コールマンのガソリンランタンは一度使うと病みつきに
まったく筆者には関係ないと思っていたガソリンランタン。しかし、1度使うと本気でほしくなるアイテムでした
一生使わないと思っていたガソリンランタンを優雅な時間を過ごすために使ってみた
高校時代に山岳部員だった筆者。当時、ガソリンストーブの着火訓練が非常にめんどうだった記憶があり、これまでガソリンランタンも使ってみようとはまったく思っていませんでした。
キャンピングカーでの旅行が多い筆者は、明かりは基本的にLEDで十分だと考えています。ガソリンランタンを使うには、数百円のマントルを焼き、日本国内では1L1500円以上もするホワイトガソリンを使用します。明かりをつけるだけでも面倒なのに、コストパフォーマンスも悪い、まったく効率的ではない「趣味の明かり」という印象しかなかったわけです。
日本国内よりも、ホワイトガソリンの入手が簡単でコストパフォーマンスも高い海外でなら、ガソリンランタンを使う人がいるのも理解できます。しかし手間ひまはかかる、コストパフォーマンスは悪いという日本国内でも、キャンプ場ではコールマンのガソリンランタンを愛用する人が意外に多く、不思議にも思っていました。逆にこれはなにか理屈ではない魅力があるのではないかと考え、キャンプ時間をぜいたくに過ごす方法の1つとして実際にコールマンのガソリンランタンを使ってみました。
キャンピングカーでの旅行が多い筆者は、明かりは基本的にLEDで十分だと考えています。ガソリンランタンを使うには、数百円のマントルを焼き、日本国内では1L1500円以上もするホワイトガソリンを使用します。明かりをつけるだけでも面倒なのに、コストパフォーマンスも悪い、まったく効率的ではない「趣味の明かり」という印象しかなかったわけです。
日本国内よりも、ホワイトガソリンの入手が簡単でコストパフォーマンスも高い海外でなら、ガソリンランタンを使う人がいるのも理解できます。しかし手間ひまはかかる、コストパフォーマンスは悪いという日本国内でも、キャンプ場ではコールマンのガソリンランタンを愛用する人が意外に多く、不思議にも思っていました。逆にこれはなにか理屈ではない魅力があるのではないかと考え、キャンプ時間をぜいたくに過ごす方法の1つとして実際にコールマンのガソリンランタンを使ってみました。
コールマンのガソリンランタンを実際に使ってみた
付属のキャリーケース。振動などから「ワンマントルランタン」を守るためにかなりしっかりしたものになっています
ガソリンランタンのメリットとしてよく語られるのが明るいですが、筆者はキャンプ場でとても明るい光を必要とはしていないので、コールマンのガソリンランタンのなかでも定番といわれる、マントルの数が1つの「ワンマントルランタン(レッド)」(以下、「ワンマントルランタン」、実勢価格2万円前後)を実際に使ってみました。
ガソリンランタンは、明かりをつけるまでに手間がかかります。LEDライトなら、電池を入れてスイッチをオンにするだけで明かりがつきますが、ガソリンランタンで明かりをつけるまでの手順は次のように複雑です。
ガソリンランタンは、明かりをつけるまでに手間がかかります。LEDライトなら、電池を入れてスイッチをオンにするだけで明かりがつきますが、ガソリンランタンで明かりをつけるまでの手順は次のように複雑です。
引火性の極めて高いホワイトガソリンを使用しているので、燃料を入れる際にもガソリンフィラーなどでこぼれないように注意する必要があります
1.ランタンを破損防止のケースから取り出す
2.燃料バルブを閉めてオフにする
3.ポンプバルブを回してしっかりと閉める
4.燃料キャップを外して開ける
5.フューエルファネルもしくはガソリンフィラーを使って燃料を入れる
6.燃料キャップを閉める
7.燃料バブルがオフになっていることを確認
8.ポンプバルブを左に2回転させ、ポンプノブの穴を親指でふさぎながらポンプバルブを動かし圧縮、動かなくなるくらい硬くなったら穴から指を離し、押し込んでポンプバルブを閉める
2.燃料バルブを閉めてオフにする
3.ポンプバルブを回してしっかりと閉める
4.燃料キャップを外して開ける
5.フューエルファネルもしくはガソリンフィラーを使って燃料を入れる
6.燃料キャップを閉める
7.燃料バブルがオフになっていることを確認
8.ポンプバルブを左に2回転させ、ポンプノブの穴を親指でふさぎながらポンプバルブを動かし圧縮、動かなくなるくらい硬くなったら穴から指を離し、押し込んでポンプバルブを閉める
ポンピングを行って、内部の圧力を上げて燃焼を安定させます。この作業もちょっと儀式的です
