米マサチューセッツ工科大学(以下、MIT)の土木環境工学部では毎年、1年生向けのオリエンテーションとして「卵落としチャレンジ」という実験を行っています。これは、卵を高さ10mから割れないように落とす方法を探す試みです。
このコンテストでは、学生たちがそれぞれのアイデアを基に、梱包用の緩衝材(いわゆるプチプチ)やストローの束など、さまざまな材料を使って卵の着地装置を制作します。目的は、卵を割らずに落とすことです。
そして、卵をどのような角度で落とせば最も割れにくいのかが、構造力学や衝撃物理学といった科学的な文献に沿って、学生たちに解説されます。
このコンテストでは、学生たちがそれぞれのアイデアを基に、梱包用の緩衝材(いわゆるプチプチ)やストローの束など、さまざまな材料を使って卵の着地装置を制作します。目的は、卵を割らずに落とすことです。
そして、卵をどのような角度で落とせば最も割れにくいのかが、構造力学や衝撃物理学といった科学的な文献に沿って、学生たちに解説されます。
卵は縦に落とす?横に落とす?
一般的には、卵のとがった側を下に向けて逆さまに立てて落とすと、最も割れにくいとされています。
逆に最も割れやすいとされているのは、卵の横腹の部分です。実際、料理で卵を割るとき、ほとんどの人がこの部分をテーブルや食器に打ち付けているはずです。
卵の殻は、多少の個体差こそあれ、どんな卵でも固い地面に落とせば簡単に割れてしまいます。しかし、直立した状態であれば、自重の100倍もの荷重にも耐えられるとされており、落下させるときも直立している方が割れにくいと考えるのは、ごく自然な発想です。
MITに限らず、世界各地で行われている理数・工学・技術を横断的に学ぶSTEM教育のイベントでも、卵落としチャレンジは定番です。多くの場合、卵はとがった先端を下にして落とすと最も割れにくいという考え方が支持されています。
ところが最近、MITの技術者が検証してみたところ、なんと卵を縦にした状態よりも、横向きにした方が、はるかに弾力性を発揮し、割れにくいという予想外の結果が出たと報告されました。
逆に最も割れやすいとされているのは、卵の横腹の部分です。実際、料理で卵を割るとき、ほとんどの人がこの部分をテーブルや食器に打ち付けているはずです。
卵の殻は、多少の個体差こそあれ、どんな卵でも固い地面に落とせば簡単に割れてしまいます。しかし、直立した状態であれば、自重の100倍もの荷重にも耐えられるとされており、落下させるときも直立している方が割れにくいと考えるのは、ごく自然な発想です。
MITに限らず、世界各地で行われている理数・工学・技術を横断的に学ぶSTEM教育のイベントでも、卵落としチャレンジは定番です。多くの場合、卵はとがった先端を下にして落とすと最も割れにくいという考え方が支持されています。
ところが最近、MITの技術者が検証してみたところ、なんと卵を縦にした状態よりも、横向きにした方が、はるかに弾力性を発揮し、割れにくいという予想外の結果が出たと報告されました。
「卵を縦に落とすと割れにくい説」は本当か?
MITの土木環境学部および機械工学部のタル・コーエン准教授は、卵チャレンジでは卵を縦に落とすのが一般的に「正しい」とされていると説明します。ところが実際には、それでもほとんどの卵は割れてしまっていたのです。
3年ほど前から、コーエン氏はこの説が本当に正しいのか疑問に思い始め、学生たちとともにこの常識を検証してみることにしました。
まず、インターネット上の卵落としチャレンジに関する資料を参考に、セオリー通り卵を垂直に落とし、それが本当に割れにくいのかを確かめようとしました。「しかし、実験で得られたデータは、まったく明確ではなかった」とコーエン氏は述べています。
こうして何気なく始めた検証実験が、やがて本格的な研究プロジェクトへと発展します。研究チームはまず、卵の向きと強度の関係を調べるため、徐々に力を加えて割れるまでの様子を観察する「静的圧縮試験」を行い、殻の剛性(硬さ)と靱性(じんせい、丈夫さのこと)を測定しました。
その結果、卵が割れるまでに必要な力は、縦向きでも横向きでもほぼ同じでした。ただし、横向きの方が、割れるまでに変形が大きく、柔軟性があるとわかりました。
共同研究者の学部生のアヴィシャイ・ジェセルソン氏は、得られた実験データと、力学モデリングや数値シミュレーションで検証を行いました。その結果、垂直・水平どちらの状態も同じ力を加えたにもかかわらず、水平に置いた卵の方が柔軟性に富み、より多くのエネルギーを吸収できることがわかったと述べています。
つまり、卵を地面に落とす際にエネルギーを吸収させて割れにくくしたい場合、卵を水平(=横向き)にした方が弾力性を発揮し、割れずに残る可能性が高いことが示されたのです。
3年ほど前から、コーエン氏はこの説が本当に正しいのか疑問に思い始め、学生たちとともにこの常識を検証してみることにしました。
まず、インターネット上の卵落としチャレンジに関する資料を参考に、セオリー通り卵を垂直に落とし、それが本当に割れにくいのかを確かめようとしました。「しかし、実験で得られたデータは、まったく明確ではなかった」とコーエン氏は述べています。
こうして何気なく始めた検証実験が、やがて本格的な研究プロジェクトへと発展します。研究チームはまず、卵の向きと強度の関係を調べるため、徐々に力を加えて割れるまでの様子を観察する「静的圧縮試験」を行い、殻の剛性(硬さ)と靱性(じんせい、丈夫さのこと)を測定しました。
その結果、卵が割れるまでに必要な力は、縦向きでも横向きでもほぼ同じでした。ただし、横向きの方が、割れるまでに変形が大きく、柔軟性があるとわかりました。
共同研究者の学部生のアヴィシャイ・ジェセルソン氏は、得られた実験データと、力学モデリングや数値シミュレーションで検証を行いました。その結果、垂直・水平どちらの状態も同じ力を加えたにもかかわらず、水平に置いた卵の方が柔軟性に富み、より多くのエネルギーを吸収できることがわかったと述べています。
つまり、卵を地面に落とす際にエネルギーを吸収させて割れにくくしたい場合、卵を水平(=横向き)にした方が弾力性を発揮し、割れずに残る可能性が高いことが示されたのです。
実際の動的落下試験でも卵は横向きのほうが割れにくかった
そこで研究チームは、この結果を裏付けるために、動的落下試験を実施しました。180個の卵を用意し、縦・横水平の2種類の向きと、8mm・9mm・10mmの3つの高さからそれぞれ落下し、破損状況を比較しました。
その結果、同じ高さから落とした場合、横向き(=水平)の卵の方が割れにくいことが明らかになりました。
その結果、同じ高さから落とした場合、横向き(=水平)の卵の方が割れにくいことが明らかになりました。

Munenori Taniguchi
ライター。ガジェット全般、宇宙、科学、音楽、モータースポーツetc.、電気・ネットワーク技術者。
実績媒体:TechnoEdge、Gadget Gate、Engadget日本版、Autoblog日本版、Forbes JAPAN他
Twitter:@mu_taniguchi