1度で見て回れないほどの情報量、展示が定期的に入れ替わるケースも
海外パビリオンは、自国の歴史や文化を紹介するのが基本ですが、それ以外にも経済やビジネス、環境やイノベーションに関する最先端の取り組みを展示しているところも少なくありません。
例えばスペインは海と太陽をシンボルに、黒潮を通じて日本とどのような関わりを築いてきたかを迫力ある映像で紹介。併せて洋上風力発電プロジェクトや藻類をバイオ燃料などに活用する研究についても展示されています。
例えばスペインは海と太陽をシンボルに、黒潮を通じて日本とどのような関わりを築いてきたかを迫力ある映像で紹介。併せて洋上風力発電プロジェクトや藻類をバイオ燃料などに活用する研究についても展示されています。

広くてゆったりとしたスペインパビリオンは海の中にいる気分が味わえる
ドイツは入口で渡される手のひらサイズのマスコット「サーキュラー」にガイドされながら、循環型社会のあり方について、見たり、聞いたり、体験したりできるようになっています。さらに屋外にある庭園にもさまざまな展示があり、各州の産業や代表的なビジネス、名産品などが紹介されています。

ドイツパビリオンはマスコット「サーキュラー」を片手に循環型社会について学べる

屋外庭園も見どころのひとつ
ここで紹介しているのは各パビリオンのほんの一部で、全てをじっくり見ようと思うととても時間が足りないほど、どのパビリオンも情報量が豊富です。
中にはスイスパビリオンのように、有望なスタートアップを紹介するコーナーを設け、展示内容を定期的に入れ替えているところもあり、1つのパビリオンを繰り返し楽しめる点も、何度も通いたくなる理由のひとつといえそうです。
中にはスイスパビリオンのように、有望なスタートアップを紹介するコーナーを設け、展示内容を定期的に入れ替えているところもあり、1つのパビリオンを繰り返し楽しめる点も、何度も通いたくなる理由のひとつといえそうです。

球形を組み合わせた独特なデザインのスイスパビリオンは万博終了後に再利用される

スタートアップの技術を紹介するスイスパビリオン。館内展示の一部は定期的に入れ替わる
予約ができなくても、長時間並んでも、楽しめる工夫あれこれ
今回の万博でよく指摘されているのが予約の難しさです。人気パビリオンは事前抽選があり、何度も当たる人がいる一方でハズレてばかりという人も。
入場直後に予約する公式サイトも、一定時間が過ぎると再度のアクセスが必要になり、やっと予約できたと思っても、確認画面ではすでに締め切られていた……ということもしばしば。
また、海外パビリオンの多くは事前予約がなく、朝早く入場しても、会場の奥にあってたどり着くころにはすでに長蛇の列ができていたりします。
実際、予約は確かに難しいのですが、4月の段階では、会場内を歩き回ると空いているパビリオンがちらほら見つかり、並んでも数十分で入れるところもあります。
事前予約がないパビリオンでは、通路から見える位置にステージを配置してパフォーマンスを行ったり、音楽を流したりと、並んでいる間も楽しめる工夫がされています。並んでいる間に、列の前後の人と仲良く会話が始まるのも、万博ならではの“あるある”です。
入場直後に予約する公式サイトも、一定時間が過ぎると再度のアクセスが必要になり、やっと予約できたと思っても、確認画面ではすでに締め切られていた……ということもしばしば。
また、海外パビリオンの多くは事前予約がなく、朝早く入場しても、会場の奥にあってたどり着くころにはすでに長蛇の列ができていたりします。
実際、予約は確かに難しいのですが、4月の段階では、会場内を歩き回ると空いているパビリオンがちらほら見つかり、並んでも数十分で入れるところもあります。
事前予約がないパビリオンでは、通路から見える位置にステージを配置してパフォーマンスを行ったり、音楽を流したりと、並んでいる間も楽しめる工夫がされています。並んでいる間に、列の前後の人と仲良く会話が始まるのも、万博ならではの“あるある”です。

並んでいる間にも楽しめる工夫がしてある(写真はオーストリアパビリオン)

