AIとロボティクス技術の進化は近年、加速度的に進み、製造業や医療、日常生活など、さまざまな分野で革新的な応用が実現しようとしています。
一方、深刻な後継者不足や高齢化により、日本の農業従事者数は今後20年間で現在の80%減になると予測されています。この危機的な状況を解決するため、農業分野でもAIやロボティクス技術の農業現場への導入が拡大しています。これまで人が行ってきた仕事をAIやロボットが行うことで、少ない人手でも効率よく生産し、経験の少ない新規就農者でも高い品質を保てるように、省力化・ノウハウ継承・高品質生産を実現していく試みです。
今回は、最先端の技術がいかに日本の農業を変え、これからの私たちの日本の食卓を支えていくのかを紹介します。
一方、深刻な後継者不足や高齢化により、日本の農業従事者数は今後20年間で現在の80%減になると予測されています。この危機的な状況を解決するため、農業分野でもAIやロボティクス技術の農業現場への導入が拡大しています。これまで人が行ってきた仕事をAIやロボットが行うことで、少ない人手でも効率よく生産し、経験の少ない新規就農者でも高い品質を保てるように、省力化・ノウハウ継承・高品質生産を実現していく試みです。
今回は、最先端の技術がいかに日本の農業を変え、これからの私たちの日本の食卓を支えていくのかを紹介します。
収穫判断・作業をAIとロボットが担う時代
野菜の収穫期は短く、作業が集中するため、農家には大きな負担となります。例えばアスパラガスは成長が早く、1日2回の収穫が必要です。収穫にかかる労働時間は全工程の約半分。しかも、1本ずつかかんで確認しながら収穫するため、大変な重労働なのです。
こうした課題を解決するために開発されたのが自動野菜収穫ロボット。AIによる画像認識で収穫すべきアスパラガスを判別し、ロボットアームで自動収穫することで、9割のアスパラガスを自動で収穫できます。人はロボットが取り残した1割に対応するだけでよく、大幅に省力化されます。開発したスタートアップのinahoによると、ロボットには市販の部品を多く使い、製作費を格安で抑えられることも大きな特徴だといいます。
こうした課題を解決するために開発されたのが自動野菜収穫ロボット。AIによる画像認識で収穫すべきアスパラガスを判別し、ロボットアームで自動収穫することで、9割のアスパラガスを自動で収穫できます。人はロボットが取り残した1割に対応するだけでよく、大幅に省力化されます。開発したスタートアップのinahoによると、ロボットには市販の部品を多く使い、製作費を格安で抑えられることも大きな特徴だといいます。
inahoのアスパラガス収穫ロボット(農林水産省ウェブマガジン「aff(あふ)」より)
野菜を収穫した後は、収穫物の選別が必要です。例えばキュウリなら、長さ・太さ・質感などを基に等級を選別しますが、瞬時に判断するにはベテランのノウハウが求められます。しかし、人が1つ1つ選別するのは途方もない作業量で、繁忙期には仕分け作業に1日8時間かかります。
こうした負荷を軽減するため、静岡県でキュウリ農家を営む元ITエンジニア・小池誠氏は、GoogleのAIエンジンに3万枚のキュウリ画像を学習させ、キュウリの等級を自動で判定する装置を開発しました。
この装置では、PCディスプレイにキュウリを乗せると瞬時に等級が判定・表示されます。初心者が装置による判定を参考に等級を分ける経験をしながら選別を習熟できるだけでなく、ベテランも判別に悩んだ場合に装置で等級を確認することができます。
こうした負荷を軽減するため、静岡県でキュウリ農家を営む元ITエンジニア・小池誠氏は、GoogleのAIエンジンに3万枚のキュウリ画像を学習させ、キュウリの等級を自動で判定する装置を開発しました。
この装置では、PCディスプレイにキュウリを乗せると瞬時に等級が判定・表示されます。初心者が装置による判定を参考に等級を分ける経験をしながら選別を習熟できるだけでなく、ベテランも判別に悩んだ場合に装置で等級を確認することができます。
元エンジニア・小池氏が開発した、AIを使ったキュウリの自動選別機(小池氏発表のスライドより)
単に収穫作業を省力化するだけでなく、ノウハウの継承にもAIやロボットが使われるようになったことが、これまでの農作業に変革をもたらしつつあります。
除草・米の種まきもドローンやロボットで自動化
重い噴霧器をかついで、広大な農地を数時間かけて歩き回らなければならない農薬や肥料の散布も、農家にとっては重労働でした。大規模な農場では業者に依頼してヘリコプターで農薬を散布することもできますが、農家の好きなタイミングで散布できず、散布のたびに費用がかかるのが難点でした。
しかし近年では、ドローン技術が急速に発展。小型化・高性能化が進み、農業分野でも幅広く使われるようになりました。農薬や肥料の散布をドローンで行えば、農地1ヘクタールあたり約10分で散布作業が完了します。また、ヘリコプターと違ってドローンは農家で所有でき、いつでも好きなタイミングで飛ばせます。
農薬や肥料の散布だけでなく、最近では米の種まきにもドローンが使われるようになっています。米は従来、苗を育て、田植えを行うのが一般的でした。これに対して、ドローンで田んぼに直接米の種をまくことで、1カ月の育苗作業と育苗施設が不要になり、田植えの作業時間も1ヘクタールあたり60分から15分に短縮できるようになりました。
しかし近年では、ドローン技術が急速に発展。小型化・高性能化が進み、農業分野でも幅広く使われるようになりました。農薬や肥料の散布をドローンで行えば、農地1ヘクタールあたり約10分で散布作業が完了します。また、ヘリコプターと違ってドローンは農家で所有でき、いつでも好きなタイミングで飛ばせます。
農薬や肥料の散布だけでなく、最近では米の種まきにもドローンが使われるようになっています。米は従来、苗を育て、田植えを行うのが一般的でした。これに対して、ドローンで田んぼに直接米の種をまくことで、1カ月の育苗作業と育苗施設が不要になり、田植えの作業時間も1ヘクタールあたり60分から15分に短縮できるようになりました。
ドローンによる水稲(米)の種まき(農林水産省 近畿農政局サイトより)
上空から作業を行うドローンだけでなく、水田内で活躍するロボットも開発されています。日本に多い山間地やその周辺地域の小規模農地では、除草のために大規模な機械を導入することは困難です。また、夏の猛暑の中での除草作業は大きな負担となっています。
この課題に対して開発されたのが、水田内を自動で移動して除草するロボットです。形は球体で、内部の車輪が回転することで転がり、表面の突起で雑草を浮かせて除草します。自律的に除草を行うため、除草にかかる時間がほぼゼロになり、農家の負荷を大きく下げられるようになりました。
重い農作業をドローンやロボットが代わりに行うことで、農作業の省力化を実現し、労働力不足を解決する動きにつながっています。
この課題に対して開発されたのが、水田内を自動で移動して除草するロボットです。形は球体で、内部の車輪が回転することで転がり、表面の突起で雑草を浮かせて除草します。自律的に除草を行うため、除草にかかる時間がほぼゼロになり、農家の負荷を大きく下げられるようになりました。
重い農作業をドローンやロボットが代わりに行うことで、農作業の省力化を実現し、労働力不足を解決する動きにつながっています。
鹿児島大学の水田用小型球体除草ロボット(鹿児島大学農学部 鹿大農学術報告「水田における小型球体ロボットの除草能力」より)
明石 皓
九州大学大学院にて物理を学ぶ。IQ167、(sd24)ケンブリッジ大学の交換留学時に買ったマグカップとクマのぬいぐるみが宝物。テクノロジー/IT/数学が好物。