9.ウォールナット、ベンチレーター、ガラスグローブを取り外し
10.コールマンのワンマントルランタン用マントルを取り出し、マントルのヒモを2重に仮結びする
11.バーナーチューブの先端の溝にマントルを取り付けて、ヒモを引いてマントルを固定
12.取り付けたマントルを膨らませるように整えて、余ったヒモを切りとる
13.取り付けたマントルの下部から均等に火をつけて完全に灰状になるように燃やす
10.コールマンのワンマントルランタン用マントルを取り出し、マントルのヒモを2重に仮結びする
11.バーナーチューブの先端の溝にマントルを取り付けて、ヒモを引いてマントルを固定
12.取り付けたマントルを膨らませるように整えて、余ったヒモを切りとる
13.取り付けたマントルの下部から均等に火をつけて完全に灰状になるように燃やす
取り付けたマントルを空焼きします。下側から均等に火をつけて全体がしっかりと灰になるように燃やします
14.ガラスグローブ、ベンチレーター、ウォールナットを取り付ける
15.フレームの下部の穴なら先の細いライターなどの火種を入れて、燃料バルブを開けハイにセットすると点火する
16.点火直後、ポンプバルブを開いて、ポンプノブの穴をふさぎながら抵抗を感じるくらいまでポンピングして炎を安定させる
17.燃料バルブを左右に回して光量を調整する
15.フレームの下部の穴なら先の細いライターなどの火種を入れて、燃料バルブを開けハイにセットすると点火する
16.点火直後、ポンプバルブを開いて、ポンプノブの穴をふさぎながら抵抗を感じるくらいまでポンピングして炎を安定させる
17.燃料バルブを左右に回して光量を調整する
温かみのあるやわらかな光でありながら、十分光量が確保できるのもガソリンランタンの魅力の1つといえるでしょう
明かりをつけるだけで、この工程の多さです。慣れるとかなり短時間で行えるようになるでしょう。しかし、筆者は初めて火を着けるまで20分程度かかりました。マントルの取り付けや、マントルを焼く空焼きの作業などで戸惑うと、30分程度はすぐにかかるでしょう。
ゴォォォという独特の音と温かみのある光の色と揺らぎにリラックスする
それなりのメンテナンスも必要であったりと、効率と言う点からはメリットの小さいガソリンランタン。それでもキャンプの夜はこれを使いたくなります
慣れてしまえばそれほどの作業ではないにしても、ガソリンランタンを点灯するには、LEDライトなどとは比べものにならないほどの手間が必要です。この点火までの作業をぜいたくな時間の過ごし方といってしまえばそれまでですが、それにしてもかなりの手間だなという印象です。
また、ガソリンランタンのメリットとして、明るく、連続して使用できる時間が長いという特長もあります。この「ワンマントルランタン」の明るさは約130W相当、燃焼時間は燃料タンク容量が約590ccで約7.5〜15時間だそうです。確かに明るいですし、ひと晩以上はもつでしょうが、それだけでほかのデメリットが帳消しになるとも思えません。
これだけデメリットがあるのに人気がある理由は何か……? 今回、使ってみてやっと分かりました。夜の静かなキャンプ場でたき火とランタンに囲まれていると、異常にリラックスできるのです。LEDとは違う、優しい光の色、光の揺らぐ様子。好みもあるでしょうがゴォォォという燃焼音。筆者はこの燃焼音がかなり重要だと感じました。明かりを強くした状態の大きめの音よりも、明かりを絞った、聞こえるか、聞こえないかくらいの音量が、ゆったりと流れるキャンプ時間の夜にぴったりで、とても良いのです。
使い勝手にも、コスト的にも、これまでほとんどメリットを感じませんでしたが、キャンプ時間を演出してくれる音響・照明装置として、コールマンのランタンは本能に語りかけてくるような力を持っていると感じました。ランタンを眺めながらお酒を飲んだり、読書をしたりするだけで、かなりの時間をぜいたくに過ごすことができるので、ある意味最高の時間の過ごし方を実現するアイテムといえます。とても欲しくなってしまいましたが、妻に購入する理由を何と説明するかが大きなハードルになりそうです。
また、ガソリンランタンのメリットとして、明るく、連続して使用できる時間が長いという特長もあります。この「ワンマントルランタン」の明るさは約130W相当、燃焼時間は燃料タンク容量が約590ccで約7.5〜15時間だそうです。確かに明るいですし、ひと晩以上はもつでしょうが、それだけでほかのデメリットが帳消しになるとも思えません。
