2025年4月に放送を開始した『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(以下、ジークアクス)』。ご存じ「機動戦士ガンダム」シリーズの最新作であり、「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズを手がけるスタジオカラーが制作に参加していることも話題となって、大人気を博している。
SF作品であるガンダムだが、リアリティをもって描かれていることもあり、劇中に登場するテクノロジーは私たちにさまざまなインスピレーションを与えてくれる。そこでこんな問いかけをしてみよう。「ガンダムや、ジークアクスに登場する先端技術は、どこまで実現され得るのだろうか?」
SF作品であるガンダムだが、リアリティをもって描かれていることもあり、劇中に登場するテクノロジーは私たちにさまざまなインスピレーションを与えてくれる。そこでこんな問いかけをしてみよう。「ガンダムや、ジークアクスに登場する先端技術は、どこまで実現され得るのだろうか?」
ジークアクスのテクノロジー「オメガ・サイコミュ」とは何か
まず、ガンダムシリーズの中でもっともユニークなテクノロジーのひとつといえる「サイコミュ(Psycommu)」について考えてみたい。
サイコミュとは「サイコ・コミュニケーター(Psyco Communicator)」の略で、劇中に登場する「ニュータイプ」と呼ばれる特別な資質を持つ人びとが、脳波を使って各種の小型兵器を遠隔操作する手段として描かれている。操作対象となる兵器は複数であることが多く、それによって「オールレンジ攻撃」、すなわち単一の目標にさまざまな方向から同時に攻撃することもできる。例えるなら、念力を使って複数の拳銃を宙に浮かべ、一斉に発砲するようなものだ。
ジークアクスでは、このサイコミュの発展形として「オメガ・サイコミュ」という技術も登場する。従来は小型兵器の遠隔操作に使われていたが、モビルスーツ(ガンダムに登場するロボット兵器)やモビルアーマー(同じくガンダム内での巨大兵器の総称)といった大型兵器そのものも操作対象に含まれる。
そのため、正式な訓練を受けていない人物でも、まるで熟練のパイロットのようにそうした兵器を操縦できてしまう。例えるなら、講習や実地研修を一切受けることなく、考えるだけで巨大なクレーンを意のままに操れるような状態だ。
サイコミュは、ガンダムシリーズの第1作から登場する技術だ。そのためジークアクスのオメガ・サイコミュのように、後から追加された設定やバリエーションも数多い。
しかし、中心となる機能は一貫しており、「脳波による機器の制御」という点に集約される。では、なぜこのような技術が開発されたのか、作中ではきちんと設定がなされているのだが、それを説明するためには「ミノフスキー粒子」から触れなければならない。
サイコミュとは「サイコ・コミュニケーター(Psyco Communicator)」の略で、劇中に登場する「ニュータイプ」と呼ばれる特別な資質を持つ人びとが、脳波を使って各種の小型兵器を遠隔操作する手段として描かれている。操作対象となる兵器は複数であることが多く、それによって「オールレンジ攻撃」、すなわち単一の目標にさまざまな方向から同時に攻撃することもできる。例えるなら、念力を使って複数の拳銃を宙に浮かべ、一斉に発砲するようなものだ。
ジークアクスでは、このサイコミュの発展形として「オメガ・サイコミュ」という技術も登場する。従来は小型兵器の遠隔操作に使われていたが、モビルスーツ(ガンダムに登場するロボット兵器)やモビルアーマー(同じくガンダム内での巨大兵器の総称)といった大型兵器そのものも操作対象に含まれる。
そのため、正式な訓練を受けていない人物でも、まるで熟練のパイロットのようにそうした兵器を操縦できてしまう。例えるなら、講習や実地研修を一切受けることなく、考えるだけで巨大なクレーンを意のままに操れるような状態だ。
サイコミュは、ガンダムシリーズの第1作から登場する技術だ。そのためジークアクスのオメガ・サイコミュのように、後から追加された設定やバリエーションも数多い。
しかし、中心となる機能は一貫しており、「脳波による機器の制御」という点に集約される。では、なぜこのような技術が開発されたのか、作中ではきちんと設定がなされているのだが、それを説明するためには「ミノフスキー粒子」から触れなければならない。
ガンダムの世界に深みを与える「ミノフスキー粒子」とは?
