ChatGPTをはじめとするAIチャットサービスが得意なことの1つに、「定型文書の作成」が挙げられます。
たとえばビジネス文書やメール。書くべきことは決まっているはずなのに、いざ自分で書き始めると「これで失礼はないだろうか」などと迷ってしまい、筆が進まないこともありますよね。そんな時、AIチャットサービスが能力を発揮してくれます。
社内の業務連絡や、社外の方へのお礼のメールはもちろん、「謝罪文」のような普段はめったに書くことがなく、また気が重くなりそうな内容でも、要点を押さえた文章をAIは作成してくれます。とはいえ、どんな結果が出力されるかは、AIチャットそれぞれの個性によって変わるはず。
今回は、ChatGPTとGeminiそれぞれに、ビジネス上の定型文を書いてもらいます。
「ビジネス上の謝罪」「面倒なことの依頼」「仕事のアポのキャンセルと再設定のお願い」「会社の周年記念イベントのお誘い」といった「言いにくいこと」「普段文章で伝える機会がないこと」を、相手に失礼のないように伝える文章は、どちらがうまく書けるでしょうか?
たとえばビジネス文書やメール。書くべきことは決まっているはずなのに、いざ自分で書き始めると「これで失礼はないだろうか」などと迷ってしまい、筆が進まないこともありますよね。そんな時、AIチャットサービスが能力を発揮してくれます。
社内の業務連絡や、社外の方へのお礼のメールはもちろん、「謝罪文」のような普段はめったに書くことがなく、また気が重くなりそうな内容でも、要点を押さえた文章をAIは作成してくれます。とはいえ、どんな結果が出力されるかは、AIチャットそれぞれの個性によって変わるはず。
今回は、ChatGPTとGeminiそれぞれに、ビジネス上の定型文を書いてもらいます。
「ビジネス上の謝罪」「面倒なことの依頼」「仕事のアポのキャンセルと再設定のお願い」「会社の周年記念イベントのお誘い」といった「言いにくいこと」「普段文章で伝える機会がないこと」を、相手に失礼のないように伝える文章は、どちらがうまく書けるでしょうか?
AIにおわびはできる?「謝罪メール」
気を付けていても、仕事上のミスや突発的なトラブルが起きてしまうこともあります。この時、対応を間違えると、クライアントとの関係が悪くなることも。
こんなとき、おわびのメール自体がポイントを押さえた文章で失礼がないことはもちろんですが、スピーディな対応も相手の怒りを鎮めるポイントです。「どんな文章を書けばいいだろうか」と迷っている時間はありません。
ここでは、間違った金額の請求書をお客様に送ってしまった場合の謝罪文を考えてもらいます。
まずはChatGPTにどんな主旨のメールを書いてほしいか伝えてみましょう。
こんなとき、おわびのメール自体がポイントを押さえた文章で失礼がないことはもちろんですが、スピーディな対応も相手の怒りを鎮めるポイントです。「どんな文章を書けばいいだろうか」と迷っている時間はありません。
ここでは、間違った金額の請求書をお客様に送ってしまった場合の謝罪文を考えてもらいます。
まずはChatGPTにどんな主旨のメールを書いてほしいか伝えてみましょう。
ChatGPTにおわびメールの文面を考えてもらう
すぐに、おわびと請求書の訂正についてのビジネスメールが出力されました。
この後、
・誤った請求書に基づいて支払われた場合、金額の調整を速やかに行うこと
・再発防止に努めること
・迷惑をおかけしたおわびと、今後も変わらぬお付き合いをお願いしたいこと
・不明点は下記の連絡先に問い合わせてほしいこと
を記した文章が続きます。
最後は「このメールテンプレートを使用して、お客様に誠実に対応することで、信頼関係の回復に努めてください」と結ばれていました。
では、Geminiにも同じ依頼をしてみましょう。
この後、
・誤った請求書に基づいて支払われた場合、金額の調整を速やかに行うこと
・再発防止に努めること
・迷惑をおかけしたおわびと、今後も変わらぬお付き合いをお願いしたいこと
・不明点は下記の連絡先に問い合わせてほしいこと
を記した文章が続きます。
最後は「このメールテンプレートを使用して、お客様に誠実に対応することで、信頼関係の回復に努めてください」と結ばれていました。
では、Geminiにも同じ依頼をしてみましょう。
Geminiにも同じようにおわびメール文面の出力を依頼
こちらもほんの数秒でおわびメールが出力されました。冒頭のおわびのあとはすぐに誤りがあった請求書の特定をしており、ChatGPTより「話が早い」印象です。特筆すべきは、請求書の正誤表がついていること。
Geminiの出力には訂正価格の正誤表が付いていた!
