地方行政にも広がるはんこレスの波
2020年12月には河野太郎規制改革担当大臣が、地方公共団体向けの押印見直しマニュアルを公表するなど、脱はんこ化の流れは、民間企業だけでなく地方行政にも広がっている。GMOサインも2021年3月現在、東京都や福岡市など17自治体と実証実験を開始。新潟県三条市には自治体として初の導入も決まっている。
実証実験では、「電子印鑑導入でどれだけ住民の負担、そして自治体の職員の負担を減らせるのか、2軸で検証を行っている」と牛島氏。昨年、GMOインターネットグループが実施した「どんなところに無駄なはんこがあるのか」を調査するアンケートでは、行政関係を挙げた人がトップの39%に上っている。しかも住民だけでなく、自治体の職員も同じようにストレスを感じていることがわかった。
「ある自治体の職員の方から『役場の窓口では住民の方が印鑑を忘れた場合、一度、印鑑を取りに帰ってもらう、もしくは別のはんこを近場で買ってきてもらうといったことが行われています。そのようなやりとりに何の意味があるのかという疑問を抱えながらも、規則通りに対応している』との回答もありました。電子印鑑・電子契約サービスの導入は、住民の方だけでなく、こういった自治体の職員の方々の業務の効率化、合理化にも繋がります。それがひいては住民サービスの向上に繋がるのです」(牛島氏)
実証実験では、「電子印鑑導入でどれだけ住民の負担、そして自治体の職員の負担を減らせるのか、2軸で検証を行っている」と牛島氏。昨年、GMOインターネットグループが実施した「どんなところに無駄なはんこがあるのか」を調査するアンケートでは、行政関係を挙げた人がトップの39%に上っている。しかも住民だけでなく、自治体の職員も同じようにストレスを感じていることがわかった。
「ある自治体の職員の方から『役場の窓口では住民の方が印鑑を忘れた場合、一度、印鑑を取りに帰ってもらう、もしくは別のはんこを近場で買ってきてもらうといったことが行われています。そのようなやりとりに何の意味があるのかという疑問を抱えながらも、規則通りに対応している』との回答もありました。電子印鑑・電子契約サービスの導入は、住民の方だけでなく、こういった自治体の職員の方々の業務の効率化、合理化にも繋がります。それがひいては住民サービスの向上に繋がるのです」(牛島氏)
「自治体職員も無駄なはんこでストレスを感じている」と語る牛島氏
いつでもどこでもはんこが押せる世界がやってくる
今後、民間企業や地方行政の脱はんこ化によって社会はどのように変化していくのだろうか。牛島氏は、その質問にこう答えている。
「これまでは個人がある契約に対して、同意したというIDを表示するためのツールがはんこでした。そのデジタルID版と言えるのが電子印鑑です。従来なら、例えば借りているマンションの更新契約時には、契約書類が送られてきて、それに捺印し、返送しなければなりません。放置していれば管理会社から催促の連絡が来るでしょう。でも、それが電子印鑑だったら、メールで書類を送ってもらって、移動中の電車の中でも署名して返送することができるため、書類の郵送や返送の催促の手間も省くことができます。これまではそういった手間のかかる作業によって、取引自体のスピードが鈍化して、コストもかかるという状況でした。でも、今後、電子印鑑を1人1人が使えるようになれば、時間や場所に捉われず、いつでもどこでも契約書を作成したり、それに署名したりできるようになります」(牛島氏)
「これまでは個人がある契約に対して、同意したというIDを表示するためのツールがはんこでした。そのデジタルID版と言えるのが電子印鑑です。従来なら、例えば借りているマンションの更新契約時には、契約書類が送られてきて、それに捺印し、返送しなければなりません。放置していれば管理会社から催促の連絡が来るでしょう。でも、それが電子印鑑だったら、メールで書類を送ってもらって、移動中の電車の中でも署名して返送することができるため、書類の郵送や返送の催促の手間も省くことができます。これまではそういった手間のかかる作業によって、取引自体のスピードが鈍化して、コストもかかるという状況でした。でも、今後、電子印鑑を1人1人が使えるようになれば、時間や場所に捉われず、いつでもどこでも契約書を作成したり、それに署名したりできるようになります」(牛島氏)
牛島氏は電子印鑑普及がもたらす未来について語る
コロナ禍での「新しい生活習慣」ではリモートワークのような新しい働き方が普及し、はんこレスのような旧来の商習慣を見直すきっかけも生まれた。
電子印鑑・電子契約によって、スマホさえあれば、いつでもどこでもはんこが押せる世界がやってくる。そうなれば、誰でも時間や場所に縛られることなく、自由に契約書を作成したり署名をすることが可能だ。
捺印という縛りからまず開放されるのは、全ての人にとっての大きな一歩だ。このような「変化」が積み重なり、より利便性の高い世の中になることを期待している。
電子印鑑・電子契約によって、スマホさえあれば、いつでもどこでもはんこが押せる世界がやってくる。そうなれば、誰でも時間や場所に縛られることなく、自由に契約書を作成したり署名をすることが可能だ。
捺印という縛りからまず開放されるのは、全ての人にとっての大きな一歩だ。このような「変化」が積み重なり、より利便性の高い世の中になることを期待している。
Jun Fukunaga
ライター・インタビュワー
音楽、映画を中心にフードや生活雑貨まで幅広く執筆する雑食性フリーランスライター・インタビュワー。最近はバーチャルライブ関連ネタ多め。DJと音楽制作も少々。