ミノフスキー粒子とは、ガンダム世界に存在する架空の物質であり、空間に散布されるとレーダーや無線通信を無効化する性質を持つ。この粒子が戦場にまかれると、遠隔による誘導や通信が不可能となり、視界に頼った戦い、いわゆる「有視界戦闘」が基本となる。こうして、モビルスーツのような巨大ロボットによる近接戦闘が主流になった、という設定である。
このようにミノフスキー粒子とは、「巨大ロボット兵器」というフィクションにリアリティを与えるための設定だったのだが、そこからさまざまな派生の設定が生まれている。そのひとつが前述したサイコミュだ。
ミノフスキー粒子がまかれた戦場では、無線通信が不可能になるため、通常の兵器誘導は機能しない。そこで編み出されたのが、思考波を利用した通信手段である。この手段を実現するための技術研究の末に誕生したのが、サイコミュというわけだ。
なおサイコミュは、ミノフスキー粒子そのものを通信媒体として用いるため、「無線通信を無効化する」という性質の影響を受けないとされている。また前述の通り、サイコミュは特別な能力を持つ者にしか使用できないとされ、その能力を持つ人びとである「ニュータイプ」や、同能力を人工的に付与された「強化人間」たちの存在が重要になる。彼らが繰り広げるドラマもまた、ガンダムシリーズの魅力のひとつだ。
このようにミノフスキー粒子とは、「巨大ロボット兵器」というフィクションにリアリティを与えるための設定だったのだが、そこからさまざまな派生の設定が生まれている。そのひとつが前述したサイコミュだ。
ミノフスキー粒子がまかれた戦場では、無線通信が不可能になるため、通常の兵器誘導は機能しない。そこで編み出されたのが、思考波を利用した通信手段である。この手段を実現するための技術研究の末に誕生したのが、サイコミュというわけだ。
なおサイコミュは、ミノフスキー粒子そのものを通信媒体として用いるため、「無線通信を無効化する」という性質の影響を受けないとされている。また前述の通り、サイコミュは特別な能力を持つ者にしか使用できないとされ、その能力を持つ人びとである「ニュータイプ」や、同能力を人工的に付与された「強化人間」たちの存在が重要になる。彼らが繰り広げるドラマもまた、ガンダムシリーズの魅力のひとつだ。
サイコミュのように脳と機械をつなぐ実在の技術「BMI」
脳で考えるだけで機械を操作するというのはまさしくSF的な発想だが、実は既に、現実の技術となろうとしている。それが「BMI(Brain-Machine Interface)」、すなわち脳と機械をつなぐインターフェース技術だ。
百聞は一見にしかず。ここで、実際に脳波でドローンを操縦しているニュース映像を紹介しよう。この動画では、将来的に本物の航空機を脳波で操ることを目指していると語られており、もし実現すればジークアクスに登場する「アルファ・サイコミュ」と同じような技術になるかもしれない。
百聞は一見にしかず。ここで、実際に脳波でドローンを操縦しているニュース映像を紹介しよう。この動画では、将来的に本物の航空機を脳波で操ることを目指していると語られており、もし実現すればジークアクスに登場する「アルファ・サイコミュ」と同じような技術になるかもしれない。
【BBC】 脳波で飛行機を操縦できる?技術はほぼ整った(出典: BBC News Japan)
via www.youtube.com
名前が示す通り、BMI(Brain-Machine Interface)とは、脳(ブレイン)と機械(マシン)をつなぐインターフェース技術の総称だ。その実現手法にはいくつかのバリエーションがあり、中でも最も大きな違いのひとつは「脳に機器を直接接続するかどうか」という点にある。

小林 啓倫
経営コンサルタント
1973年東京都生まれ、獨協大学外国語学部卒、筑波大学大学院修士課程修了。システムエンジニアとしてキャリアを積んだ後、米バブソン大学にてMBAを取得。その後外資系コンサルティングファーム、国内ベンチャー企業などで活動。著書に『FinTechが変える!金融×テクノロジーが生み出す新たなビジネス』(朝日新聞出版)、『IoTビジネスモデル革命』(朝日新聞出版)、訳書に『ソーシャル物理学』(アレックス・ペントランド著、草思社)、『シンギュラリティ大学が教える 飛躍する方法』(サリム・イスマイル著、日経BP)など多数。