「この公園に通いたいから引っ越したい」
馬事公苑はその名の通り馬術や乗馬にまつわる施設であり、ひたすら“馬事ファースト”な特殊な空間。なので、いくつかの「制約」があるものの、人間も大いにくつろげます。馬や馬術が大好きな人はもちろん、「馬はさほど」という人のことも、どちらも両手を広げて歓迎するような場所なのです。
その証拠に、目黒区〜世田谷区あたりで暮らす友人たち、特に子育て真っ最中の人に馬事公苑をおすすめすると、みんな「最高だった!!近所に引っ越したい!」と大満足してくれます。わかるよ、私もノー馬事公苑・ノーライフだもの。
ということで馬事公苑の最高なポイントを紹介します。
世田谷区のど真ん中にある巨大公園
東京五輪・パラリンピックの準備のために2016年に一度閉園し、コロナ禍や公園としての再整備などを経て、2023年11月にやっとリニューアルオープンしました。いや〜待った待った。そして待ったかいがありました。
馬事公苑の最寄り駅は、東急田園都市線の用賀駅または桜新町駅、そして小田急線の経堂駅と千歳船橋駅です。それぞれ徒歩15〜20分ほど根気強く歩くと到着します。厳重に柵で囲われた長い塀と木々が見えたら、そこが馬事公苑です。
2023年11月のリニューアルオープン時にキレイに作り直された柵。リニューアル工事中、職人さんが一つ一つ丁寧に仕上げていました
開園時間は、3月から10月は9〜17時、11月から2月は9〜16時。基本的には年中無休です(ごくまれにイベント準備や工事などで臨時休園する日もあります)。入場料は無料。
長い塀に囲まれた馬事公苑には入口が3カ所ありますが、9時から10時までの間は正門からのみ入れます。他の門は10時から開門し、日によってはイベントで使用できないこともあるので、まずは正門を目指すとよいでしょう。
馬事公苑の正門
門には「てい鉄」があしらわれています
馬事公苑内には大きめの自転車置き場があります。ただ一般利用者向けの駐車場はないので、クルマでお越しの方は近隣のコインパーキングなどを利用されているそうです。
自転車置き場の案内板も馬
パリオリンピックの総合馬術団体で銅メダルを獲得した戸本一真選手をお祝いする幕
正門の向こうには立派なレンガ彫刻の馬の親子がたたずんでいます。仲良しこよし
ちょっとソワソワしてくるくらい人口密度が低くて、めちゃくちゃ広い。馬事公苑の緑の向こうに見えるビルは用賀のランドマーク「GMOインターネットTOWER」
さらに広大なメインプロムナードの向こうには……
ドカーンとした芝生! 真冬には来園者が作ったであろう無数の雪だるまが並びます。そして2024年8月に開催された「せたがや ふるさと区民まつり」のフィナーレでは、歌手のシシド・カフカ率いるel tempoが無数の世田谷区民を沸かせた伝説の地
芝生の向こうに広がる森の中も散策できます。
1940年の開園当初からの木々が並ぶ武蔵野自然林。虫かご片手に散策する親子とよくすれ違います
森の中にたたずむ愛馬碑にはお花とともにドングリがお供えしてありました
遊具がたくさん並ぶ子ども広場。7月〜9月中は熱中症のリスクや日差しで遊具が熱くなりすぎるため利用停止されていましたが、秋からはにぎわいを取り戻しています
園内のあちこちに置かれた水飲み場がかわいい。そしてよく見ると……?
馬の毛色「栃栗毛」を模した石でした。「私は栃栗毛ですよ」とわざわざ名乗っているということは、つまり他の「毛色」の水飲み場もあるのです
こちらは「黒鹿毛」。小さな子どもでもお水を飲みやすいよう、てい鉄型の踏み台つき
こちらは「白毛」。園内で水飲み場を見かけると、つい“毛色”を確かめてしまう
左手に見えるのはメインオフィス、右手の大きな建物は馬術競技用の屋内アリーナ
花森 リド
ライター・コラムニスト
主にゲーム、マンガ、書籍、映画、ガジェットに関する記事をよく書く。講談社「今日のおすすめ」、日経BP「日経トレンディネット」「日経クロステック(xTECH)」、「Engadget 日本版」、「映画秘宝」などで執筆。
X:@LidoHanamori