両親の見守りはコレで決まり!「実家テック」最前線

安蔵 靖志

IoT・モビリティSpecialソーシャルグッドライフスタイル

Wi-Fi環境を整備できれば、対応機器を設置して“セルフ見守り”も可能

ここまで紹介したサービスは、すべてネットワーク環境がなくても利用できるものばかりだ。しかし、もし離れた家族の家にWi-Fi環境があるのであれば、センサーやカメラ、見守り対応家電などを設置して設定するだけで、家族の見守りを遠隔でできるようになる。

人感センサーやドア・窓センサー、カメラなどでトータル見守り

設置や設定に一定のITスキルが必要になるものの、さまざまな機器を1つのスマートフォンアプリで管理できて便利なのがプラススタイルの「+Style ORIGINAL」シリーズだ。

人やペットなどの動きを検知する「スマートセンサー(人感)」や人感センサー付きLED電球の「LED電球(人感)」、ドアや窓の開閉を検知する「スマートセンサー(ドア・窓)」、屋内用カメラや屋外用セキュリティカメラなど、ホームセキュリティ用品を幅広くラインアップしている。

室温や湿度を検知してお知らせしたり、遠隔操作可能な赤外線リモコンとして使える「スマートマルチリモコン」を利用すれば、高齢者の熱中症予防などにも活用できる。

プラススタイルの「LED電球(人感)」

パナソニックは「スマ@ホーム」と名付けたホームセキュリティ製品群をラインアップしている。こちらは赤ちゃん用の「ベビーカメラ」と「ベビーモニター」、「HDペットカメラ」など、赤ちゃんやペットの見守りの方向に若干シフトしている感はあるものの、室内を見守れる「屋内HDカメラ」や防犯用の「屋外カメラ」なども用意している。

こうした機器はプラススタイルやパナソニックだけでなく、数多くのメーカーから出ているので、ニーズに合わせて選ぶことをおすすめしたい。

家電を買い替えるなら、シャープの「見守り家電」もおすすめ

生活必需品である家電製品のさまざまなモデルに、見守りサービスを対応させているのがシャープだ。センサーやカメラなどと同様にインターネット環境が必要になるものの、同社の液晶テレビ「AQUOS」シリーズには、12年からテレビ使用状況を家族に知らせる無料の見守りサービス機能を搭載。現在では、同社製家電向けのスマートライフサービス「COCORO HOME」の一環として見守りサービスを提供している。

シャープが同社製家電向けに提供しているスマートライフサービス「COCORO HOME」のWebサイト

現在はテレビだけでなく冷蔵庫やエアコン、空気清浄機、洗濯機などの稼働状況もスマートフォンアプリから確認できるようになっており、幅広い製品で機器を使った見守りができる。また類似機能を備えた家電製品は、他社からも販売されているので、選択肢になり得るだろう。

まずは「遠隔コミュニケーション」から、というアプローチも

離れて暮らす家族の安否や健康状態が気になるという人にとって、まずは定期的、もしくはこまめな連絡が最も重要だろう。とはいえ、電話をするにしても特に用事もないし、顔も見えない電話は味気ない……という人には、ビデオ通話を活用することをおすすめしたい。

最もシンプルなのがスマートフォンを利用したビデオ通話だろうが、スマートフォンのカメラを目の前にかざしたまましゃべるのも大変だし、使い方が分からない、誤操作してしまう、といった可能性もある。

スマートフォンやタブレットの使い方に慣れた人ならそれでもいいが、そうではない人であれば「スマートディスプレイ」などの機器を活用するといい。

Amazonの「Echo Show」シリーズなら、5.5インチの据え置き型「Echo Show 5」から、セキュリティカメラ機能付きでディスプレイを話者に向けて自動的に回転してくれる「Echo Show 10」、額縁のように壁掛けしておける「Echo Show 15」など幅広くラインアップしており、利用者の心理的ハードルの低いものを選んで利用できる。Googleも同様に小型スマートディスプレイ「Google Nest Hub」シリーズを提供している。

どちらも音声アシスタントを搭載しており、ニュースや天気予報、ラジオなどを聴いたりできるほか、会話機能なども備えているので、話し相手のように使って楽しんでいる一人暮らしの高齢者の方もいるようだ。

ディスプレイを話者に向けて自動的に回転してくれるAmazonのスマートディスプレイ「Echo Show 10」

屋内カメラを、離れて暮らす子供などが勝手に家の中を覗ける「監視カメラ」と捉えると、そこに暮らす人にとっては居心地が悪くなるかもしれない。しかし、ちょっとした用事があるときや、何かトラブルが生じた場合など、いつでも顔を見ながら会話ができる環境のための製品として伝え、そのようにだけ運用すれば、お互いに安心して暮らせるようになるのではないだろうか。

お互いに“個”を尊重した、スマートな家族のあり方を模索しよう

自動通話サービスや訪問サービス、センサーによる通知サービス、カメラによるコミュニケーションなど、一口に見守りといってもさまざまなアプローチがある。

見守られる高齢者にITリテラシーが不要なものもあれば、緊急通報ボタンや遠隔コミュニケーションなど、機器の使いこなしが必要になるものもある。自宅にいることが多いのか、アクティブに動き回る人なのかなどによっても、向き不向きがある。

これまでは、要介護や要支援になると「同居」せざるを得ない状況があった。しかしこうした見守りサービスや宅配サービスなどが活用できることに加え、デイサービスなどの介護サービスや在宅医療サービスも充実してきている。

これらのサービスで、実家の親と同居することなく、負担をかけずに生活やプライバシーを尊重しながら、離れた生活を続けられる可能性が広がってきたのではないだろうか。
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安蔵 靖志

Techジャーナリスト/家電エバンジェリスト
家電製品協会認定 家電製品総合アドバイザー(プラチナグレード)、スマートマスター。AllAbout デジタル・家電ガイド。ビジネス・IT系出版社を経てフリーに。デジタル家電や生活家電に関連する記事を執筆するほか、家電のスペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。KBCラジオ「キャイ~ンの家電ソムリエ」にレギュラー出演するほか、ラジオ番組の家電製品紹介コーナーの商品リサーチ・構成にも携わっている。

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