センサー、AI、通信──自動運転を支えるテクノロジー
完全な自動運転を実現するためには、システムが一連の「認知」「判断」「制御」を行う必要がある。
自動運転を実現するテクノロジーのうちの「認知」、特に「目」の機能を担うのはセンサーだ。カメラやLiDAR(ライダー、レーザー画像検出と測距のこと)、超音波センサーなど、特性が異なるセンサーを組み合わせて使うことで、道路や周りの車両、歩行者など、周囲の状況を認識し、距離を把握。また道路の標識や白線、信号などを読み取る。さらに読み取った対象が何かを認識するには、さまざまな物の特徴や意味を学習させたAIが必要となる。
GPSなどのシステムが機能しにくいトンネル内などの環境では、タイヤの回転数から距離を計測する走行距離計や、加速度センサー、ジャイロセンサーなども併用される。
認知した情報をもとに自動運転車をどう制御するかを「判断」するためにも、AI技術が活用される。まずは目的地までどのような経路を取るか。これは現在のカーナビや地図アプリの機能をイメージすれば分かりやすい。
また複数車線がある道路では、車線変更の必要も出てくる。この場合は周囲の車両の状況などを確認、予測したうえで、走行するルートを判断することになる。
認知・判断した結果に基づいて、最終的に自動運転システムは車両のステアリングやアクセル、ブレーキなどを「制御」する。これには、遠隔地からの操作により制御を行う場合も含まれる。遠隔操作による制御を行う際は、車両の状況がリアルタイムに把握でき、遅れずに操作するための通信技術も必要となる。
自動運転を実現するテクノロジーのうちの「認知」、特に「目」の機能を担うのはセンサーだ。カメラやLiDAR(ライダー、レーザー画像検出と測距のこと)、超音波センサーなど、特性が異なるセンサーを組み合わせて使うことで、道路や周りの車両、歩行者など、周囲の状況を認識し、距離を把握。また道路の標識や白線、信号などを読み取る。さらに読み取った対象が何かを認識するには、さまざまな物の特徴や意味を学習させたAIが必要となる。
GPSなどのシステムが機能しにくいトンネル内などの環境では、タイヤの回転数から距離を計測する走行距離計や、加速度センサー、ジャイロセンサーなども併用される。
認知した情報をもとに自動運転車をどう制御するかを「判断」するためにも、AI技術が活用される。まずは目的地までどのような経路を取るか。これは現在のカーナビや地図アプリの機能をイメージすれば分かりやすい。
また複数車線がある道路では、車線変更の必要も出てくる。この場合は周囲の車両の状況などを確認、予測したうえで、走行するルートを判断することになる。
認知・判断した結果に基づいて、最終的に自動運転システムは車両のステアリングやアクセル、ブレーキなどを「制御」する。これには、遠隔地からの操作により制御を行う場合も含まれる。遠隔操作による制御を行う際は、車両の状況がリアルタイムに把握でき、遅れずに操作するための通信技術も必要となる。
ロボットカーからドローンまで、自動運転の歴史と未来
自動運転の概念は、自動車が一般でも使われるようになった1900年代にはあったという。日本では1960年から本格的な研究がスタートし、1977年、道路で走ることを想定した自動運転車が初めて発表された。
その後も各国で研究が進み、2009年には日本のロボットベンチャー・ZMPが最初のロボットカー「RoboCar1/10」を販売。2010年にはGoogleが自動運転の研究を発表し、実車タイプのロボットカー「RoboCar HV」「RoboCar Minivan」を発売した。
現在は、各国の自動車メーカーやIT企業などが自動運転車の実用化に向けて開発に取り組んでおり、競争は激しくなっている。
自動運転の実用化が具体的になる中、法整備も進められた。2020年4月には改正道路運送車両法と道路交通法が施行され、公道を自動運転レベル3の車両が走行可能となった。
2021年3月には、世界初のレベル3を実現した自動運転車として、ホンダ「レジェンド」が発売された。機能が利用できるのは、高速道路での渋滞時に限られるが、システムが運転主体となって操作するクルマが実用化されたことになる。
政府が20201年6月に取りまとめたITS(高度道路交通システム)・自動運転に関する戦略「官民ITS構想・ロードマップ これまでの取組と今後のITS構想の基本的考え方」では、2030年に向け、「国民の豊かな暮らしを支える安全で利便性の高いデジタル交通社会を世界に先駆け実現する」ことを目標に掲げている。
その実現のためには、技術の進展に加え、社会環境の変化の把握やモビリティサービスの進化、社会が自動運転を受け入れる体制なども重要となる。
その後も各国で研究が進み、2009年には日本のロボットベンチャー・ZMPが最初のロボットカー「RoboCar1/10」を販売。2010年にはGoogleが自動運転の研究を発表し、実車タイプのロボットカー「RoboCar HV」「RoboCar Minivan」を発売した。
現在は、各国の自動車メーカーやIT企業などが自動運転車の実用化に向けて開発に取り組んでおり、競争は激しくなっている。
自動運転の実用化が具体的になる中、法整備も進められた。2020年4月には改正道路運送車両法と道路交通法が施行され、公道を自動運転レベル3の車両が走行可能となった。
2021年3月には、世界初のレベル3を実現した自動運転車として、ホンダ「レジェンド」が発売された。機能が利用できるのは、高速道路での渋滞時に限られるが、システムが運転主体となって操作するクルマが実用化されたことになる。
政府が20201年6月に取りまとめたITS(高度道路交通システム)・自動運転に関する戦略「官民ITS構想・ロードマップ これまでの取組と今後のITS構想の基本的考え方」では、2030年に向け、「国民の豊かな暮らしを支える安全で利便性の高いデジタル交通社会を世界に先駆け実現する」ことを目標に掲げている。
その実現のためには、技術の進展に加え、社会環境の変化の把握やモビリティサービスの進化、社会が自動運転を受け入れる体制なども重要となる。
官民ITS構想・ロードマップ2020(ロードマップ全体像)
さらに未来のモビリティでは、地表だけでなく、空中にも目が向けられている。現在、経済産業省と国土交通省が中心となり、「空飛ぶクルマ」の実現に向けた協議も官民一体で進んでいる。
「空飛ぶクルマ」は、物流・農業・防災などあらゆる産業での活用が期待されている。経産省が発表したロードマップには2030年以降の未来像として、無人ドローンによる物の輸送や人の移動、災害時や娯楽での活用シーンを描いたイメージ画像も公表されている。
「空飛ぶクルマ」は、物流・農業・防災などあらゆる産業での活用が期待されている。経産省が発表したロードマップには2030年以降の未来像として、無人ドローンによる物の輸送や人の移動、災害時や娯楽での活用シーンを描いたイメージ画像も公表されている。
「“空飛ぶクルマ”の実現に向けたロードマップ」(経済産業省)より
「自動運転」の基礎知識、いかがだっただろうか。現在は、運転自動化レベルの定義が先行し、それを追いかける形で実用化に向けた開発が続けられ、自動運転レベル3の自動車が発売されたところだ。さらなる開発と実証実験により、レベル5の自動車が発売する日も遠くはないだろう。また2030年を目標に「空飛ぶクルマ」の技術開発や実証実験も進められており、自動運転の分野は、まだまだ大きな可能性を秘めている。
ムコハタワカコ
編集・ライター
書店員からIT系出版社、ウェブ制作会社取締役、米系インターネットメディアを経て独立。現在は編集・執筆業。IT関連のプロダクト紹介や経営者インタビューを中心に執筆活動を行う。企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)、組織づくりや採用活動などにも注目している。