ついに「鳥」が主役に!
そんな“かはく”が満を持して企画した特別展が「鳥(以下、鳥展)」です。そう、鳥類。昆虫や恐竜と同じくらい、鳥だっていっぱい標本や資料や面白ポイントがあるはずなのに、夏休みの博物館の目玉企画といえば恐竜または昆虫です。
いや、わかるんですよ、ティラノサウルスやカブトムシは永遠のスーパースターです。でも鳥って絶対に面白いんです。飛んだり、飛ばなかったり、体のデザインもライフスタイルもいろいろで、鳴き声もオリジナリティがあるし、姿もかわいいし。
会期は東京展が11月2日(土)〜2025年2月24日(月・振休)で、その後は名古屋展が3月15日(土)~6月15日(日)に予定されています。ということで、東京展が始まって間もないタイミングに鳥好きの私も喜び勇んで行ってみることに。すると鳥好きでも全く知らなかった鳥類のいろんな姿を大変面白く学べました。
ちなみに私は鳥のことを非常に好ましく思って生きてきましたが、まさかの鳥アレルギーのため一緒に暮らした経験はなく、街や旅先で出合う鳥たちに熱視線を送るばかり。最近は朝のランニング中に公園を歩くドバトを踏んづけそうになっては、彼らの肝の太さに感心しています。「人間の方がどけばいいのでは?」といわんばかりの具合で、とてもかわいい。
そんなドバトが見ている“世界”がどんなものなのかも今回の鳥展で知ることができて、ますます鳥を好きになりました。トーキング・ヘッズのデヴィッド・バーンみたいに首をヒョコヒョコ動かすあの歩き方には、理由があるんです。鳥っていいよね!
ポスターの情報量が多い
おなじみの鳥たちが花束のように配置されているからなのか、どこか宝塚歌劇団のポスターのよう。作った人の“鳥愛”が伝わってくる。鳥界のアイドルことシマエナガがポスターの右下で「(鳥がテーマの特別展は)科博初!」と言ってますね
チケットはオンラインで事前に買っておくことも、当日会場で買うこともできます。夏休みシーズンではないからか、事前予約などは不要です。会場の混雑状況をチェックしてから遊びに行くのもいいかもしれません。
会場に入るとまず出迎えてくれるのはこの鳥!
「いらっしゃーい」と大きく羽を広げたインドクジャクの鳥標本! ゴージャス
インドクジャクの隣には小さな小さなシマエナガの「亜種」がいました。一口サイズのおむすびみたい
インドクジャクとシマエナガの亜種の次に待っているのは、絶滅または絶滅しそうな日本の鳥たち。
毛深い足が愛らしいライチョウの剥製は姫路科学館から来てくれました。日本中の博物館から標本や資料が集められています。日本では絶滅危惧種ですが、フランスではジビエの人気者
今にも動き出しそうなヤンバルクイナの隣に横たわるオガサワラカワラヒワは「仮剥製」と呼ばれる串刺しスタイルで展示
鳥はいつから軽くて、効率がよくて、賢い?
鳥の骨を知ると、なぜ鳥が飛べるのかがわかります。骨を空洞化させたり、くっつけたり。
タンチョウもこの通りスケスケ。剥製も骨格標本もほれぼれとする美しさ
翼の形状を知るとその鳥が得意とする飛行スタイルがわかるんですね
今いる脊椎動物の中では鳥だけが持つオリジナル機能こと気嚢(きのう)。鳥のボディの軽量化と効率化に効いてるそう。こんな細やかな展示が“かはく”の美点でもあります
鳥類に近いドロマエサウルス類のデイノニクスの骨格は羽ばたいてるように見えますね。抱っこを求めているようなポーズでかわいい
鳥だけど鳥じゃないような鳥。このくちばしにガブッとやられて空に連れて行かれたらさぞや痛かったハズ
さすが史上最大の空を飛ぶ鳥、翼を広げると7mもあり、真下から見上げるとこんな感じ。
ワンルームマンションには絶対に入ってくれなさそうなサイズ感。口元はおっかないですが、美しい翼と真っ白な羽毛、そして桃色の足がステキ。化石しか残されておらず実際の色がわからないこの鳥に、なぜこのような色やデザインが採用されたのかの解説も必読
花森 リド
ライター・コラムニスト
主にゲーム、マンガ、書籍、映画、ガジェットに関する記事をよく書く。講談社「今日のおすすめ」、日経BP「日経トレンディネット」「日経クロステック(xTECH)」、「Engadget 日本版」、「映画秘宝」などで執筆。
X:@LidoHanamori