既存の曲からギター、ドラム、ボーカルなど特定のパートを分離するAI
「SpectraLayers」
SpectraLayersは、DAW(音楽制作ソフト)向けのオーディオスペクトラル編集ツールだ。
⾳のスペクトラルデータ(周波数・時間・振幅データ)の高度なビジュアル化と視覚的な編集性により、⾳楽制作やポストプロダクション(収録後の編集作業)、サウンドデザイン、整⾳その他のさまざまな⽤途で⼒を発揮する。
AIを活用した楽曲の音源分離(ステム分離)をはじめ、ドラムなどの楽器トラックを隔離する際の⾳漏れをAIならではの精度で除去する「ブリード除去」、部屋の反響の特定や減衰をクリーンかつ効果的に⾃動処理可能な「リバーブリダクション」、ピークシェイピング機能により聴覚上の効果を増⼤させる「クリップ修復」、⼈間の声を認識し、隔離するようにトレーニングされたアルゴリズムにより、会話から歌唱までさまざまな⽤途でのノイズ除去をカバーする「ボイスデノイザー」といった機能を搭載している。
最新版「SpectraLayers 10」では、エンジンとAIアルゴリズムを刷新。新機能の追加や既存機能の拡張とともに、処理速度や使い勝⼿、精度がさらに⼤きく向上した。新しい音源分離機能では、楽曲をボーカル、ドラム、ギター、ベースを含む6ステムに分離可能になり、ドラムもキックとスネア、シンバルの分離が可能になっている。
SpectraLayersは、DAW(音楽制作ソフト)向けのオーディオスペクトラル編集ツールだ。
⾳のスペクトラルデータ(周波数・時間・振幅データ)の高度なビジュアル化と視覚的な編集性により、⾳楽制作やポストプロダクション(収録後の編集作業)、サウンドデザイン、整⾳その他のさまざまな⽤途で⼒を発揮する。
AIを活用した楽曲の音源分離(ステム分離)をはじめ、ドラムなどの楽器トラックを隔離する際の⾳漏れをAIならではの精度で除去する「ブリード除去」、部屋の反響の特定や減衰をクリーンかつ効果的に⾃動処理可能な「リバーブリダクション」、ピークシェイピング機能により聴覚上の効果を増⼤させる「クリップ修復」、⼈間の声を認識し、隔離するようにトレーニングされたアルゴリズムにより、会話から歌唱までさまざまな⽤途でのノイズ除去をカバーする「ボイスデノイザー」といった機能を搭載している。
最新版「SpectraLayers 10」では、エンジンとAIアルゴリズムを刷新。新機能の追加や既存機能の拡張とともに、処理速度や使い勝⼿、精度がさらに⼤きく向上した。新しい音源分離機能では、楽曲をボーカル、ドラム、ギター、ベースを含む6ステムに分離可能になり、ドラムもキックとスネア、シンバルの分離が可能になっている。
SpectraLayers 10 World Premiere
「SpectraLayers」最新バージョンの機能紹介動画
via www.youtube.com
音楽制作の仕上げ作業「マスタリング」をアシストするAI
「eMastered」
eMasteredはグラミー賞エンジニアが開発に関わった、AIマスタリングが特徴のオンラインマスタリングサービス。MP3、AIFFまたはWAVファイルをサイト内にアップロードすると、自動的にトラックの音が分析される。その後、マスタリング処理時に必要なツール(マスタリング強度やステレオ幅、ボリューム、イコライゼーションなど)をユーザーの好みに合わせて選択すると、自動的にマスタリング作業が行われる。
AIを駆使した同サイトのマスタリングでは、数秒以内にマスタリングの結果がわかるため、マスタリング前の音源とマスタリング後の音質の違いを速やかに確認可能。確認後はワンクリックでWAVファイル、もしくはMP3ファイルとしてダウンロードできる。プロのエンジニアにマスタリングを依頼する場合それなりのコストもかかるが、eMasteredはお手頃価格の定額プラン(月額39ドルまたは年額156ドル)で無制限に利用できるところもサービスの強みとしている。
