空飛ぶタクシー！3Dプリンタで食事を印刷！中東のドバイで見た「世界の最先端」テクノロジー

2024.1.26

「AIがイラストや文章を自動で書き、無人の自動車が道路を走り、空にはドローンが飛んで荷物を運搬する」。今から数年後には、そんな生活が当たり前になっているだろう。では数年後、あるいは十数年後はどんな技術が生活を支えてくれるのだろうか。そのヒントをもらいに、ドバイで行われたITイベント「GITEX 2023」を取材した。

渋滞知らずな「空飛ぶ自動運転タクシー」は運転手不足も解消

中東最大のIT展示会であるGITEXは、アラブ首長国連邦の都市・ドバイで毎年開催される。ドバイで展示会が行われることを不思議に思う人がいるかもしれないが、オイルマネーが潤沢な中東各国は、あらゆる問題をお金で解決できるほど豊かなのだ。たとえば国内に優れた技術者がいなければ、技術者を育てるのではなく新しい技術を海外から買ってくればいいのである。実際にGITEXの会場を歩き回ってみると、確かにこれまで世界各国で開催されたIT展示会で見たことのある最新技術や新製品ばかりが展示されていた。

世界各国発の最新技術がずらりと展示されたGITEX 2023の会場

海外では一部の都市で実用化が始まり日本でもテストが行われている、無人で走る自動運転の自動車も、GITEX会場には当たり前のように展示されていた。しかしここは広大な土地のある中東だ。ちょっとした移動距離なら自動車を使うよりも飛行機のほうが早くて便利である。そのため、ここでは自動運転によって空を飛ぶ小型飛行機の実用化が進められている。

Autoflightの空飛ぶタクシー向けの自動運転飛行機

Autolightが開発した自動運転飛行機は定員4名。垂直離陸可能な電動小型機、eVTOLと呼ばれる製品だ。機内には飛行機やヘリコプターに見られる多数の計器や操作レバーは見当たらない。コックピットにあるのは大型のモニターで、行先を音声で伝えれば自動的に目的地へ飛んで行ってくれる。

ドバイでは、このeVTOLをエアタクシー（空飛ぶタクシー）として商用化しようとしている。実際に中東を訪問してみるとわかるのだが、何もない砂漠を急激に都市化したため、道路設計がとても悪く朝夕は恐ろしいほどの渋滞になる。しかし空を飛べば渋滞に巻き込まれることもなく、あっという間に行きたいところに到着できる。また自動運転のため、遠回りのフライトをしてタクシー代をぼったくられる心配もないだろう。いずれドバイへの旅行は空港に到着後、そのままエアタクシーに乗り換えてホテルまで空を飛んで移動するようになるのだ。

機内にコックピットはなく、音声対応のタッチパネルがある

一方、都市内での移動は電動キックボードのシェアサービスが中東でも普及していくだろう。ドバイの気候は常夏、いや「常真夏」であり、炎天下を数分歩くだけで体中の水分が蒸発しフラフラになってしまう。とはいえちょっとコンビニに行くためだけに自動車を使うのは現実的ではない。乗りたいときだけスマホを使ってさっと乗れるシェアキックボードは、車より小回りが利き、自転車より手軽に短距離を移動できる。

日本など各国の都市でシェアキックボードサービスは始まっているが、ドバイではまだその存在はほとんど知られていない。そこで2023年12月にはキックボードを使ったレースイベントが行われた。最高速度140km/hというとてつもない爆速のキックボード「RS Zero DXB Edition」が、ドバイの専用ルートで走行を競い合う。このレースをきっかけにドバイでは、電動キックボードの認知度が急激に上がるだろう。

電動キックボードのレースイベントまで行われた

障害物を確実によけて走行できる自動運転技術と、キックボードなどに採用される小型でトルクのあるモーターを組み合わせた移動ツールも展示されていた。それは自動運転対応の電動車椅子だ。電動車いすは便利だが、ブレーキ操作を誤れば事故を引き起こしてしまうこともある。

都市交通の解決を考えるALBA Robotは、足腰の弱い年配の方や足に不自由のある方を、歩行者や自動車を避け、信号を守って目的地まで確実に送り届けてくれる全自動運転電動車いすを開発した。社会的な弱者の方々にも移動の安心性を与えることができる。高齢化の進むこれからの社会で必須のものになるだろう。