少子高齢化に伴う労働力不足の解消、災害現場や危険な環境での作業など、社会的・経済的な要因を背景としてロボットのニーズが高まる現代。
例えば、建設現場では自動化された重機が導入され始め、農業分野ではドローンや自動運転トラクターを活用するなど、労働力不足を補い、生産性を高める取り組みが広がっています。キュウリを自動選別し、ちょうどいい大きさの物だけを収穫するAI搭載ロボットも登場しました。
また、人手不足の解消以外でも、災害現場の救助作業や、放射線汚染地域での作業など、危険な作業を人間の代わりに行うロボットも注目されています。
そんななか、屋外の複雑な地形を集団で協力して乗り越える、カタツムリを模した新型ロボットが話題を呼んでいます。
例えば、建設現場では自動化された重機が導入され始め、農業分野ではドローンや自動運転トラクターを活用するなど、労働力不足を補い、生産性を高める取り組みが広がっています。キュウリを自動選別し、ちょうどいい大きさの物だけを収穫するAI搭載ロボットも登場しました。
また、人手不足の解消以外でも、災害現場の救助作業や、放射線汚染地域での作業など、危険な作業を人間の代わりに行うロボットも注目されています。
そんななか、屋外の複雑な地形を集団で協力して乗り越える、カタツムリを模した新型ロボットが話題を呼んでいます。
複雑な地形を乗り越えるメカニズムを自然界から着想
危険作業の代替のニーズでは、屋外の複雑な地形を効率的に乗り越えるための新しい技術が求められていました。災害現場や放射線による汚染地域は必ずしも通常の屋内や道路のように平坦ではなく、デコボコした地面のほか、階段や溝などの複雑な地形であることがほとんどです。作業を行うには、これらを乗り越えて移動することが必要となってきます。
この課題を解決する新型ロボット開発の試みを、香港中文大学理工学部のDa Zhao氏ら研究チームが発表しました。この研究チームは開発にあたり、とある身近な生き物から着想を得ました。
その生き物とは、なんとあの「カタツムリ」なのです。
生物の仕組みから着想を得て、新技術の開発や製品設計などに応用する技術に「バイオミメティクス(生物模倣)」があります。このバイオミメティクスは近年、ロボティクスの分野でも注目されています。
例えば、鳥の飛行メカニズムから効率的なドローンや飛行ロボットの設計が進められたり、魚の泳ぎ方を模倣したロボットが海底資源探査や海上施設の保守点検、パイプ内の検査や海洋生物の生態調査などに利用されたりしています。
生物模倣は、ロボティクス以外のさまざまな領域でも活用されています。刺されても痛くない蚊の口を模倣した無痛の注射針や、無音で飛ぶフクロウの羽を参考にして作られた省音仕様の風力タービンの羽が知られています。
身近なところではフクロウの翼の形を応用した商品もあり、ブレードの厚みにフクロウの翼の形状を取り込んだ静音サーキュレーターは、大風量でも会話を妨げない低騒音を実現しています。また、高い粘着力を持ちながらも粘着剤を残さずに剥がすことができ、繰り返し利用可能な「ヤモリテープ」は、壁や天井に張り付くヤモリの指先を参考にして作られています。
また近年話題のAIも、人間の脳を模して作られたニューラルネットワークが不可欠な構成要素となっており、バイオミメティクスの一種ともいえます。このように、生物模倣はさまざまな領域で革新的な技術開発を実現しています。
この課題を解決する新型ロボット開発の試みを、香港中文大学理工学部のDa Zhao氏ら研究チームが発表しました。この研究チームは開発にあたり、とある身近な生き物から着想を得ました。
その生き物とは、なんとあの「カタツムリ」なのです。
生物の仕組みから着想を得て、新技術の開発や製品設計などに応用する技術に「バイオミメティクス(生物模倣)」があります。このバイオミメティクスは近年、ロボティクスの分野でも注目されています。
