スマートリング「Oura Ring」の指摘で、睡眠を本気で“ハック”してみた

中野 亜希

Specialスマートフォンライフスタイル健康・美容
仕事や家事を終えた「寝る前の時間」はなぜ、あんなに楽しいのでしょう。平日は日付が変わる前には寝たいと思っているのに、趣味に没頭したり、動画を見たりしていると寝るのが惜しいような気持ちに。ベッドでスマホを眺めて夜ふかしするのもしばしばです。

しかし翌日には眠気覚ましのコーヒーが手放せず、ランチのあとに空腹が満たされると眠くなることも。「朝の頭が冴えているとき」と「午後の集中力を欠いたとき」とでタスクの割り当てを変えるなど、仕事でミスをしない対策はしてきた筆者ですが、ふと「常に集中できるように生活を変えるべきなのでは?」と感じたのです。

私の生活の中で、真っ先に改善できそうなのは「睡眠」。うまくいけば人生までも変わりそうな予感がして、早速「睡眠のハッキング」に取り組んでみました。

ワタクシ的「睡眠改善プロジェクト」発足

これまでも、うすうす「このままではまずいのでは……」と感じていた私の睡眠に対し、「まずいよ」と実態を突きつけてきたのが、スマートリング「Oura Ring」です。

Oura Ringのアプリから「睡眠負債が多い」とのお知らせ

Oura Ringは、歩数や運動といった日々の活動を可視化するデバイス。私は主に睡眠の状況をモニターするために使っています。以前から使っているスマートウォッチでも睡眠のモニタリングはできるものの、寝るときまで時計を身につけるのは煩わしく、睡眠にも影響がありそう。

指輪型でいつでも身につけておくことができ、バッテリー持ちのよいOura Ringの睡眠に関連するデータは特に充実しており、「日々の睡眠をデータで見たい」私にはうってつけのデバイスなのです。前回の記事で、導入までの道のりとリングで分かることを紹介しています。

さて、眠りの質が高くないのはなんとなくわかっていたものの、こんなにも睡眠負債があることを具体的に数字で見ると、さすがに危機感を覚えます。

日々の睡眠不足が借金のように積み重なる睡眠負債は放置すればするほど、のちのちの体調不良や生産性低下といった形で大きなコストを払うことになるといいます。睡眠不足は集中力や食欲を乱し、日中のパフォーマンスに大きく影響することも。

日頃から「もう少し寝たいなあ」とは思っていましたが、のんきに構えている場合ではなさそうです。そこで、睡眠改善を「パフォーマンス最適化プロジェクト」として位置づけ、「可視化した睡眠をデータをもとに改善する」——”眠り”をハックすることにしたのです。

安眠のための3つのルール

Oura Ringのアプリでは、睡眠負債は14日単位でカウントされている様子。そこで「2週間でどれだけ睡眠負債を減らせるか」をテーマに、以下の3つのルールを設定して実行することにしました。

1. 就寝時間を23時に固定する

まずは足りない睡眠時間を補うべく、「とりあえず1時間早く寝る」と決めました。

さらに睡眠の質を上げるには、翌日の予定にかかわらず、毎日同じ時間に寝る必要があると知りました。

あるときは早く寝る、あるときは気分が乗ればいつまでも起きている——こんな生活をしているだけでも、睡眠の質は低くなるそう。私たちの体には約24時間周期で動く「体内時計」が備わっていて、就寝時間を固定するのがこの体内時計を最適化するポイントになります。

日々同じタイミングで眠るようにするだけで寝付きが良くなることはもちろん、翌日の集中力、判断力、問題解決能力といった認知機能も高まるそう。今まで私が午後になると感じていた「謎のパフォーマンス低下」の原因も、このあたりに手がかりがありそうです。

とはいえ、毎日ピッタリ同じ時刻に眠るというのは現実的ではないため30分のバッファを設け、「就寝は23:00-23:30の間」としました。

2. カフェインは午後2時で終了

私はコーヒーや紅茶が大好きです。しかし調べてみると、カフェインは半減期が長く、6時間以上も睡眠に影響を与えるとされる量が体内に残るそう。

「夜お茶」と称して遅くまでカフェにいたり、寝る直前までコーヒーや紅茶を飲むのが当たり前の私。「カフェインのせいで眠れない」と感じたことがないのです。

しかし、Oura Ringを着けてからは、遅い時間にカフェインを取ると必ず「就寝後に心拍数が下がる時間が遅くなる」ことがわかっています。

睡眠時心拍数低下のピークが起床直前になっている

それと連動するように、グラフ上でも「深い睡眠の時間が少ない」「夜間の覚醒が多い」状態になっていることに気づきました。

そこで大好きなコーヒーや紅茶は14時までとし、あとはルイボスティーなどのノンカフェインの飲み物を楽しむことにしました。

3. 寝る1時間前は極力スマホを見ない

寝る前にベッドの中でSNSを眺めたり、電子書籍を読んだり……。これは私が寝る前に心を落ち着けるためのルーティン。

しかし、スマホの画面が発するブルーライトは、脳の深部でホルモンを分泌する松果体に「まだ昼間だ」というニセの信号を送るのだそう。「睡眠ホルモン」とも呼ばれるメラトニンの分泌が止まり、自然な眠気が阻害されてしまうといいます。

確かに、どんなに眠い朝でも、アラームを止めてスマホの画面の光を浴びると、強制的に目が覚めます。やはりスマホは寝る前に見るべきものではないということなのでしょう。

3つの中で、個人的に一番つらい制限がこれなのですが、「とりあえず2週間」と割り切って、寝る前だけでもデジタルデトックスに励むことにしました。

規則正しい生活をしている人にとってはこんなことは当たり前なのだろうな……と思えるほどのゆるいルールですが、私にとっては難題です。しかし完璧ではなくても、どれか1つをクリアするだけでも眠りの質は上がるはずですが……。
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中野 亜希

ライター・コラムニスト
大学卒業後、ブログをきっかけにライターに。会社員として勤務する傍らブックレビューや美容コラム、各種ガジェットに関する記事執筆は2000本以上。趣味は読書、料理、美容、写真撮影など。
X:@752019

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