ウェディングもお葬式も、女性が決めてお財布を開く
だが、上司が変わって事業がストップ。布施さんは玩具メーカーに戻るが、小さい子どもを亡くされたお母さんから、「子どもが好きだったキャラクターの骨壷ができたなら、悲しみが大きすぎて納骨できずに手元に置いたままの遺骨を、少しだけ手元に残して納骨できる」との思いを聞き、どうしてもキャラクターで骨壷をやりたいという気持ちに駆られた。
しかし版権の問題などから社内での実現への道は険しく、布施さんは村田ますみさんと「スルッと」合流。独立してデザイン骨壷や棺桶、遺影などの事業アイデアを形にし、社会に送り出していこうと決めた。
布施さんは、終活業界に“自分らしい最期”への巨大な潜在ニーズがあると見ている。
「文具メーカー時代の上司が映画『おくりびと』のモデルとなった納棺師さんと親しかったので、あらためてお話を聞きにいったりするなど、いろいろ調べて、よし大丈夫そうだ、と。いま終活業界は再編されていて、大手流通企業や広告会社が参入したり、多死社会・高齢社会に向けてどんどん変化しています。でも終活業界にこういうデザイン性は一切なくて、まだ『死イコール高齢者』だ、だから装飾は要らないなんていう古い思い込みがあり、デザインを邪魔している。でも、私の展示会では20歳でも80歳でも同じくデザイン骨壷を欲しいと言ってくださったお客様がいらっしゃったわけで、歳をとっても皆さん素敵なセンスや感性をお持ちなんです」(布施さん)
村田さんが話を続ける。
「この終活業界は、おじさん経営者が中心で、女性で会社を起こした私は希少動物のように扱われています。でもお葬式もウェディングも、女性が決めてお財布を開くんですよ。だからデザイン骨壷や棺桶をかわいい、これに入りたいと言う女性がいらっしゃるのはごく自然なことですよね」(村田さん)
しかし版権の問題などから社内での実現への道は険しく、布施さんは村田ますみさんと「スルッと」合流。独立してデザイン骨壷や棺桶、遺影などの事業アイデアを形にし、社会に送り出していこうと決めた。
布施さんは、終活業界に“自分らしい最期”への巨大な潜在ニーズがあると見ている。
「文具メーカー時代の上司が映画『おくりびと』のモデルとなった納棺師さんと親しかったので、あらためてお話を聞きにいったりするなど、いろいろ調べて、よし大丈夫そうだ、と。いま終活業界は再編されていて、大手流通企業や広告会社が参入したり、多死社会・高齢社会に向けてどんどん変化しています。でも終活業界にこういうデザイン性は一切なくて、まだ『死イコール高齢者』だ、だから装飾は要らないなんていう古い思い込みがあり、デザインを邪魔している。でも、私の展示会では20歳でも80歳でも同じくデザイン骨壷を欲しいと言ってくださったお客様がいらっしゃったわけで、歳をとっても皆さん素敵なセンスや感性をお持ちなんです」(布施さん)
村田さんが話を続ける。
「この終活業界は、おじさん経営者が中心で、女性で会社を起こした私は希少動物のように扱われています。でもお葬式もウェディングも、女性が決めてお財布を開くんですよ。だからデザイン骨壷や棺桶をかわいい、これに入りたいと言う女性がいらっしゃるのはごく自然なことですよね」(村田さん)
位牌・遺影・骨壺などデザイン葬儀グッズの数々
日本では、人々が自宅に置いて“手元供養”している遺骨が100万壺もあるという。布施さんは残念そうだ。
「皆さん、どんな骨壷に入るかとか置くかなんて具体的に考えないのは、選んでいいんだと知らないからでもあるんです。死ぬことって縁起が悪いから話しちゃだめだと忌み嫌われている。考えないようにしている。だから知らない。実際の葬儀って、すぐ決めなきゃいけないことが山積みなのに、いざとなると情報がなくて何も知らない。大慌てで家族の葬儀を出したあと、失敗したと後悔する方も多いです」(布施さん)
死の話題を敬遠せずにもっと前から準備しておけば、「そのとき」が来ても、本人も周りも後悔しない。布施さんと村田さんは、もっと死や老いについて隠さず前向きに語ろうと、デザイン棺桶に「入棺体験」して自分の死を見つめてもらうというワークショップを始めた。
※『「×最期(後編)」カワイイ棺桶に「入棺体験」タマキの人生観は変わっちゃうのか?:河崎環のタマキ✕(カケル)』に続く
「皆さん、どんな骨壷に入るかとか置くかなんて具体的に考えないのは、選んでいいんだと知らないからでもあるんです。死ぬことって縁起が悪いから話しちゃだめだと忌み嫌われている。考えないようにしている。だから知らない。実際の葬儀って、すぐ決めなきゃいけないことが山積みなのに、いざとなると情報がなくて何も知らない。大慌てで家族の葬儀を出したあと、失敗したと後悔する方も多いです」(布施さん)
死の話題を敬遠せずにもっと前から準備しておけば、「そのとき」が来ても、本人も周りも後悔しない。布施さんと村田さんは、もっと死や老いについて隠さず前向きに語ろうと、デザイン棺桶に「入棺体験」して自分の死を見つめてもらうというワークショップを始めた。
※『「×最期(後編)」カワイイ棺桶に「入棺体験」タマキの人生観は変わっちゃうのか?:河崎環のタマキ✕(カケル)』に続く
河崎 環
コラムニスト・立教大学社会学部兼任講師
1973年京都生まれ神奈川育ち。慶應義塾大学総合政策学部卒。子育て、政治経済、時事、カルチャーなど多岐に渡る分野で記事・コラム連載執筆を続ける。欧州2カ国(スイス、英国)での暮らしを経て帰国後、Webメディア、新聞雑誌、企業オウンドメディア、政府広報誌などに多数寄稿。ワイドショーなどのコメンテーターも務める。2022年よりTOKYO MX番組審議会委員。社会人女子と高校生男子の母。著書に『女子の生き様は顔に出る』(プレジデント社)など。