これだけデメリットがあるのに人気がある理由は何か……? 今回、使ってみてやっと分かりました。夜の静かなキャンプ場でたき火とランタンに囲まれていると、異常にリラックスできるのです。LEDとは違う、優しい光の色、光の揺らぐ様子。好みもあるでしょうがゴォォォという燃焼音。筆者はこの燃焼音がかなり重要だと感じました。明かりを強くした状態の大きめの音よりも、明かりを絞った、聞こえるか、聞こえないかくらいの音量が、ゆったりと流れるキャンプ時間の夜にぴったりで、とても良いのです。
使い勝手にも、コスト的にも、これまでほとんどメリットを感じませんでしたが、キャンプ時間を演出してくれる音響・照明装置として、コールマンのランタンは本能に語りかけてくるような力を持っていると感じました。ランタンを眺めながらお酒を飲んだり、読書をしたりするだけで、かなりの時間をぜいたくに過ごすことができるので、ある意味最高の時間の過ごし方を実現するアイテムといえます。とても欲しくなってしまいましたが、妻に購入する理由を何と説明するかが大きなハードルになりそうです。
効率やコスパの対極にある「安心感」や「無の時間」がキャンプの魅力
1本あれば十分な着火剤となるフェザースティック。筆者は楽しくなって結局写真に写っていない分も含めて5本ほど削り出しました
実際にやってみて、意味もなく気持ちのよい時間の過ごし方が極上のタイムに
コスパとか、タイパとか、効率といった単語をすぐに使いたがるタイプの人間である筆者は、普段あまり上手にぼーっとできないタイプです。そのため、ゆったりと流れるキャンプ時間をぜいたくに過ごすことができず、自宅にいるときと同じようにスマートフォンやTVゲーム機、パソコンやタブレットに頼ってしまうのです。
しかし、今回実際に「たき火」「サイフォンコーヒー」「肉焼き」「ガソリンランタン」で時間を過ごしてみて、理屈ではなく、その作業を行っているときに自分がどのくらい集中できて、気持ち良くなれるかが重要だと感じました。
例えば「たき火」については、作ってすぐに燃やしてしまうフェザースティックを削り出す作業が思った以上に無心で没頭でき、つい余分に削ってしまうこと。「サイフォンコーヒー」の下ポールから上ポールに沸騰した水が移動していく瞬間を待つ時間や、「肉焼き」の160〜180℃という温度を保つために火力の調整をしているときは、ほかのことはまったく考えていない点。「ガソリンランタン」のかすかな燃焼音と揺らぐ温かな光に包まれているときのなんとも言えない安心感。
どれも、気が付くと時間が消えていたといった感じの、集中できる楽しい時間でした。筆者は今回選んだぜいたくな時間の過ごし方4選すべてがツボにはまったのですが、どれが良いかは理屈ではないので、実際にやってみて自分の気持ち良いものを探すのがおすすめです。
筆者はしばらく、この4種類だけでキャンプ時間を朝から夜までぜいたくに過ごすことができそうです。ぜひみなさんも、非効率で意味がないと思わずに、まずは1度試してみてください。
<撮影協力>
撮影協力:ちとせ美笛キャンプ場
新千歳空港からすぐ!「フォーエバーキャンピングパラダイス」
しかし、今回実際に「たき火」「サイフォンコーヒー」「肉焼き」「ガソリンランタン」で時間を過ごしてみて、理屈ではなく、その作業を行っているときに自分がどのくらい集中できて、気持ち良くなれるかが重要だと感じました。
例えば「たき火」については、作ってすぐに燃やしてしまうフェザースティックを削り出す作業が思った以上に無心で没頭でき、つい余分に削ってしまうこと。「サイフォンコーヒー」の下ポールから上ポールに沸騰した水が移動していく瞬間を待つ時間や、「肉焼き」の160〜180℃という温度を保つために火力の調整をしているときは、ほかのことはまったく考えていない点。「ガソリンランタン」のかすかな燃焼音と揺らぐ温かな光に包まれているときのなんとも言えない安心感。
どれも、気が付くと時間が消えていたといった感じの、集中できる楽しい時間でした。筆者は今回選んだぜいたくな時間の過ごし方4選すべてがツボにはまったのですが、どれが良いかは理屈ではないので、実際にやってみて自分の気持ち良いものを探すのがおすすめです。
筆者はしばらく、この4種類だけでキャンプ時間を朝から夜までぜいたくに過ごすことができそうです。ぜひみなさんも、非効率で意味がないと思わずに、まずは1度試してみてください。
<撮影協力>
撮影協力:ちとせ美笛キャンプ場
新千歳空港からすぐ!「フォーエバーキャンピングパラダイス」
齋藤 千歳
フォトグラファー・ライター
北海道千歳市在住・千歳市生まれのフォトグラファー/ライター。キャンピングカーの「方丈号」から各種アウトドア、カメラ、レンズ、ガジェットに関する情報を発信したり、家族3人で北海道一周などしたりを楽しんでいる。