好きになると、急に見つかるようになる
どうして今まで知らなかったんだろう、君はどこから来たんだ?——キャラクターでもアイドルでも、その存在を見つけてファンになってしまうと、不思議なことに以後ずっと目に付くようになります。私の場合、一度好きになると、その大好きな存在の「痕跡」を、まるでハトがパン屑をつつくように探しまくります。
で、私の目下のお気に入りは「パペットスンスン」という日本発のキャラクター。先日たまたま動画を目にして、私の好みど真ん中のビジュアルと声としぐさ、そしてナンセンスな言動に射抜かれました。ホント君は一体何者なの?
で、私の目下のお気に入りは「パペットスンスン」という日本発のキャラクター。先日たまたま動画を目にして、私の好みど真ん中のビジュアルと声としぐさ、そしてナンセンスな言動に射抜かれました。ホント君は一体何者なの?
これが「パペットスンスン」の「スンスン」。往年のパペットアニメーションを思わせる毛深いフサフサボディと愛嬌のあるお顔の持ち主ですが、ひたすらに腕が長く、手もビッグ。あと胴体も結構長い ©PUPPET SUNSUN/PS committee
2025年現在、パペットスンスンのSNSフォロワーは200万人。数日おきにYouTubeやTikTokに動画がアップロードされ、さまざまなお店や企業やパ・リーグ(!)と片っ端からコラボをし、フジテレビの朝番組「めざましテレビ」ではショートムービーが放送されています。
地上波の朝番組でレギュラーを獲得し、やがて世を席巻したキャラクターでいうと「どこでもいっしょ」や「ぐでたま」が有名。そう、パペットスンスンは、今まさにスター街道を歩いているのです。
君のことが知りたい……! グッスは何があるの、デザイナーはどなたなの、ライセンサーはどこなの、もしかして製作委員会方式かしら、ところでそのラムネから炭酸が抜けたようなボイスはどうして? いろんなことが気になった私は、あいさつがてら公式SNSやYouTubeの公式チャンネルを見まくることに。すると概要欄にはこんなメッセージが書かれていました。
まず公式YouTube。
“こんにちは。
パペットスンスンです。
パペットの国〈トゥーホック〉にすんでいます。
ムービーをつくったりマンガをかいたりしています。
どうぞよろしくおねがいします。”
そして公式X。
“6才のパペット、スンスンです。日々のできごとをマンガとかムービーとかにしています。”
あどけなさもさることながら、「パペットスンスンとは何なのか」がこれ以上ないくらいよくわかる、生々しい自己紹介だと思いませんか。
パペットスンスンは、キャラクター自身がYouTuberであり、パペットスンスンのコンテンツ群は、“6才のパペット、スンスン”がせっせと作っているものとして私たちの世界に展開されているのです。「製作委員会方式かしら」なんてビジネス事情を想像した自分が恥ずかしい!
さて、新進気鋭の人気キャラクターというと、未就学児たちを熱狂させ、同時に多くの大人を困惑させる生成AI発の「イタリアンブレインロット」を思い出す方もいらっしゃるのでは。このイタリアンブレインロットとは別の意味で、パペットスンスンも非常に現代的な存在だと思います。その魅力とモダンさを、いちスンスンファンの目線から紹介します。
地上波の朝番組でレギュラーを獲得し、やがて世を席巻したキャラクターでいうと「どこでもいっしょ」や「ぐでたま」が有名。そう、パペットスンスンは、今まさにスター街道を歩いているのです。
君のことが知りたい……! グッスは何があるの、デザイナーはどなたなの、ライセンサーはどこなの、もしかして製作委員会方式かしら、ところでそのラムネから炭酸が抜けたようなボイスはどうして? いろんなことが気になった私は、あいさつがてら公式SNSやYouTubeの公式チャンネルを見まくることに。すると概要欄にはこんなメッセージが書かれていました。
まず公式YouTube。
“こんにちは。
パペットスンスンです。
パペットの国〈トゥーホック〉にすんでいます。
ムービーをつくったりマンガをかいたりしています。
どうぞよろしくおねがいします。”
そして公式X。
“6才のパペット、スンスンです。日々のできごとをマンガとかムービーとかにしています。”
あどけなさもさることながら、「パペットスンスンとは何なのか」がこれ以上ないくらいよくわかる、生々しい自己紹介だと思いませんか。
パペットスンスンは、キャラクター自身がYouTuberであり、パペットスンスンのコンテンツ群は、“6才のパペット、スンスン”がせっせと作っているものとして私たちの世界に展開されているのです。「製作委員会方式かしら」なんてビジネス事情を想像した自分が恥ずかしい!
