統一地方選も終わってようやく街中が落ち着いてきました。選挙って「街宣活動がちょっと にぎやかすぎるなー」と思う反面、少しお祭り的なところもありますよね。ちなみに筆者の選挙区は子どもを連れて選挙に行くと紙風船をもらえます。30分ぐらいは子どもたちも楽しんでますね(その後は兄弟で取り合ってケンカしたり、バンっと叩いて穴をあけてしまったり……苦笑)。
さて、今回はそんな民主主義っぽいお話と関係するのかしないのか、「ソフトウェアの民主化」について考えてみたいと思います。
さて、今回はそんな民主主義っぽいお話と関係するのかしないのか、「ソフトウェアの民主化」について考えてみたいと思います。
GNUという“民主的なOS”
1980年代後半~90年代前半、世の中はホビーPC花盛りでありました(WindowsやMac OS以外の各メーカーでオリジナルなOSを積んだPCが当たり前だった時代です)。ご多分に漏れず、筆者はMSXやX68000といったホビーPCに触れる機会がありました。「マイコンBASICマガジン」(ベーマガ)に載ったコードを見ながらプログラミングのまねごとをしたりしていたんですが、そこで知ったのが「GNU」(グヌー)という文化です。
1970~80年代にコンピュータが普及し始めた時、ソフトウェアはユーザーが自分で作って自前で配っていました。その後、AT&Tベル研究所が開発を始めたOS・UNIXが台頭して、ソフトウェア開発はビジネスになり、有料の商用ソフトが普及します。その半面、ソフトウェアの世界は閉鎖的になり、それをつまらないと思う人たちが現れました。そういう人たちが、UNIXの商用文化に対抗して取り組み始めたのが、フリーソフトだけで構成されたOS「GNU」(GNU's Not Unix!)でした。
パソコン通信のモデムソフトにもGNU版があったし、「ないものは自分たちで作って配って楽しもう」というムーブメントがありました。GNUライセンス有料でソフトを配っている人もいたけれど、「気に入った人だけが自由にお金を出す」といった形でしたね。いったん商業ベースに組み込まれたものを、フリーに引き込むのは面白い動きだと、当時筆者は思っていました。
その後、Windowsが普及します。自由にソフトをインストールできるWindowsは、コンピュータの民主化に間違いなく貢献したと思いますが、半面、マルウェア(悪意のあるプログラム)も盛り上がってしまった。
昔のマルウェアは、ブラクラ(ブラウザクラッシャー、ブラウザウィンドウがいくつも際限なく開くことでPCがクラッシュするという悪意のあるWebサイト)みたいに相手を驚かせたり、PCのデータを破壊するなどいたずら目的のものが多かった。それが今は、気づかないうちに情報を抜かれる、といったものに変わっています。昔はネットワークに常時接続ではなかったし、メールを開いた一瞬で乗っ取って、HDDを壊すぐらいが限界だったのかもしれませんが、今は直接的に経済的な損害を与えるものになっています。
PCとインターネットをいろいろな人が使うようになるとともに、問題も増えています。そんな中、AppleのiPhoneは、App Store経由でないとインストールできないなど、ユーザーの自由を縛ることで、セキュリティを確保していますね。
1970~80年代にコンピュータが普及し始めた時、ソフトウェアはユーザーが自分で作って自前で配っていました。その後、AT&Tベル研究所が開発を始めたOS・UNIXが台頭して、ソフトウェア開発はビジネスになり、有料の商用ソフトが普及します。その半面、ソフトウェアの世界は閉鎖的になり、それをつまらないと思う人たちが現れました。そういう人たちが、UNIXの商用文化に対抗して取り組み始めたのが、フリーソフトだけで構成されたOS「GNU」(GNU's Not Unix!)でした。
パソコン通信のモデムソフトにもGNU版があったし、「ないものは自分たちで作って配って楽しもう」というムーブメントがありました。GNUライセンス有料でソフトを配っている人もいたけれど、「気に入った人だけが自由にお金を出す」といった形でしたね。いったん商業ベースに組み込まれたものを、フリーに引き込むのは面白い動きだと、当時筆者は思っていました。
その後、Windowsが普及します。自由にソフトをインストールできるWindowsは、コンピュータの民主化に間違いなく貢献したと思いますが、半面、マルウェア(悪意のあるプログラム)も盛り上がってしまった。
昔のマルウェアは、ブラクラ(ブラウザクラッシャー、ブラウザウィンドウがいくつも際限なく開くことでPCがクラッシュするという悪意のあるWebサイト)みたいに相手を驚かせたり、PCのデータを破壊するなどいたずら目的のものが多かった。それが今は、気づかないうちに情報を抜かれる、といったものに変わっています。昔はネットワークに常時接続ではなかったし、メールを開いた一瞬で乗っ取って、HDDを壊すぐらいが限界だったのかもしれませんが、今は直接的に経済的な損害を与えるものになっています。
PCとインターネットをいろいろな人が使うようになるとともに、問題も増えています。そんな中、AppleのiPhoneは、App Store経由でないとインストールできないなど、ユーザーの自由を縛ることで、セキュリティを確保していますね。
クルマはEVで民主化する?
クルマのEV化が進んでいますが、クルマも民主化=誰でももっと使いやすい乗り物になるでしょうか? EV化すると、内燃機関が不要になり、モーターは管理や取り替えがしやすいので、民主化の可能性はあると思います。
ただ、EV化するということは、クルマにコンピュータが入ってくるのとほぼ同義です。コンピュータが入ってないクルマ、特に70~80年代以前のクルマは、整備する側にPCやITの知識がなくとも整備できるメリットもあります。今のクルマは、肝心なところがすべてコンピュータ制御になっていて、認定の整備工場しかいじれなかったりします。ハードウェア的には民主化に向かっているが、ソフトウェア的には非民主化に進んでいるということですね。
エンジンのトルクの調整もコンピュータ制御です。昔なら、エンジンの中を削ったり、物理的にチューニングして馬力を上げていたけれど、今ならPCのクロックアップみたいにチューニングができてしまう。CPU(エンジン)の取り替えは簡単になったが、OS的なものが複雑化している。その分ハードウェア的にはつまらないと言えるかもしれません。
ただ、EV化するということは、クルマにコンピュータが入ってくるのとほぼ同義です。コンピュータが入ってないクルマ、特に70~80年代以前のクルマは、整備する側にPCやITの知識がなくとも整備できるメリットもあります。今のクルマは、肝心なところがすべてコンピュータ制御になっていて、認定の整備工場しかいじれなかったりします。ハードウェア的には民主化に向かっているが、ソフトウェア的には非民主化に進んでいるということですね。
エンジンのトルクの調整もコンピュータ制御です。昔なら、エンジンの中を削ったり、物理的にチューニングして馬力を上げていたけれど、今ならPCのクロックアップみたいにチューニングができてしまう。CPU(エンジン)の取り替えは簡単になったが、OS的なものが複雑化している。その分ハードウェア的にはつまらないと言えるかもしれません。
鷹木 創
編集主幹
2002年以来、編集記者や編集長などとしてメディアビジネスに携わる。インプレス、アイティメディアと転職し、2013年にEngadget日本版の編集長に就任。 その後スマートニュースに転職。国内トップクラスの機械学習を活用したアプリ開発会社においてビジネス開発として活躍。2021年からはフリーランスとして独立、IBM、Google などのオウンドメディアをサポートしている。