11年連続業界トップに、「makeshop byGMO」が前年比111%の年間流通額でEC構築SaaS業界No.1

安蔵 靖志

BtoBECGMOインターネットグループ
GMOメイクショップが提供するECサイト構築SaaS「makeshop byGMO」は、2022年の年間流通額が前年比111%の3055億円に到達し、過去最高を更新。これにより、国内のECサイト構築SaaS業界で11年連続第1位(2023年3月時点、同社調べ)を記録しました。

makeshopの2022年の流通額が過去最高となった背景には、コロナ禍で急増した新規導入ショップの売り上げ成長の加速をはじめ、「イベント・チケット・サービス」分野の回復と、地方ショップの成長などが挙げられます。

EC市場はコロナ禍の巣ごもり需要から引き続き成長傾向に

EC市場は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う巣ごもり消費の増加から、2020年に大幅に市場規模が拡大しました。2021年は伸び率が鈍化しつつも、引き続き成長傾向となり、物販系分野のBtoC EC市場規模は前年比8.61%増の13兆2865億円、EC化率は8.78%で前年より0.7ポイント上昇しました(経済産業省 商務情報政策局 情報経済課「令和3年度 電子商取引に関する報告書」より)。

makeshopでも、主軸プランである「プレミアムプラン」の新規導入店舗数が2020年に前年比144%と急増し、純増数では前年比245%と成長を遂げました。その後も成長し続けた結果、2022年末時点の導入店舗数は1万1000件以上に達しています。

makeshopは、日本の商習慣に合わせた豊富な機能と、電話やメール、掲示板によるカスタマーサポート、ECアドバイザーへの相談などのサポート体制を提供しており、EC運営経験がない人でもECサイトを構築し、売り上げを獲得しやすい環境を整えています。

コロナ禍では、ECサイトの新規参入が増加した一方で競争も激化しました。せっかくECサイトを開設しても、うまく売上を獲得できずに閉店する事業者も多く見受けられました。そのような状況でもmakeshopを新規導入した多くの事業者は売り上げを伸ばし、ECサイトを継続しているとのことです。

コロナ禍で新規導入ショップの売り上げ成長が加速し流通額増加を牽引

makeshopの流通額を導入年別に見ると、2019年に導入されたショップの流通額は導入翌年の2020年に4.7倍に成長していることが分かります。同様に、2020年に導入したショップの流通額は2021年に2.4倍、2021年に導入されたショップは2022年に2.7倍と、いずれも大きく成長しており、流通額の増加を牽引しました。

新規導入ショップの1年後の継続率は83.7%に向上

またコロナ禍開始当初の2020年に、makeshopを新規導入したショップにおける1年後の継続率は76.6%でした。一方、2021年に導入されたショップの1年後の継続率は80.3%、2022年に導入されたショップは83.7%(※)と年々向上しています。導入1年後の継続率向上の背景には、ECサイト開設1年目から売り上げを獲得し、利益を確保できているショップが増えていることが影響していると考えられます。

makeshopの新規導入ショップにおける、1年後の継続率は上昇(※1年間の契約継続率のため、2022年においては2月までの導入ショップデータから算出)

ジャンルごとのショップ数では「フード・菓子」が最も多く、流通額も高成長

makeshopではそれまで「ファッション・ブランド」ジャンルの導入店舗数が最も多かったのですが、コロナ禍で飲食店や食料品店のEC化が進んだことから2020年に「フード・菓子」が逆転して1位となりました。その傾向は現在も続いており、2022年末時点のジャンル別の導入店舗数構成比は、「フード・菓子」が18.1%で1位、次いで「ファッション・ブランド」が13.2%で2位、「生活・文具・インテリア」が12.6%で3位となっています。流通額においても「フード・菓子」ジャンルの成長は著しく、コロナ禍前の2019年と比較すると、2022年の流通額は230%に増加しました。

コロナ禍で減少した「イベント・チケット・サービス」の流通額も2022年には回復

動きに特徴のあったジャンルとしては、「イベント・チケット・サービス」の流通額が増加しました。コロナ禍の外出自粛やイベント中止の影響から、2021年には減少傾向となっていましたが、イベントの再開など日常を取り戻してきたことから、2022年5月頃より増加の波が見られ、2022年の流通額は前年比152%、2019年と比較しても126%の成長となりました。

2022年導入ショップのジャンル別構成比と、2019年から2022年の成長ジャンル

一方で、他のジャンルの流通額が増加するなか、「CD・DVD・楽器」は減少傾向となりました。コロナ禍では、おうち時間を充実させるために楽器を始める人が増え、楽器需要も増加が見られましたが、配信サービスの広まりによりCDやDVDの購入機会が減ったことが影響し、流通額が減少したと考えられます。

地方のショップが成長し流通額増加を後押し

流通額を導入ショップの所在地別に見ると、最も多いのは東京都で全体の46%を占めています。一方、2019年と2022年の流通額を比較した成長率をショップ所在地別に見ると、1位は長崎県で677%、2位は岩手県で413%、3位は高知県で403%となっており、地方所在ののショップによる流通額が大きく成長しました。これまで地方では、あまりEC化が進んでいない状況がありました。しかしコロナ禍による観光業の縮小を背景にEC化での販路拡大を目指したことや、業務効率化のためにDX化を推進する動きが活発化したことで、導入店舗数が増加し、流通額も成長したと考えられます。

2022年流通額におけるショップ所在地別構成比

円安で「海外販売機能」の導入店舗が増加し“越境EC”も好調

また2022年のmakeshop利用傾向において特徴的だったのは、「海外販売機能」の導入店舗数の急増です。「海外販売機能」は、2022年4月の提供開始直後から円安の影響で注目が高まりました。また、通常のECサイト運営費以外に追加の費用負担がなく簡単に始められることもあり、毎月100件ペースで導入店舗数が増加しました。現在は1000件に到達し、海外販売の増加も流通額成長の一因となりました。

GMOメイクショップは、変化を続けるEC市場環境や、多様化するECサイト構築ニーズに柔軟かつスピーディーに対応するため、makeshopのシステムをフルリニューアルする「次世代EC開発プロジェクト」を現在進行しています。2022年11月末にはインフラ基盤の移行が完了し、高稼働率・高可用性を実現しました。

2023年には、管理画面のリデザインやアプリプラットフォームの提供を予定しているとのことです。より安心・安全で拡張性のあるシステムを提供することで、ショップが売り上げを獲得しやすい環境を提供するとともに、“誰もがECを利用できる環境=EC普及率100%”を目指して取り組んでいくとしています。

コロナ禍で新規参入店舗が増えたことにより、ECサイトは“レッドオーシャン”になりつつあります。これから新たに参入する事業者は、ECサイトの構築や運営簡便かつ高性能なプラットフォームを導入することが成功を収めるための大きな鍵を握ることになりそうです。

安蔵 靖志

Techジャーナリスト/家電エバンジェリスト
家電製品協会認定 家電製品総合アドバイザー(プラチナグレード)、スマートマスター。AllAbout デジタル・家電ガイド。ビジネス・IT系出版社を経てフリーに。デジタル家電や生活家電に関連する記事を執筆するほか、家電のスペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。KBCラジオ「キャイ~ンの家電ソムリエ」にレギュラー出演するほか、ラジオ番組の家電製品紹介コーナーの商品リサーチ・構成にも携わっている。

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