正誤表はスプレッドシートにエクスポートもできます。これにより、誤った請求でいくらの差額が生じたのかがぐっと確認しやすくなります。また、「正しい請求書はいつ発行するのか」「先に送った誤った請求書はどう扱えばいいか」まで指示されています。
Geminiのメールはミスをした過程を丁寧に説明しているChatGPTに比べると、文章量が少なく、経緯の説明も少なめです。しかし、ミスの経緯はそこまで緊急度の高い情報ではないと思いますし、経理処理をするにあたって必要な情報はきちんと網羅されているGeminiの端的な文章をよいと感じる人も多いはずです。ほぼ手直しなしで送信できる文面だと感じましたし、実際に処理をする担当者にとっては、こちらのほうがありがたい文面といえそうです。
どちらのメールもお願いの内容(プロンプト)は同じで、細かな注文は付けていない状態での回答です。個人的にはChatGPTは「文章の丁寧さ」に重点が置かれ、Geminiは「仕事としての対応をシンプルに」という印象を受けました。
Geminiのメールはミスをした過程を丁寧に説明しているChatGPTに比べると、文章量が少なく、経緯の説明も少なめです。しかし、ミスの経緯はそこまで緊急度の高い情報ではないと思いますし、経理処理をするにあたって必要な情報はきちんと網羅されているGeminiの端的な文章をよいと感じる人も多いはずです。ほぼ手直しなしで送信できる文面だと感じましたし、実際に処理をする担当者にとっては、こちらのほうがありがたい文面といえそうです。
どちらのメールもお願いの内容(プロンプト)は同じで、細かな注文は付けていない状態での回答です。個人的にはChatGPTは「文章の丁寧さ」に重点が置かれ、Geminiは「仕事としての対応をシンプルに」という印象を受けました。
面倒なことを依頼するときの言い方
ここでもう1つ、相手に「面倒をかける」ことをお願いする場合の言い回しを出力してもらいます。事例は、「複写式ではない書類を複数枚記入してもらわないといけない場合」。お願いする相手によっては、「面倒くさい」とへそを曲げてしまうかもしれません。スムーズに書いてもらうためにはどんなふうにお願いすればいいでしょう?
質問文はこうです。
「あなたは仕事のできるビジネスマンです。お客様に書類を書いてもらいたいですが、複写式ではないので2枚目にも書いてもらわないといけません。スムーズにお願いできる言い方を考えてください」
頭に浮かんだ疑問をそのまま投げかけてしまいましたが、AIはどう答えてくれるでしょう。
まずはChatGPTの場合を見てみましょう。
質問文はこうです。
「あなたは仕事のできるビジネスマンです。お客様に書類を書いてもらいたいですが、複写式ではないので2枚目にも書いてもらわないといけません。スムーズにお願いできる言い方を考えてください」
頭に浮かんだ疑問をそのまま投げかけてしまいましたが、AIはどう答えてくれるでしょう。
まずはChatGPTの場合を見てみましょう。
ChatGPTが書いてくれた依頼の仕方がこちら
同じことをGeminiにも聞きましょう。
Geminiはいくつかのパターンで説明してくれる
この後にGeminiからのアドバイスが続きます。
・依頼する前に、書類の内容を簡単に説明すると、お客様もスムーズにご記入いただけます。
・二枚目の書類を渡すタイミングも重要です。依頼するタイミングで渡すと、お客様もスムーズにご記入いただけます。
・ご記入いただいた書類を確認する際は、お客様に失礼がないよう、丁寧に確認しましょう。
ChatGPTは丁寧な例文を作ってくれました。これなら、相手の機嫌を損ねることはなさそうな丁寧さです。しかし「二枚はそれぞれ異なる目的で必要となります」と、こちらが指定していないアレンジが入っているのは気になります。
Geminiは、相手との関係性によって使い分けられる例文をいくつか挙げてくれています。ChatGPTよりさっぱりした文章ですが、社内の人にお願いするなら、これくらい砕けた文章でもよさそうです。
いずれのAIでも、プロンプトに「どのような立場の人に向けて送るメールか」「どのように対応してもらいたいか」といった詳細を入れ込むことで、より手直しの少ない文面を生成することができるでしょう。
