仲直りのお手紙は書けても、決闘のお手紙は書けない
もうひとつ、ChatGPTの特徴をしみじみ感じたやりとりを紹介します。「風の谷のナウシカ」や「羅生門」のような固有名詞ではなく、シチュエーションを基に文章を書いてもらうとどうなるでしょうか。
なんとなく参考にできそう。少なくとも「風の谷のナウシカ・ChatGPTバージョン」より文章がキレイ。ではこういうのはどうでしょう。
ぐうの音もでないようなお断りの文章ですね。こんなの私には書けない。ある意味では参考にできそう。よし、それっぽいことを書くのが得意なChatGPTのことがわかってきたぞ……そう思って、果たし状を書いてもらおうとしたら、意外な内容が返ってきました。
ChatGPTは、社会に反するような行為についてはかたくなに書かないんです。じゃあ「決闘」という言葉を含んでいるならなにがなんでもNGかというと、そんな杓子定規なものでもなさそう。ここに私は感動しました。
「決闘はダメ」というChatGPTの中にあるルールに反しなければ、決闘にまつわる文章を書いてくれます。ちょっと文章の意味が通らなくなっていますが、「なぜダメなのか」を切々と説く内容に仕上がっています。さらに食い下がってみました。
ダメなものはダメだそうです。実際の刑法第216条には決闘のことなんてこれっぽっちも書いていないんですけどね、とにかく「決闘はダメです」という強い意志だけは伝わってくる。わかったよ、決闘はしないよ。
AIとの対話で自分の脳の狭さがわかる
ChatGPTと遊んでみると、対話を続けるというのは、実はとても難しいものだなというのがよくわかります。絵を生成するAIのDALL-E 2 も、自然な言葉を作るChatGPTも、どちらもそれを使う人のセンスと力量によって出力結果が露骨に変わるからです。
たとえば絵を生成する場合、狙ったとおりの絵をAIに描いてもらうために必要な言葉を考えるのは人間です。「呪文」なんて呼ばれるその言葉がよくないと、味気ない絵が出てきてしまう。
もっとうまい対話をChatGPTから引き出せる人だっているだろうに、固有名詞だらけの対話をふっかけてしまう自分に少し嫌気がさしました。今のChatGPTとそんな対話を試しても、あまり楽しくない。そして、正しくないことを言っちゃったAIを笑うのも、私はやりたくない。
さらに自分が「言葉」をどう扱っているかもよくわかりました。言葉が出てくると、どうしてもそこに個性や心を見出そうとしてしまうのです。これは、人間である私が抱える、大いなるバグだと思います。人間じゃないものに人間を求めてイライラしてしまう。
ChatGPTとの対話で私が感じる奇妙な疲労感の正体は、このあたりにヒントがありそうです。そしてChatGPTが生み出す言葉が自然だということの証でもあります。
最後にこんなことを書いてもらいました。
たとえば絵を生成する場合、狙ったとおりの絵をAIに描いてもらうために必要な言葉を考えるのは人間です。「呪文」なんて呼ばれるその言葉がよくないと、味気ない絵が出てきてしまう。
もっとうまい対話をChatGPTから引き出せる人だっているだろうに、固有名詞だらけの対話をふっかけてしまう自分に少し嫌気がさしました。今のChatGPTとそんな対話を試しても、あまり楽しくない。そして、正しくないことを言っちゃったAIを笑うのも、私はやりたくない。
さらに自分が「言葉」をどう扱っているかもよくわかりました。言葉が出てくると、どうしてもそこに個性や心を見出そうとしてしまうのです。これは、人間である私が抱える、大いなるバグだと思います。人間じゃないものに人間を求めてイライラしてしまう。
ChatGPTとの対話で私が感じる奇妙な疲労感の正体は、このあたりにヒントがありそうです。そしてChatGPTが生み出す言葉が自然だということの証でもあります。
最後にこんなことを書いてもらいました。
いろいろできそうだよね、楽しみに待ってるわ。
花森 リド
ライター・コラムニスト
主にゲーム、マンガ、書籍、映画、ガジェットに関する記事をよく書く。講談社「今日のおすすめ」、日経BP「日経トレンディネット」「日経クロステック(xTECH)」、「Engadget 日本版」、「映画秘宝」などで執筆。
X:@LidoHanamori