音楽制作の新たな可能性を広げるステム・ダウンロード機能
Udio v1.5の最も革新的な新機能のひとつが「ステム・ダウンロード」機能だ。この機能は、現在、DAW(音楽制作ソフト)「Logic Pro」や多くのDJソフトに標準搭載されているものと同様の機能。Udioでは、ユーザーが作成した曲を「ボーカル」「ベース」「ドラム」「その他(シンセやギターなど)」の4つのステム(トラック)に分割できるようになった。
この機能はどちらかといえば、これまでにDAWを使った音楽制作経験者向けの機能といえる。しかし、この機能追加により、作成した曲の各ステムをDAWに読み込んで個別に調整することができ、より精密な音楽制作が可能になる。また、特定のステムだけを使って新たに自分でリミックスする、あるいは例えばベースのステムだけを抜いて自分でベースを弾き直し、差し替えるといったように、アイデア次第で活用方法がどんどん広がっていく機能だといえる。
この機能はどちらかといえば、これまでにDAWを使った音楽制作経験者向けの機能といえる。しかし、この機能追加により、作成した曲の各ステムをDAWに読み込んで個別に調整することができ、より精密な音楽制作が可能になる。また、特定のステムだけを使って新たに自分でリミックスする、あるいは例えばベースのステムだけを抜いて自分でベースを弾き直し、差し替えるといったように、アイデア次第で活用方法がどんどん広がっていく機能だといえる。
作成したボサノヴァ曲のステムダウンロード画面
実際に筆者は先ほど作成したボサノヴァ曲のドラムパートをドラムンベースのビートに差し替え、ブラジリアン風ドラムベースにアレンジしてみた。以前、筆者はSunoで作成した曲をサンプリングネタにして、DAWでアレンジを加えていく作曲方法に挑戦したが、このステム・ダウンロード機能により、不要なパートの差し替えがさらに手軽になったことはありがたい。
ダウンロードしたボサノヴァ曲の「ベース」「その他」「ボーカル」ステムをDAWで編集し、ドラムパターンをドラムンベースのビートに差し替えたもの
via www.youtube.com
Udioなどの作曲AIサービスの強みは、作曲未経験者が自分のイメージをテキストで指示して手軽に楽曲を作成できるところにある。しかし、こうした新機能が追加されたことで、Udioは音楽制作経験者にとってもより高度な作曲に活用できるサービスになった。
ユーザー自身が持つ音源をAIがリミックスする「オーディオからオーディオへの変換」機能
もうひとつの画期的な機能が、「オーディオからオーディオへの変換」機能だ。この機能では、ユーザー自身が持つ音源をアップロードすると、Udioがその音源をベースにしたリミックス音源を作成してくれる。もとの音源とは違うジャンルやスタイルに変換できるほか、Udioの説明によると、さらに同じ音源から作成した複数のアレンジを並べたメドレーを作るといったことも可能だ。
ただし、この機能はUdioの有料ユーザー(「Standard(月額10ドル/年契約の場合は8ドル)」「Pro(月額30ドル/年契約24ドル)」)向けの機能であり、無料ユーザー(Free)は使用できない。それにUdioは、今年5月のマイナーアップデートで2分までの楽曲も作成可能になっているのだが、この機能では従来の30秒までの楽曲しか作成できない。曲を長尺にしたい場合はエクステンド機能を使って曲を延長していく必要がある。
また当然のことながら、自分が楽曲使用の権利を持たない曲をこの機能で使用するのはNGだ(音源ファイルアップロード時にそのファイルを使用し、配布する権利を有することを証明するというアラートが表示される)。
この変換機能は、オリジナル音源の内容によってリミックスの精度がかなり異なる。筆者が以前、DAWで自作したハウスミュージックの曲を使って試してみたところ、ドラムンベースやダブステップなど大胆にジャンルを変更するリミックスはうまくいかなかった。しかし、ボーカルなしのインスト曲にUdioの機能を使って歌詞とボーカルを入れたり、オリジナル音源に特定の楽器を追加したりといったことは比較的うまくいった。
ただし、この機能はUdioの有料ユーザー(「Standard(月額10ドル/年契約の場合は8ドル)」「Pro(月額30ドル/年契約24ドル)」)向けの機能であり、無料ユーザー(Free)は使用できない。それにUdioは、今年5月のマイナーアップデートで2分までの楽曲も作成可能になっているのだが、この機能では従来の30秒までの楽曲しか作成できない。曲を長尺にしたい場合はエクステンド機能を使って曲を延長していく必要がある。
また当然のことながら、自分が楽曲使用の権利を持たない曲をこの機能で使用するのはNGだ(音源ファイルアップロード時にそのファイルを使用し、配布する権利を有することを証明するというアラートが表示される)。
この変換機能は、オリジナル音源の内容によってリミックスの精度がかなり異なる。筆者が以前、DAWで自作したハウスミュージックの曲を使って試してみたところ、ドラムンベースやダブステップなど大胆にジャンルを変更するリミックスはうまくいかなかった。しかし、ボーカルなしのインスト曲にUdioの機能を使って歌詞とボーカルを入れたり、オリジナル音源に特定の楽器を追加したりといったことは比較的うまくいった。
「オーディオからオーディオへの変換」機能で曲の42秒ごろからボーカルパートが追加されたリミックス
via www.youtube.com
「オーディオからオーディオへの変換」機能で曲の40秒ごろからピアノパートが追加されたリミックス
via www.youtube.com
この機能は音楽制作未経験者からすると手軽にリミックスを作成できる便利な機能だ。一方、音楽制作経験者にとっては、先述したステム・ダウンロード機能を使って自由にリミックスした方が、より自分のイメージに合ったリミックスを作成しやすい印象がある。経験者は、この機能を使ってリミックスのアイデアを試してみて、気に入ったものができれば後からDAWでそれを再現してみる、といった使い方をしてみるのもいいだろう。
Udio v1.5が提示する新たなAI作曲サービスの可能性
Udio v1.5は、ステム・ダウンロード機能とオーディオからオーディオへの変換機能という2つの革新的新機能を中心に、楽曲の高音質化などUdioの可能性を大きく広げた。これらの機能はさまざまなレベルの音楽制作者の作曲能力をサポート、あるいは拡張するものだ。音楽制作経験者の目から見ると、現段階ではまだまだ実用的だとは言い難い部分もある。しかし、その一方で今後の作曲AIサービスの発展を期待させるアップデート内容となっていることも事実だ。
次回のアップデートでUdioはどういった機能にアプローチしていくのか? また、それによってAI作曲サービスの次の可能性がどのように示されるのか? 引き続きその動向に注目したい。
次回のアップデートでUdioはどういった機能にアプローチしていくのか? また、それによってAI作曲サービスの次の可能性がどのように示されるのか? 引き続きその動向に注目したい。
Jun Fukunaga
ライター・インタビュワー
音楽、映画を中心にフードや生活雑貨まで幅広く執筆する雑食性フリーランスライター・インタビュワー。最近はバーチャルライブ関連ネタ多め。DJと音楽制作も少々。