フォートナイト中国版運営終了の背景は
8月末のゲーム規制と7月下旬の教育業界の規制、2つの規制が近い時期に発表されたのは偶然ではなく、中国で6月1日に「改正中華人民共和国未成年者保護法」が施行され、青少年の心身や成長に悪影響を与えると判断したものを制限しやすくなったことが関係している。
Epic Gamesが11月1日に、「フォートナイト」の中国市場参入を中止すると発表したが、こちらも未成年保護法の影響が指摘されている。
フォートナイトはテンセントが2018年4月に中国版の配信権を取得してテスト運営を続けてきたが、11月15日に運営を終了した。中国メディアは課金を設定するために必要なライセンスが3年経っても審査を通らず、マネタイズの見通しが立たないことが理由だと分析している。
中国はオンラインゲームリリースにライセンスが必要だが、今年8月以降審査が凍結されている。未成年保護法の施行を受け、審査の見直しが議論されているようで、基準が厳格化されればテンセントやネットイースにはさらなる打撃となる。
Epic Gamesが11月1日に、「フォートナイト」の中国市場参入を中止すると発表したが、こちらも未成年保護法の影響が指摘されている。
フォートナイトはテンセントが2018年4月に中国版の配信権を取得してテスト運営を続けてきたが、11月15日に運営を終了した。中国メディアは課金を設定するために必要なライセンスが3年経っても審査を通らず、マネタイズの見通しが立たないことが理由だと分析している。
中国はオンラインゲームリリースにライセンスが必要だが、今年8月以降審査が凍結されている。未成年保護法の施行を受け、審査の見直しが議論されているようで、基準が厳格化されればテンセントやネットイースにはさらなる打撃となる。
活路は海外事業とメタバース
ゲーム業界への規制強化の影響を最小限にするために中国企業は海外事業や新事業を強化せざるを得なくなっている。
ブルームバーグの11月の報道によると、テンセントは任天堂の家庭用ゲーム機「スイッチ」に人気ゲームを提供する日本のクリエイティブスタジオを買収した。テンセントのM&Aは少額出資による提携やライセンス獲得がほとんどで、買収自体が珍しい。
ネットイースも中国本土の開発チームを縮小する一方で、2020年に東京・渋谷にゲーム開発スタジオを開設したり、著名日本人クリエイターの移籍が報じられるなど、日本での動きを活発化させている。
両社ともメタバースへの参入にも積極的で、ネットイースの丁磊CEOは11月の決算会見で、「当社はメタバースに関する技術やルール作りの準備を進めている。メタバースが本当に降臨するとき、スタートダッシュに成功する能力がある」と語った。
ただ、テンセントの劉熾平総裁は同月、「中国当局はメタバース関連技術の発展を応援しながらも、ユーザーへの提供にあたって規制を設けるだろう」と述べ、規制の動向を強く意識していることをうかがわせた。
「ゲーム依存」「ゲーム中毒」は中国に限らず、世界共通の社会問題でもある。学習時間の減少だけでなく、視力低下、睡眠時間減少、そして人間関係のトラブルまで、中国当局や国営メディアが指摘する「未成年への悪影響」は、日本でもおおむね当てはまる。
ゲームのプレイ時間を規制し、企業にも取り組みを義務付ける中国の規制が本当に狙い通りの効果を発揮するのか、あるいはこれまで同様に子どもたちが抜け穴を見つけ、いたちごっこになるのか。そして規制を敷かれたテンセントなど大手企業は成長戦略をどう調整していくのか。このような強硬策は非現実的な日本から見て、注目すべき「社会実験」のようにも見える。
ブルームバーグの11月の報道によると、テンセントは任天堂の家庭用ゲーム機「スイッチ」に人気ゲームを提供する日本のクリエイティブスタジオを買収した。テンセントのM&Aは少額出資による提携やライセンス獲得がほとんどで、買収自体が珍しい。
ネットイースも中国本土の開発チームを縮小する一方で、2020年に東京・渋谷にゲーム開発スタジオを開設したり、著名日本人クリエイターの移籍が報じられるなど、日本での動きを活発化させている。
両社ともメタバースへの参入にも積極的で、ネットイースの丁磊CEOは11月の決算会見で、「当社はメタバースに関する技術やルール作りの準備を進めている。メタバースが本当に降臨するとき、スタートダッシュに成功する能力がある」と語った。
ただ、テンセントの劉熾平総裁は同月、「中国当局はメタバース関連技術の発展を応援しながらも、ユーザーへの提供にあたって規制を設けるだろう」と述べ、規制の動向を強く意識していることをうかがわせた。
「ゲーム依存」「ゲーム中毒」は中国に限らず、世界共通の社会問題でもある。学習時間の減少だけでなく、視力低下、睡眠時間減少、そして人間関係のトラブルまで、中国当局や国営メディアが指摘する「未成年への悪影響」は、日本でもおおむね当てはまる。
ゲームのプレイ時間を規制し、企業にも取り組みを義務付ける中国の規制が本当に狙い通りの効果を発揮するのか、あるいはこれまで同様に子どもたちが抜け穴を見つけ、いたちごっこになるのか。そして規制を敷かれたテンセントなど大手企業は成長戦略をどう調整していくのか。このような強硬策は非現実的な日本から見て、注目すべき「社会実験」のようにも見える。

浦上 早苗