スマホの通知、うっとうしくない?タカキ流・通知マネジメント:鵜の目「鷹木」の目

鷹木 創

Speciali4Uスマートフォン

Webサイトの新着通知はアリか?

ChromeとかでWebサイトを見ていると、ブラウザから新着通知を配信できるメディアがありますよね。あれ、Web編集業界の人からは「いらない」って言われがちなんですけれど、メデイア側からすると、まあまあ効くんですよ。

業界の人たちは、情報を摂取しすぎなところがあるので、自分でちゃんと選びたいと思いがちなんですが、そうでない人たちは、プッシュ型は嫌いじゃないみたいです。海外の媒体を運営している知り合いの編集者は「プッシュしまくるとすごい勢いで見てくれる」と言っていました。

日本人って通知をスルーできない、まじめな国民性なのかも。東南アジアに視察に行った時、現地であるアプリのユーザーインタビューをしたんですが、その人たちはプッシュ通知をすごく受け取っていました。受け取った後に取捨選択すればいいと思っているのかもしれませんね。

日本では「既読スルー」が批判されたり、「フォローされたらフォローバックすべき」と言う人がいたり、かつてはmixiの「あしあと」機能が議論になったりしましたよね。日本人って「内祝い」とか「香典返し」とか、“お返し”文化だから、何かをもらうと返さなきゃ!って思うのかな。スルー力、大事ですね。

「コンテンツディスカバリー」と通知の相性

スルー力を鍛える一方で、人の興味関心の狭間にある「あんまり見ないんだけど時々気になる」ぐらいのものは、通知があるといいのかも。

スマートニュースにいたころ、1日数万件のコンテンツのうち、「みんな知らないけど、ちょっとは興味がある、興味関心のちょっと外側」をリコメンドしてあげるといいのではないかと、同僚たちと考えていました。当時はそれを「コンテンツディスカバリー」と呼んでいました。

でも実際やってみると、その人が普段から興味があり、よく見ている、いつもと同じような“エコーチェンバー”路線のコンテンツの方が、圧倒的に閲覧数が大きい。好きな方、好きな方に行ってしまうんです。コンテンツはこんなに多様化しているのに、ディスカバリーさせたいと思って配信すると、アプリを開かなくなってしまう。本当に難しいなと。

一方でディスカバリー路線は全くダメなのかというと、そうではないと思います。人間には「発見する楽しさ」がありますから。例えば、本屋さんをブラブラ歩くのが楽しい、みたいな楽しさです。これは、人から押しつけられるアラートなどの仕組みでは達成できません。Amazonのおすすめではピンときません。ディスカバリーは、自由でリラックスしていて主体的な時の方が向いていそうです。そういう意味では、実用的なジャンルより物語や小説の方が向いているかもしれませんね。

Apple Watchは“通知マシン”

Apple Watchも何度か買っては「(鷹木には)いらないな」と思って、妻にあげ続けています。電話やアプリの通知をいちいち知らせてくる“通知マシン”だからうっとうしいのが理由の一つ。あと、時計なのに毎晩充電しないといけない。付け外しがめんどくさくて、充電しなくなりました。

通知も、適当な頻度ならいいんですけどね。鷹木が暇なタイミングを見計らって、必要なお知らせだけを絞って出してくれるとか。重い仕事の通知は、Apple Watchで心拍を見て、落ち着いている時に出してくれるとか。

つまり、通知そのものが嫌いなわけではなくて、「忘れちゃうものを適切なタイミングで教えてほしい」という願望はあります。今、僕は自分の予定をSlackで自分宛てに「TODO」として送るリマインダーを設定しているんですが、例えば「来週月曜日にメルマガを書く」といった定期的な予定はかえって「分かっているわい!」と目が滑ってしまって、見ても忘れちゃう。

とはいえ、今、Googleカレンダーとか、オンラインでスケジュールを共有できるツールがあるのはいいことです。紙の手帳の時代は大変でした。手帳に書いた行為すら忘れていましたからね。

最強の通知マシンとして“AI秘書”に期待

結局、リマインドは人間にしてもらうのが最強なんですよね。会社の社長が秘書を雇うのはなんとなく分かります。秘書に配慮してもらいながら、タイミングを計ってリマインドしてもらうと、スケジュールがスムーズに進みそう。

“AI秘書”でもいいかもしれません。Googleカレンダーの情報や、やるべきタスクをAIが読み込んで、「今このタイミングなら、このタスクができますよ」とタイミングよく言ってほしいし、さらにいえば、「このタスクをやるためにGoogle Docsのひな形を作っておきました」と、準備までしてくれれば最高。僕は、そのひな形をサッと埋めるだけでOK、となっていれば完璧です。

そういえば優秀な編集者は、作家にそういうアプローチをしていますよね。ただ単に締め切りを設定するだけじゃなくて、作家の仕事が最低限になるように根回しをして。そういう動きを、AIができるようになってほしいなあ。
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鷹木 創

編集主幹
2002年以来、編集記者や編集長などとしてメディアビジネスに携わる。インプレス、アイティメディアと転職し、2013年にEngadget日本版の編集長に就任。 その後スマートニュースに転職。国内トップクラスの機械学習を活用したアプリ開発会社においてビジネス開発として活躍。2021年からはフリーランスとして独立、IBM、Google などのオウンドメディアをサポートしている。

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