マスタリングの出来は、専門的な知識や機材によって大きく左右されるDTMの鬼門的存在と言える。特に音楽制作初心者の場合は、正確なマスタリング状態の判断がつきにくいため、この作業に時間を取られがちだが、eMasteredは知識がない人でも簡単に利用でき、自分の作った楽曲の音圧の向上をはじめ、音の奥行きや表情が増すといったマスタリング効果を実感できる。
eMasteredはグラミー賞エンジニアが開発に関わった、AIマスタリングが特徴のオンラインマスタリングサービス。MP3、AIFFまたはWAVファイルをサイト内にアップロードすると、自動的にトラックの音が分析される。その後、マスタリング処理時に必要なツール(マスタリング強度やステレオ幅、ボリューム、イコライゼーションなど)をユーザーの好みに合わせて選択すると、自動的にマスタリング作業が行われる。
AIを駆使した同サイトのマスタリングでは、数秒以内にマスタリングの結果がわかるため、マスタリング前の音源とマスタリング後の音質の違いを速やかに確認可能。確認後はワンクリックでWAVファイル、もしくはMP3ファイルとしてダウンロードできる。プロのエンジニアにマスタリングを依頼する場合それなりのコストもかかるが、eMasteredはお手頃価格の定額プラン(月額39ドルまたは年額156ドル)で無制限に利用できるところもサービスの強みとしている。
マスタリングの出来は、専門的な知識や機材によって大きく左右されるDTMの鬼門的存在と言える。特に音楽制作初心者の場合は、正確なマスタリング状態の判断がつきにくいため、この作業に時間を取られがちだが、eMasteredは知識がない人でも簡単に利用でき、自分の作った楽曲の音圧の向上をはじめ、音の奥行きや表情が増すといったマスタリング効果を実感できる。
eMastered - Professional Online Mastering
「eMastered」イメージビデオ
via www.youtube.com
手持ちの音源サンプルを効率的に分類するAI
「COSMOS」
COSMOSは、ユーザーのハードディスク上にあるすべてのワンショットやループを検索しやすく一括管理できる、サンプル管理ソフト。
「Waves Neural Networks」というAIテクノロジーにより、サンプルが楽器の種類別、キー、BPMなどの音の特徴ごとに分析され、自動的にタグ付けされた上で1つの統合データベース上に割り当てられる。
データベース上のサンプル(ワンショット、ループ)は、楽器、BPM、キーだけでなく、音の明るさ、彩度、ダイナミクスなど、特性ごとにフィルタリングして検索可能。また、「波形表示」「リスト表示」と、音色の特性に合わせてサンプルをクラスター表示する「COSMOS」の3つのブラウズビューに切り替えて使うことができ、視覚的にサンプルを確認することも可能だ。検索して見つかったサンプルは、ワンクリックで簡単に試聴でき、そのままサンプラーやDAWに直接ドラッグ&ドロップすればすぐに使用することもできる。
COSMOSは、ユーザーのハードディスク上にあるすべてのワンショットやループを検索しやすく一括管理できる、サンプル管理ソフト。
「Waves Neural Networks」というAIテクノロジーにより、サンプルが楽器の種類別、キー、BPMなどの音の特徴ごとに分析され、自動的にタグ付けされた上で1つの統合データベース上に割り当てられる。
データベース上のサンプル(ワンショット、ループ)は、楽器、BPM、キーだけでなく、音の明るさ、彩度、ダイナミクスなど、特性ごとにフィルタリングして検索可能。また、「波形表示」「リスト表示」と、音色の特性に合わせてサンプルをクラスター表示する「COSMOS」の3つのブラウズビューに切り替えて使うことができ、視覚的にサンプルを確認することも可能だ。検索して見つかったサンプルは、ワンクリックで簡単に試聴でき、そのままサンプラーやDAWに直接ドラッグ&ドロップすればすぐに使用することもできる。