さて、新進気鋭の人気キャラクターというと、未就学児たちを熱狂させ、同時に多くの大人を困惑させる生成AI発の「イタリアンブレインロット」を思い出す方もいらっしゃるのでは。このイタリアンブレインロットとは別の意味で、パペットスンスンも非常に現代的な存在だと思います。その魅力とモダンさを、いちスンスンファンの目線から紹介します。
活動は2019年から!当時のスンスンはまだチャキチャキだった
ここ2年ほどで急に目立ってきたような印象のあるパペットスンスンですが、実は活動歴は長め。現在確認できるパペットスンスンの初期コンテンツは、2019年2月にYouTubeで公開された5分ほどのパペットアニメーション「パペットスンスン #1『スンスンのひみつ』」です。
これはスンスンとスンスンのおじいちゃん「ゾンゾン」とのテレビ電話越しのおしゃべりから始まるショートコント風の動画です。ちなみに2019年の時点で公開されたパペットスンスンの物語は、いずれも基本的にこのスンスンとゾンゾンのテレビ電話からスタートします。この「テレビ電話」は、いわゆるビデオ通話ですが、スンスンたちは「テレビ電話」と呼ぶので、本稿もそれにならいますね。
さて、ゾンゾンは、妻に先立たれた老パペットです。毎日の楽しみといえば猫やカタツムリやヌメヌメした深海魚の動画をMacBookで見ることくらいなので、孫のスンスンから不定期かつ唐突にかかってくるテレビ電話は大歓迎。2人は楽しくおしゃべりに興じますが、通信環境などの諸事情やスンスンのマイペースさと幼さもあって、会話がかみ合うような全然かみ合わないような……。
2019年ごろのスンスンは、現在のスンスンよりも口調がハキハキして、言動もチャキチャキしているのがポイントです。2025年のおっとりとしたスンスンと2019年のチャキチャキなスンスンを見比べると、世界観やキャラクターの大枠(マイペースな幼いパペット)は変わらなくても、内面が少しずつチューンされていった軌跡がわかるはずです。
例えるなら、かつてのチキンマックナゲットと今のチキンマックナゲットの味が微調整されているようなものです。どちらもおいしくて大好きだけど、お客さんの反応やトレンドに合わせて、ほんの少しずつ進化しているように感じます。
これはスンスンとスンスンのおじいちゃん「ゾンゾン」とのテレビ電話越しのおしゃべりから始まるショートコント風の動画です。ちなみに2019年の時点で公開されたパペットスンスンの物語は、いずれも基本的にこのスンスンとゾンゾンのテレビ電話からスタートします。この「テレビ電話」は、いわゆるビデオ通話ですが、スンスンたちは「テレビ電話」と呼ぶので、本稿もそれにならいますね。
さて、ゾンゾンは、妻に先立たれた老パペットです。毎日の楽しみといえば猫やカタツムリやヌメヌメした深海魚の動画をMacBookで見ることくらいなので、孫のスンスンから不定期かつ唐突にかかってくるテレビ電話は大歓迎。2人は楽しくおしゃべりに興じますが、通信環境などの諸事情やスンスンのマイペースさと幼さもあって、会話がかみ合うような全然かみ合わないような……。
2019年ごろのスンスンは、現在のスンスンよりも口調がハキハキして、言動もチャキチャキしているのがポイントです。2025年のおっとりとしたスンスンと2019年のチャキチャキなスンスンを見比べると、世界観やキャラクターの大枠(マイペースな幼いパペット)は変わらなくても、内面が少しずつチューンされていった軌跡がわかるはずです。
例えるなら、かつてのチキンマックナゲットと今のチキンマックナゲットの味が微調整されているようなものです。どちらもおいしくて大好きだけど、お客さんの反応やトレンドに合わせて、ほんの少しずつ進化しているように感じます。
スンスンの向かって右側にいる灰色のフサフサが、スンスンのおじいちゃんの「ゾンゾン」。ちなみに左側の白い子はスンスンのお友だち「ノンノン」©PUPPET SUNSUN/PS committee
初期の#1~9、#10、#13の9話ほどは、全部この「スンスンとおじいちゃん」のパターンです。あまりにほほ笑ましいので私は全く飽きることなく何度も視聴しています。疲れたときに見るのにピッタリ。
そう、パペットスンスンの動画は子どもが楽しく視聴できるよう作られていますが、実は大人が本気で楽しめるように作られたのでは……と思わせる演出が多々あるのです。
そう、パペットスンスンの動画は子どもが楽しく視聴できるよう作られていますが、実は大人が本気で楽しめるように作られたのでは……と思わせる演出が多々あるのです。

花森 リド
ライター・コラムニスト
主にゲーム、マンガ、書籍、映画、ガジェットに関する記事をよく書く。講談社「今日のおすすめ」、日経BP「日経トレンディネット」「日経クロステック(xTECH)」、「Engadget 日本版」、「映画秘宝」などで執筆。
X:@LidoHanamori













