米大統領選にも影響を与えたエレクトロ、2000年代J-POPの再評価ほか、2024年重要だった5つの音楽トレンド

Jun Fukunaga

Specialカルチャー映画・音楽

Tommy february6やTHE BACK HORNなど、海外で発掘される2000年代J-POP

近年、日本の70〜80年代のシティポップやアンビエント、ジャズ/フュージョンが、インターネットを通じて海外のリスナーの間で人気を博している。このムーブメントは、それまでの草の根的な広がりを背景に、2020年ごろから音楽配信プラットフォームやSNSを起点として一般にも知られるようになった。その新たな傾向として挙げられるのが、Y2K〜2000年代J-POPの再評価だ。

2024年に海外のリスナーの間で注目を集めた2000年代J-POPアーティストの最たる例は、the brilliant greenのボーカルとしても知られる川瀬智子が2000年代にスタートさせたソロプロジェクト「Tommy february6」「Tommy heavenly6」だろう。これはTWICEのNAYEONや、Doja Catといったグローバル・ポップスターにSNSで紹介されたことが理由だ。

Tommy february6 - je t'aime ★ je t'aime
また、ロックバンドのTHE BACK HORNがInstagramに投稿した「コバルトブルー」(2004年)のMVのリール動画に、Patti SmithやErykah Baduといった大御所海外アーティストが反応するといったこともあった。その結果、同MVの再生数は、リール投稿後約10日間で1460万回再生に到達するほどのバイラルヒットとなった。

THE BACK HORN「コバルトブルー / Cobalt blue」MUSIC VIDEO
これまでに筆者が取材してきた中にも、2000年代J-POPが持つ独特の煌びやかな音楽性を評価する若いアーティストが少なからずいる。どうやら音楽プラットフォームやSNSを通じて、その時代ならではの音楽が持つ魅力が、海外のリスナーにも伝わりはじめたようだ。

アフリカ発のアフロビーツ/アマピアノ新世代アーティストがポップスシーンで台頭

2010年代後半からアメリカを中心とするメインストリームのポップスシーンでも人気を得たアフリカ発の音楽ジャンル、アフロビーツ。ダンスホールやR&B、ヒップホップなどとアフリカ音楽の要素が融合したこのジャンルは、Burna BoyやWizkidらの活躍によって、グローバル化を実現させたが2020年代に入ると次世代のアフロビーツアーティストが登場することになった。

その中でも2024年に大躍進したのが南アフリカ出身のシンガー、Tylaだ。Tylaは、「アマピアノ」と呼ばれる南アフリカ発祥のダンスミュージック・ジャンルを主軸にR&Bやアフロビーツの要素を融合させた音楽性で知られる。

Tylaの人気は、昨年夏に「Water」がバイラルヒットしたことで急上昇した。さらに2024年にグラミー賞の「最優秀アフリカン・ミュージック・パフォーマンス賞」をはじめ、MTVの音楽賞でも「最優秀アフロビーツ賞」を受賞するなど、多くの賞レースで優秀な成績を収めたことでグローバル・ポップスターの仲間入りを果たした。

また、今年8月にはSUMMER SONIC 2024に出演したことで日本での知名度と人気も爆発的に飛躍。さらに大阪で撮影した「Breathe Me」のMVで、本人が「阪神タイガース」のユニフォームを着用したことも大きな話題になった。

Tyla - Breathe Me (Official Music Video)
Tylaに続くアフリカ出身のグローバルポップスター候補としては現在、ナイジェリアの“アフロビーツ・プリンス”の異名を持つRemaや、Tylaともコラボ歴があり、親交が深いAyra Starrといったアフロビーツ/アマピアノシーンの若手に注目が集まっている。

特にRemaは2024年11月にイギリスのソウル、ジャズ系バンドのSadeの楽曲をサンプリングした未発表曲の一部がバイラルし、大きな注目を集めるなど、今後、さらなる飛躍が期待される。Tylaの成功で新たなフェーズに突入したこのシーンは、2025年も目が離せない注目ジャンルだ。

Rema - AZAMAN
*アフロビーツ/アマピアノ:
アフロビーツは西アフリカ発祥のダンスミュージック。アマピアノは南アフリカ発祥のハウスミュージックで、ピアノやシンセサイザーのメロディとディープベースが特徴。


来たる2025年は、筆者が注目した2024年の音楽シーンにおける5つの大きなトレンドがどのように発展していくのか、引き続き注目していきたい。また、これらのトレンド以外に、新たに生まれるであろう次の音楽トレンドがどういったものになるのかも、今から気になるところだ。
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Jun Fukunaga

ライター・インタビュワー
音楽、映画を中心にフードや生活雑貨まで幅広く執筆する雑食性フリーランスライター・インタビュワー。最近はバーチャルライブ関連ネタ多め。DJと音楽制作も少々。

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