COSMOSビューでは音色の特性でサンプルをビジュアライズして表示できる
また、COSMOSの開発・販売元であるWavesのソフトサンプラー「CR8 Creative Sampler」ともシームレスに統合できるため、付属する2500種類以上のサンプル・ライブラリを使って、すぐに多くのサンプルの中から目当てのサンプルを見つけ出して楽曲制作を行える。
最近では、さまざまなサンプルパックがサンプルプラットフォームから発表されており、それらを利用しながら音楽制作するアーティストも増えている。しかし、増えすぎたサンプルを自分が使いやすいようにうまく管理していくことは意外と手間がかかるもの。これまでサンプル管理に頭を悩ませていた人は、特定のキーや楽器、音の雰囲気などで目当てのサンプルを素早くソートできるCOSMOSを活用することで、よりサンプルを使った音楽制作を効率的に進めていくことができるはずだ。
最近では、さまざまなサンプルパックがサンプルプラットフォームから発表されており、それらを利用しながら音楽制作するアーティストも増えている。しかし、増えすぎたサンプルを自分が使いやすいようにうまく管理していくことは意外と手間がかかるもの。これまでサンプル管理に頭を悩ませていた人は、特定のキーや楽器、音の雰囲気などで目当てのサンプルを素早くソートできるCOSMOSを活用することで、よりサンプルを使った音楽制作を効率的に進めていくことができるはずだ。
Waves COSMOS AI-Powered Sample Finder
「COSMOS」イメージビデオ
via www.youtube.com
一口にAI音楽ツールといっても、曲そのものを作成するものから、音源分離(ステム分離)や音声変換、音声合成からサンプルの分類まで、現在は音楽制作のさまざまな領域にAI音楽ツールが存在する。
初心者の場合は、テキストから曲を作成できるツールが音楽制作の入り口になると思うが、より本格的に音楽制作を始めた後は、マスタリングなど専門的な知識を必要とする領域の作業をAIのアシストを受けながら行うことも可能だ。
最近のAIの目覚ましい進化もあって、他のクリエイティブ分野と同様に音楽シーンでも、これまで人間が行っていたクリエイティブな作曲仕事をAIが奪うかもしれないという危惧は少なからずある。しかし、AIツールを自分の能力の補完目的で使うことで、これまでは技術的に難しかった表現が可能になることもあるだろう。
また、AIで作成した音楽をサンプリングしたり、音源分離したりするなど、複数のAI音楽ツールを組み合わせて使うことで、AIと人間の音楽クリエイターの共創的な音楽制作も可能になるはずだ。今後、AIを活用した手法でこれまでにない音楽が生み出されることに期待したい。
初心者の場合は、テキストから曲を作成できるツールが音楽制作の入り口になると思うが、より本格的に音楽制作を始めた後は、マスタリングなど専門的な知識を必要とする領域の作業をAIのアシストを受けながら行うことも可能だ。
最近のAIの目覚ましい進化もあって、他のクリエイティブ分野と同様に音楽シーンでも、これまで人間が行っていたクリエイティブな作曲仕事をAIが奪うかもしれないという危惧は少なからずある。しかし、AIツールを自分の能力の補完目的で使うことで、これまでは技術的に難しかった表現が可能になることもあるだろう。
また、AIで作成した音楽をサンプリングしたり、音源分離したりするなど、複数のAI音楽ツールを組み合わせて使うことで、AIと人間の音楽クリエイターの共創的な音楽制作も可能になるはずだ。今後、AIを活用した手法でこれまでにない音楽が生み出されることに期待したい。

Jun Fukunaga
ライター・インタビュワー
音楽、映画を中心にフードや生活雑貨まで幅広く執筆する雑食性フリーランスライター・インタビュワー。最近はバーチャルライブ関連ネタ多め。DJと音楽制作も少々。