「リスキリング」で何をするべき?今、学びたい5つの分野

中野 亜希

DXSpecial働き方改革
新型コロナウイルスの流行を経て、多くの人の働き方が変化しました。リモートワーク中心の働き方にシフトした人もいれば、出社が必須の人でも顧客や取引先とのやり取りは対面からオンラインへ移行するなど、コロナ以前の働き方と同じスタイルを貫ける人は少ないのではないでしょうか。

そんな中、国内外を問わず注目を集めるのが「リスキリング」です。2020年の世界経済会議(ダボス会議)では「2030年までに地球人口のうち10億人をリスキリングする」と発表されました。日本でも経団連が2020年11月に発表した「新成長戦略」の中で、リスキリングの必要性について触れています。ポストコロナの状況とも相まって、今が新たなスキルを身につけるタイミングだと感じている人も多いようです。

そんな中、どの業界においても通用する「リスキリングで学ぶべき領域」があります。

たとえば、社内のデジタル化を進める取り組み「DX(デジタルトランスフォーメーション)」を推進する企業が増えています。コンピュータやAIを業務に活用することで効率アップやサービス品質の向上が可能になるのがDXですが、デジタルやコンピュータに関する新たなスキルの習得や、以前の知識のアップデートも必要になるため、「学びなおし」が必要な分野としても注目されています。

また、「ChatGPT」に代表される生成AIは、コンピュータが学習したデータを元に新しいデータや情報をアウトプットする技術です。使い方次第で優れたアイデアやコンテンツを次々と生み出す、その驚異的なアウトプット能力は、これまで「人間のもの」と考えられていたクリエイティブな仕事にも影響を与えています。このことでかえって「人にしかできない仕事」が脚光を浴びるかたちになっています。

「リスキリングで学ぶべき領域」の中には、資格取得によって「スキルを身につけた証明」ができるものも多いです。この記事では、「学ぶべき領域」と「資格取得」についてお話していきます。

資格取得に向けた学習は、明確な目標設定が可能となるので、「社会人になってから、自主的に勉強をするのは久しぶり」という社会人のリスキリングの手法としてもおすすめです。

1. ITスキル

AIやIoT(モノのインターネット)、データサイエンスやブロックチェーン、UIやUXなど、IT関連の専門知識は身につけておいて損はありません。

DXの推進に力を入れる企業においては、AIによる業務の自動化、IoTなどによるデータ収集といったスキルが部署を問わず必要とされます。そうでなくてもデジタル化やオンライン化が急速に進む昨今、基本のITリテラシーは必須スキルといっても過言ではありません。

基礎的なIT知識の習得を証明する国家資格として「ITパスポート試験」があります。

数あるIT系の資格の中では最も基礎的な内容で、その分、難易度も低めです。とはいえ、そもそもITに関してきちんと学んだことのない人も多いはず。たとえ簡単な知識でも、体系的な学びの中でバラバラだった知識がつながり、ITに関する解像度が急激に上がることもありえます。

ITパスポート試験の範囲はコンピュータやネットワーク、プログラミングといったIT技術だけにとどまらず、経営やマネジメント、法務や情報システム戦略なども網羅しています。資格取得に向けた学習が社会人としての基礎の底上げにもつながるので、全てのビジネスパーソンにおすすめできる資格です。

日々のPC操作に自信がない……という人は、MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)を取得してみては?

MOSとは「Microsoft Office Specialist」の頭文字で、ExcelやWord、PowerPointなど、マイクロソフトオフィス製品を活用するスキルを認定する資格です。バックオフィス系の業務に就いている方にとって、オフィス製品の活用は必須です。特にExcelやWordは仕事だけでなく、日常生活の中でも活用できるシーンも多く、スキルを身につけることにより公私ともに効率化につながります。

この資格も比較的取りやすいため、「履歴書に書いてもいいの?」「役に立たないのでは?」という声もありますが、転職活動で役に立つというよりは、「オフィス製品に関して一定レベルのスキルを習得している」ことの証明としての側面が強い資格です。オフィス製品については、「なんとなく自己流の使い方をしている」「意外にできない」人が多いので、学びによって周囲と大きく差をつけることができるかもしれません。

またExcelやAccessでの作業において、「VBAによる自動化」は業務の効率化に大きく貢献します。そのVBAのスキルを証明する資格が「VBA(Visual Basic for Applications)エキスパート」です。

「VBAを使える」とは、「コンピュータの操作の自動化をVBAというプログラミング言語で実行すること」を指します。代表的なアウトプットとしては、

・集計されたデータを特定の切り口でシート上に抽出できる
・さまざまな人が作ったファイルを1つのファイルに集約して一元管理できる
・目視でチェックしていたデータを自動チェックできる
・エクセル上のボタンから自動でメールソフトを立ち上げ、メール送信を完了できる

といったものがあります。

バックオフィス業務はデータ処理や資料作成が多く、VBAによる業務自動化の恩恵を最も受けやすいのですが、そのほかの業務においても手作業によるミスを撲滅できるのは見逃せないポイント。ミスの削減による信用度のアップは大きなメリットです。

2. 情報セキュリティ

今や情報は、人、モノ、お金に次いで「第4の経営資源」とも呼ばれています。情報セキュリティに関する知識は業務内容や配属先に関わらず、優先的に学びたい分野です。

「情報セキュリティ」という言葉には、パソコンやアプリケーションの操作、正しい情報の見極め方、SNSへの理解など、幅広い知識やスキルが含まれます。ネットワークにおける情報リスク、適切なデータの取り扱いを知ることは、情報漏えいや炎上などのトラブルといったリスクを回避するための必須の知識です。

「情報セキュリティマネジメント試験」は、情報の安全を確保する基本スキルを認定する国家試験です。資格の取得を通じて「情報漏えいのリスクを減らす方法」「万が一のトラブルに際しての適切な対処法」などを身につけることができます。

情報漏えいやウイルスからの攻撃、システムトラブルなどから自社を守ることの重要性が年々高まる今だからこそ、取りたい資格です。
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中野 亜希

ライター・コラムニスト
大学卒業後、ブログをきっかけにライターに。会社員として勤務する傍らブックレビューや美容コラム、各種ガジェットに関する記事執筆は2000本以上。趣味は読書、料理、美容、写真撮影など。
X:@752019

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