パスポートにクレジットカード、それから海外旅行保険。海外旅行の支度は、回数を重ねるほど洗練されていきます。私の場合も「もし忘れてしまっても、どうにかなるモノ」が区別できるようになり、旅行初心者の頃はてんこ盛りだった荷物も減り、“少数精鋭メンバー”を構成できるようになりました。「不要なモノ」がわかるということは、「どうしても自分には必要なモノ」が明確になったともいえます。
そう、「旅の荷物は最小限がマイポリシー」という人にも「どうしても外せないモノ」が出てくるのが旅行というものなのです。
たとえば北京出身の若きAIエンジニアは「荷物をできる限り持ちたくないので、ポケットがたくさんついた服を着て行きます」とミニマリストぶりを発揮しつつも、「日本以外では、ティッシュペーパーを必ず持ち歩きます。ティッシュペーパーはスマホや鍵と同じくらい重要」と海外でのティッシュペーパーの重要性を語ってくれました。確かに海外でフンワリと上質なティッシュペーパーにお目にかかることはまれです(10数年前のキューバでは、首都ハバナの五つ星ホテルでも客室内にティッシュがありませんでした)。
旅慣れたとあるベテランエンジニアも「荷物は最小限のバックパック1つだけ」と言いますが「手提げ袋(ショッピングバッグ)」だけは欠かせないのだとか。欧州や北米では、美術館だけでなく商業施設ですら、バックパックを背負って中に入ろうとすると警備員に呼び止められ荷物を預けないといけない場面が多々あります。で、そんなときにショッピングバッグがあると便利なのだそう。バックパッカーへの風当たりの強さを感じさせるアイテムですね。
で、私の場合はというと、「洗面器」が絶対に外せないモノです。それも100円ショップで手に入れたプラスチック製の簡素な洗面器。この洗面器を必ずスーツケースに忍ばせること早14年、もはや旅の相棒の最長老です。
というのもパスポートは最長でも10年で期限が切れますし、スーツケースも何度か買い替えているので、私の海外旅行の全てを知っているのは、もはやこの洗面器くらい。数度のロストバゲッジにも耐え、ちゃんと手元に戻ってきています。
世の中にはコンパクトに折りたためるシリコン製の洗面器もありますが、私の海外旅行では、フニャフニャの洗面器は無意味であり、どうしても固い洗面器が必要なのです。
そう、「旅の荷物は最小限がマイポリシー」という人にも「どうしても外せないモノ」が出てくるのが旅行というものなのです。
たとえば北京出身の若きAIエンジニアは「荷物をできる限り持ちたくないので、ポケットがたくさんついた服を着て行きます」とミニマリストぶりを発揮しつつも、「日本以外では、ティッシュペーパーを必ず持ち歩きます。ティッシュペーパーはスマホや鍵と同じくらい重要」と海外でのティッシュペーパーの重要性を語ってくれました。確かに海外でフンワリと上質なティッシュペーパーにお目にかかることはまれです(10数年前のキューバでは、首都ハバナの五つ星ホテルでも客室内にティッシュがありませんでした)。
旅慣れたとあるベテランエンジニアも「荷物は最小限のバックパック1つだけ」と言いますが「手提げ袋(ショッピングバッグ)」だけは欠かせないのだとか。欧州や北米では、美術館だけでなく商業施設ですら、バックパックを背負って中に入ろうとすると警備員に呼び止められ荷物を預けないといけない場面が多々あります。で、そんなときにショッピングバッグがあると便利なのだそう。バックパッカーへの風当たりの強さを感じさせるアイテムですね。
で、私の場合はというと、「洗面器」が絶対に外せないモノです。それも100円ショップで手に入れたプラスチック製の簡素な洗面器。この洗面器を必ずスーツケースに忍ばせること早14年、もはや旅の相棒の最長老です。
というのもパスポートは最長でも10年で期限が切れますし、スーツケースも何度か買い替えているので、私の海外旅行の全てを知っているのは、もはやこの洗面器くらい。数度のロストバゲッジにも耐え、ちゃんと手元に戻ってきています。
世の中にはコンパクトに折りたためるシリコン製の洗面器もありますが、私の海外旅行では、フニャフニャの洗面器は無意味であり、どうしても固い洗面器が必要なのです。

