、ゲームがもっとも向いていると思います。

「フォートナイト」や「あつまれどうぶつの森」などはメタバースに近いゲームと言われています。また「VRChat」をはじめとするxR（AR/VR） SNSも花開き始めています。

それらを体験する際に、だいたいでよいのでメタバースの概念を知ってプレイしてみると、また一味ちがった印象を覚えるでしょう。

今は各種映像サブスクサービスでも、さまざまな映画が楽しめるようになっています。まずは、映画でメタバース的な「セカイ」に触れて、その後、興味が深まればぜひ、メタバースの「セカイ」へいらしてください。私は一足先にあっちで待ってます。