オーストリアパビリオン付近にはGMOインターネットグループの熊谷氏が所有するジュリアン・オピーの作品も展示されている
予約なしでも世界の広さを感じられるパビリオン
予約がなくても万博らしい体験ができるのが、複数の国が共同出店するタイプCの「コモンズ」と呼ばれるパビリオンです。建物は大きく、出入りは自由。ほとんど並ばずに入れます。
出展している国々は、地域ごとではなく、国の規模や特徴、展示の内容によってグループ分けされています。例えば「コモンズ-A」では、アフリカのガーナやケニア、南東ヨーロッパのコソボ、中央アジアのキルギスにミクロネシアのパラオなど計28カ国が出展していて、ちょっとした世界旅行気分が味わえます。
一つひとつの展示はコンパクトなので、たくさん見て回ることができますし、民族衣装や楽器に触れたり、ショップで買い物を楽しんだりもできます。日本語が堪能なスタッフに話しかけて、その国についていろいろ聞いてみるチャンスもあります。
中には、戦時中のウクライナのように考えさせられる展示もあり、そうした違いも含めて世界の今を感じられる場になっています。
出展している国々は、地域ごとではなく、国の規模や特徴、展示の内容によってグループ分けされています。例えば「コモンズ-A」では、アフリカのガーナやケニア、南東ヨーロッパのコソボ、中央アジアのキルギスにミクロネシアのパラオなど計28カ国が出展していて、ちょっとした世界旅行気分が味わえます。
一つひとつの展示はコンパクトなので、たくさん見て回ることができますし、民族衣装や楽器に触れたり、ショップで買い物を楽しんだりもできます。日本語が堪能なスタッフに話しかけて、その国についていろいろ聞いてみるチャンスもあります。
中には、戦時中のウクライナのように考えさせられる展示もあり、そうした違いも含めて世界の今を感じられる場になっています。

複数の国が1つの場所に集まる「コモンズ」はAからFがあり、いずれも自由入場

一つひとつの展示は小さいが内容は大きく異なり、世界の広さを感じられる
日本の未来の姿が見えるシグネチャー&国内パビリオン
大阪・関西万博で海外パビリオンと並んで話題を集めているのが、8人のプロデューサーが企画する「シグネチャーパビリオン」です。会場中央に配置された8つのパビリオンはどれも個性豊かで、食や生物学、アニメーション、アートなど、さまざまな切り口で展開されています。
中でも“万博らしさ”や未来を感じさるのが、マツコロイドを手がけたロボット工学の第一人者・大阪大学の石黒浩教授による「いのちの未来」と、メディアアーティスト・落合陽一氏による「null2(ヌルヌル)」です。
「いのちの未来」では、人とロボット、アンドロイドが共存する50年後の未来が描かれ、「null2」では、ヌルヌル動く外観と、バーチャル世界に飛び込んだような空間が体験できます。1970年の大阪万博で描かれた未来の姿の、さらにその先の世界を、それぞれ別の切り口で体験できるようになっています。
中でも“万博らしさ”や未来を感じさるのが、マツコロイドを手がけたロボット工学の第一人者・大阪大学の石黒浩教授による「いのちの未来」と、メディアアーティスト・落合陽一氏による「null2(ヌルヌル)」です。
「いのちの未来」では、人とロボット、アンドロイドが共存する50年後の未来が描かれ、「null2」では、ヌルヌル動く外観と、バーチャル世界に飛び込んだような空間が体験できます。1970年の大阪万博で描かれた未来の姿の、さらにその先の世界を、それぞれ別の切り口で体験できるようになっています。

50年後の未来を体験する「いのちの未来」

未来もずっと記憶に残りそうな「null2(ヌルヌル)」
一方で、対照的なのは映画監督・河瀬直美氏のパビリオン「いのちのあかし」です。廃校になった校舎を用いて、特に凝った演出があるわけではないのに、なぜか1970年頃の日本へタイムスリップしたような気持ちにさせる、不思議な空間が広がっています。

空間ごとタイムスリップしたような「いのちのあかし」
その他の国内パビリオンは、1970年の大阪万博を意識した、未来の社会やテクノロジーをテーマにしたものが多い印象です。
例えば大阪ヘルスケアパビリオンやパソナパビリオンでは、医療や健康の未来が紹介されており、iPS細胞から作られた心筋シートや小さな心臓など、まさしく“未来そのもの”といえる展示が並びます。
例えば大阪ヘルスケアパビリオンやパソナパビリオンでは、医療や健康の未来が紹介されており、iPS細胞から作られた心筋シートや小さな心臓など、まさしく“未来そのもの”といえる展示が並びます。

大阪ヘルスケアパビリオンではiPS細胞による未来の医療が紹介されている

iPS細胞で作られた小さな心臓(パソナパビリオン)
12の企業と団体が運営する「未来の都市」パビリオンや、1970年の大阪万博と同じ名前で出展している「三菱未来館」など、ともすれば企業展示色が強い印象の場所もありますが、会場内には「実物大ガンダム像」や「モンスターハンター ブリッジ」、そして「Pokémon GO」もあり、国内外から訪れる老若男女が楽しめる場として“あり”だといえるでしょう。

国内パビリオンは企業色が強いところも
そして、大阪・関西万博の魅力はパビリオンだけではありません。まだまだ山ほどある「今だけの」見どころについては、後編でご紹介します。

野々下 裕子(NOISIA)
テックジャーナリスト
神戸を拠点に国内外のテック系イベントやカンファレンスの取材、インタビュー、リサーチなどを幅広く行う。オンラインメディアを中心に執筆多数。