・依頼する前に、書類の内容を簡単に説明すると、お客様もスムーズにご記入いただけます。
・二枚目の書類を渡すタイミングも重要です。依頼するタイミングで渡すと、お客様もスムーズにご記入いただけます。
・ご記入いただいた書類を確認する際は、お客様に失礼がないよう、丁寧に確認しましょう。
ChatGPTは丁寧な例文を作ってくれました。これなら、相手の機嫌を損ねることはなさそうな丁寧さです。しかし「二枚はそれぞれ異なる目的で必要となります」と、こちらが指定していないアレンジが入っているのは気になります。
Geminiは、相手との関係性によって使い分けられる例文をいくつか挙げてくれています。ChatGPTよりさっぱりした文章ですが、社内の人にお願いするなら、これくらい砕けた文章でもよさそうです。
いずれのAIでも、プロンプトに「どのような立場の人に向けて送るメールか」「どのように対応してもらいたいか」といった詳細を入れ込むことで、より手直しの少ない文面を生成することができるでしょう。
アポのお断りと日程の再設定
やむを得ない事情で、クライアントとの約束をキャンセルしなくてはいけない場合もあります。忙しい人ほど、一度決まった予定を変更されることは負担になるでしょう。それだけに「アポのお断りと日程の再設定」は気が重い連絡ですが、相手の負担を考えれば、先延ばしにはできない連絡です。まずはChatGPTにメールの文章を考えてもらいましょう。
ChatGPTに予定のキャンセルと変更を依頼する文面を書いてもらう
比較的丁寧な文面をChatGPTは出力
一方Geminiはというと……。
Geminiの文章はかなり簡潔
この後
・忙しい中、調整のための負担をかけてしまい申し訳ないということ
・追伸として「今回の会議資料は、事前にメールにて送る」こと
が記され、迷惑をかけたことを再度わびる形で締めくくられていました。
このケースでは、ChatGPTは社名や日時など、必要事項を書き換えればそのまま送れる文面なのに対し、Geminiの文面はややカジュアルすぎるようにも感じました。件名が「キャンセルと再設定のお願い」なのも、ChatGPTの「日程の変更についてのお願い」よりも言葉が強い気がします。こちらの都合によるキャンセルのお願いなので、このケースに関しては、より丁寧なChatGPTの文章のほうが好感度が高そうです。
しかし、Geminiが「会議資料を事前に送る」提案をしているのはさすがです。本来の予定が先延ばしになるぶん、資料に先に目を通せることは、先方にとってメリットになるはずです。こういう点はうっかり見落としがちなだけに、あの短いオーダーからこれをくみ取ってくれたGeminiは、いい仕事をしてくれたと思いました。
・忙しい中、調整のための負担をかけてしまい申し訳ないということ
・追伸として「今回の会議資料は、事前にメールにて送る」こと
が記され、迷惑をかけたことを再度わびる形で締めくくられていました。
このケースでは、ChatGPTは社名や日時など、必要事項を書き換えればそのまま送れる文面なのに対し、Geminiの文面はややカジュアルすぎるようにも感じました。件名が「キャンセルと再設定のお願い」なのも、ChatGPTの「日程の変更についてのお願い」よりも言葉が強い気がします。こちらの都合によるキャンセルのお願いなので、このケースに関しては、より丁寧なChatGPTの文章のほうが好感度が高そうです。
しかし、Geminiが「会議資料を事前に送る」提案をしているのはさすがです。本来の予定が先延ばしになるぶん、資料に先に目を通せることは、先方にとってメリットになるはずです。こういう点はうっかり見落としがちなだけに、あの短いオーダーからこれをくみ取ってくれたGeminiは、いい仕事をしてくれたと思いました。
中野 亜希
ライター・コラムニスト
大学卒業後、ブログをきっかけにライターに。会社員として勤務する傍らブックレビューや美容コラム、各種ガジェットに関する記事執筆は2000本以上。趣味は読書、料理、美容、写真撮影など。
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