練馬区の商店街を散歩中に見かけた100円ショップで「旅行用にちょうどいいかな」と考え、なんとなく買った洗面器。まさかこんな長いつき合いになるとは
現地で買ったスナック菓子をキレイなまま持ち帰れる、ただし上限あり
なぜ私がそこまでプラスチックの洗面器にこだわるかというと、洗面器の内側がスーツケースの中で「荷物を守るスペース」になるから。
例えば旅先のスーパーマーケットで買ったスナック菓子の袋やクッキーの包みをスーツケースの中にそのまま入れると、他の荷物に押しつぶされてしまうリスクがあります。せっかく選んだお菓子ですから、キレイなまま持ち帰りたいですし、「異国のフレーバーをたたえたポテトチップがスーツケース内で破裂した」なんて事故も避けたい。
そして他の荷物に押しつぶされないように、スナック菓子をスーツケースの上の方にそっと配置したとしても、スーツケースの天地がひっくり返らないなんて保証はどこにもないのです。
というのも、あなたのスーツケースをコロコロと丁寧に転がしてくれるのは、せいぜいホテルのスタッフくらいだからです。私は某国の空港職員がスーツケースをワイルドにぶん投げる姿を目撃して以来、「たとえどんなにスーツケースが頑丈で、空港職員の愛想がよくても、中身が壊れるときは壊れる」と腹をくくるようになりました。腹をくくってはいるものの、自分でできる対策はやっておきたい。そこでプラスチック製の洗面器の出番なのです。信じられるのは自分(と洗面器)だけ。
ただ、洗面器でお菓子をガードする作戦にも弱点があります。それは「1つの洗面器にしまえるスナック菓子は、せいぜい1つくらい」だということ。
ですから、もしあなたが東京から関西に旅行して、関東ではお目にかかれない「カール」をキレイなまま2つ持って帰りたいなら、洗面器は2つ必要になるでしょう。
例えば旅先のスーパーマーケットで買ったスナック菓子の袋やクッキーの包みをスーツケースの中にそのまま入れると、他の荷物に押しつぶされてしまうリスクがあります。せっかく選んだお菓子ですから、キレイなまま持ち帰りたいですし、「異国のフレーバーをたたえたポテトチップがスーツケース内で破裂した」なんて事故も避けたい。
そして他の荷物に押しつぶされないように、スナック菓子をスーツケースの上の方にそっと配置したとしても、スーツケースの天地がひっくり返らないなんて保証はどこにもないのです。
というのも、あなたのスーツケースをコロコロと丁寧に転がしてくれるのは、せいぜいホテルのスタッフくらいだからです。私は某国の空港職員がスーツケースをワイルドにぶん投げる姿を目撃して以来、「たとえどんなにスーツケースが頑丈で、空港職員の愛想がよくても、中身が壊れるときは壊れる」と腹をくくるようになりました。腹をくくってはいるものの、自分でできる対策はやっておきたい。そこでプラスチック製の洗面器の出番なのです。信じられるのは自分(と洗面器)だけ。
ただ、洗面器でお菓子をガードする作戦にも弱点があります。それは「1つの洗面器にしまえるスナック菓子は、せいぜい1つくらい」だということ。
ですから、もしあなたが東京から関西に旅行して、関東ではお目にかかれない「カール」をキレイなまま2つ持って帰りたいなら、洗面器は2つ必要になるでしょう。
小さな陶器や香水瓶だってスーツケースにしまえる
洗面器の意外なディフェンス力に気がついた私は、やがて旅先で食器や香水瓶を気軽に買うようになりました。
国内の食器屋さんならばお会計時に「自宅まで配送をお願いできますか?」と気軽に言えますし、大抵のお店は対応してくれます。でも日本から遠く離れたワルシャワの食器屋さんでお茶碗1つとミルクピッチャーを握りしめて、「これを日本まで送ってください」なんて、私には言えません。だからタオルやエアパッキンで食器をそっと包んで、スーツケースに納めて、その上から洗面器をカポッとかぶせて日本に持ち帰っています。
パッキンと洗面器に守られて我が家にやってきた小さな食器や香水瓶たちは、みんな元気に活躍中です。
国内の食器屋さんならばお会計時に「自宅まで配送をお願いできますか?」と気軽に言えますし、大抵のお店は対応してくれます。でも日本から遠く離れたワルシャワの食器屋さんでお茶碗1つとミルクピッチャーを握りしめて、「これを日本まで送ってください」なんて、私には言えません。だからタオルやエアパッキンで食器をそっと包んで、スーツケースに納めて、その上から洗面器をカポッとかぶせて日本に持ち帰っています。
パッキンと洗面器に守られて我が家にやってきた小さな食器や香水瓶たちは、みんな元気に活躍中です。

100円ショップの洗面器に守られてワルシャワからパリ経由で我が家にやって来たボレスワビエツ陶器のお椀。電子レンジOKで使いやすい!

香港の食器ブランドLOVERAMICS(ラブラミクス)のお椀。景徳鎮を思わせるコバルトブルーがかわいい。ラブラミクスの直営店は香港島の中環(セントラル)の文化施設「大館(タイ・クゥン)」内にあります

パリやフィレンツェへ行く度に少しずつ集めている香水たち。ボトルはむき出しではなく化粧箱入りですが、洗面器でガードすれば化粧箱もへこまず安心

花森 リド
ライター・コラムニスト
主にゲーム、マンガ、書籍、映画、ガジェットに関する記事をよく書く。講談社「今日のおすすめ」、日経BP「日経トレンディネット」「日経クロステック(xTECH)」、「Engadget 日本版」、「映画秘宝」などで執筆。
X:@LidoHanamori