例えば、鳥の飛行メカニズムから効率的なドローンや飛行ロボットの設計が進められたり、魚の泳ぎ方を模倣したロボットが海底資源探査や海上施設の保守点検、パイプ内の検査や海洋生物の生態調査などに利用されたりしています。
生物模倣は、ロボティクス以外のさまざまな領域でも活用されています。刺されても痛くない蚊の口を模倣した無痛の注射針や、無音で飛ぶフクロウの羽を参考にして作られた省音仕様の風力タービンの羽が知られています。
身近なところではフクロウの翼の形を応用した商品もあり、ブレードの厚みにフクロウの翼の形状を取り込んだ静音サーキュレーターは、大風量でも会話を妨げない低騒音を実現しています。また、高い粘着力を持ちながらも粘着剤を残さずに剥がすことができ、繰り返し利用可能な「ヤモリテープ」は、壁や天井に張り付くヤモリの指先を参考にして作られています。
また近年話題のAIも、人間の脳を模して作られたニューラルネットワークが不可欠な構成要素となっており、バイオミメティクスの一種ともいえます。このように、生物模倣はさまざまな領域で革新的な技術開発を実現しています。
悪路を走行するカタツムリロボットの仕組み
今回紹介するロボットは、カタツムリのどのような特徴を採用したのでしょうか?
カタツムリは独特なはいずり回る移動方法で、ガタガタした地面など、自然界のさまざまな地形を安定して乗り越えることができます。
また、カタツムリには吸着能力があり、吸盤のようにいろいろな物に吸い付くことで、垂直な壁を登ることもできます。
香港中文大学のZhao氏らの研究チームは、このカタツムリの独特な移動方法と吸着能力をヒントに、屋外の複雑な地形に対応できるロボット群を開発しました。滑らかに移動しながら、必要に応じて強力に吸着する能力を模倣することで、ロボットがさまざまな地形に適応できるようになりました。
この新型ロボットには、カタツムリの殻のような丸い12cmの金属球殼に、カタツムリの脚を模した磁石付きのキャタピラが付いています。キャタピラは高耐久性のポリマー素材で作られており、さまざまな地形に対応できます。さらにキャタピラの間には5.2cmのポリマー製の吸盤があり、必要に応じて吸盤を下に押し出して吸着することができます。
カタツムリは独特なはいずり回る移動方法で、ガタガタした地面など、自然界のさまざまな地形を安定して乗り越えることができます。
また、カタツムリには吸着能力があり、吸盤のようにいろいろな物に吸い付くことで、垂直な壁を登ることもできます。
香港中文大学のZhao氏らの研究チームは、このカタツムリの独特な移動方法と吸着能力をヒントに、屋外の複雑な地形に対応できるロボット群を開発しました。滑らかに移動しながら、必要に応じて強力に吸着する能力を模倣することで、ロボットがさまざまな地形に適応できるようになりました。
この新型ロボットには、カタツムリの殻のような丸い12cmの金属球殼に、カタツムリの脚を模した磁石付きのキャタピラが付いています。キャタピラは高耐久性のポリマー素材で作られており、さまざまな地形に対応できます。さらにキャタピラの間には5.2cmのポリマー製の吸盤があり、必要に応じて吸盤を下に押し出して吸着することができます。
カタツムリを参考にロボットを着想。殻を金属球殼に、脚をキャタピラにしている
カタツムリロボットの構造。キャタピラの間に吸盤がある
ロボットは2つの動作モードを備えています。フリーモードでは、磁石付きのキャタピラを使って多様な地形を移動し、ストロングモードでは、吸盤を使ってしっかりと自身の体を固定させることができます。吸盤は回転もできるため、体を固定した後に旋回して向きを変えることも可能です。
明石 皓
九州大学大学院にて物理を学ぶ。IQ167、(sd24)ケンブリッジ大学の交換留学時に買ったマグカップとクマのぬいぐるみが宝物。テクノロジー/IT/数学が好物。